【コーチ・コラム】カナダのスノーボードターン技術④

文:高石 周

すべての基本となる「立ち方、姿勢」を習得すれば、まずは直滑降はできます。
そして下から2段目の「運動のきっかけ」を習得することで、今度は板を横にすることができるようになります。
板を横にしてしまったら次に何をコントロールできないといけないか?というのが今回のスキルです。


 
3.「Edging」

進行方向に対して板を90度横に振り、さらに重力に対して体を真っ直ぐに保とうとすれば、山側のエッジが自然と立つことになりますよね。
(斜面角度に対して真っ直ぐ立つ場合、エッジは立たずに板は雪面に対してフラットですが、体は谷側に倒れこんでいますね)
「今日はじめてスノーボードします!」という初心者の方は、板が横になってもエッジを立てることが分からない人がかなりいます。
だからよく逆エッジで谷側に転倒したりしますね。
初心者の例で分かるように、このエッジのコントロールが次の課題なのです。

ポイントは以下の2つです。

● いつ?
● どのくらい?

要するに、いつからエッジを立てるの?
そしてどのくらいエッジを立てるの?
ということですね。

エッジを立てるには、前回説明した「Steering」という下半身で板を操作する動作が有効です。
おさらいすると、ヒザや足を使って板をダイレクトに「捻る」ように操作するスキルです。
今一度前回の内容を復習されてると理解しやすいですよ。

では順番に説明していきましょう。
<いつエッジを立てるの?>

まずはスキルレベルでの違いを説明しましょう。

○ 初級者

初級者は足元がまだフラフラと安定していないので、「Steering」テクニックはなかなか使えません。
ということは自らエッジを立てることは困難なわけですね。
しかしながら板を横にすることはできるわけです。
当然ですが、初級者は重力のライン以上に体を谷側(ダウンヒル)に倒すことはできません。
ということは、
1.ターンを始める時はトーエッジ上に真っ直ぐ立ち
2.「Pivoting」という上半身の回転運動で重力ライン上で真っ直ぐ軸の回転をすると
3.フォールラインで板が真っ直ぐ真下を向いた時に板はやっとフラットに
4.重力ライン上に真っ直ぐ立っていれば、フォールライン以降は自然とトーエッジ上に立つことになります

ということで、初級者の「いつ」は、時計で例えるなら4時や8時あたりになるわけです。
これを急斜面なのでやってしまうと、ターン後半に急にエッジが立つため、板に一気に圧力が掛かりチャッティング(板がはねる)が起こったりします。
ということで、この4時8時あたりでエッジが立って良いのは緩い斜面に限ると言っていいでしょう。

○ 中級者

中級者になってくると、ターンの入り口で頭を内側に倒し腰(重心)を内側に入れようとします。
「頭→腰→ひざ」と時間差を経て、最終的にエッジが切り替わるのは10時や2時あたりになります。
これが中級者の「いつ」になります。

○ 上級者

上級者は上半身を安定させたまま、より板に近い下半身の部位を使って直接板をコントロールできるようになります。
上半身から入るターンと違って、直に下半身でコントロールする場合、そこに時間差はほとんどありません。
ですから、ターンに入るぞ!という時にすぐ板に反応が起こるわけです。
時計で例えるなら1時や11時。
もっと上手い人は12時に一気にエッジが立ってきたりするわけですね。

早くエッジを立てれるほど後半での板へのプレッシャーは分散されてターンは安定します。
初級者の話と逆ですね。
初級者のターンはターン中盤までエッジが立たずにフラットですから、前回書いたように板は横に回って行きますが、実際は進行方向を変えずに横に移動しながら板が回転しているというのが事実なのです。
これは当然ながら急斜面、こぶ、ツリーの中などでは通用しませんよね。
ですからできるだけ早くエッジが立って、進行方向をしっかり変えていけるターンの方がよりコントロールできて楽なわけです。
ただしターン入り口などでエッジを立てるということは、下り坂に対して倒れこむように逆にエッジを立てるわけですから、相当なバランス能力が求められます。
つまりエッジの上でずっとバランスを保てる能力が高いほど早くエッジを立てることができるわけです。

 

<どれくらいエッジを立てるの?>

エッジの角度で何が変わるのでしょう?

● ターン弧の大きさ
● 板のズレの大きさ
● エッジ上でのバランス難易度

こんなところでしょうか?
ではこの3つにおいて考えてみましょう。

先に書いたように、板にはサイドカットが施されており、その丸いカットに合わせて弧を描くように作られています。
ですから板を立てて圧力を掛けるほどその弧は小さなものを描くようになります。
逆に板を寝かせる(角度を浅くする)ほど弧は大きくなるわけです。
エッジの角度によってはこのようにターン弧に差が出てくるということですね。

次に板のズレについて。
ターン中には遠心力が掛かっていますが、その真横に引っ張られる力に対して一番抵抗できる板の角度とは?
それは板を雪面に対して垂直に立てることですね。
つまりそうすることで遠心力に対して最大限抵抗できるということなのですが、実際は重力や推進力(進行方向へ進もうとする力)もあるので、板を垂直に立てることは現実的ではありません。
しかしこの事からも分かるように、板を立てるほど遠心力に抵抗するのであれば、板を立てるほど板はズレないということです。
実際に「カービングで切りたいなら板を立てろ」とよく言われますね。
逆に板を寝かせるほど、遠心力への抵抗には弱くなってくるので、つまりズラし易くなるわけです。
参考までに、板を寝かせるほど板の滑走面は雪面に着きやすく、そして無駄な遠心力への抵抗が少ない分滑らし易いんです。
レーサーなどは「カービングで切りたいけど滑らせたい」わけですから、この2つが両立するギリギリのところでバランスを保ちながら滑っていくわけです。
ハーフパイプでも同じことが言えますね。

当然ですが、板を寝かせるより立てたほうがバランスは難しいですよね。
軽く踵を上げてつま先を踏むより、マイケルジャクソンのように踵を高く上げてクツのつま先だけで立つのは難しいのは誰でも分かります。
これが踵立ちであればなおさら難しいですね。
ということは、エッジ角度を強く立てるということは、よりバランスが難しく、特に初級者にはできることではないですね。
さらにターン前半でエッジを立てるということは推進力に対して逆にエッジを立て、そして遠心力がぜんぜんないわけですから、これは非常に難しい。
ですから時計で例える9時や3時以前にエッジを立てるというバランスは難しいはずです。
1時や11時などは相当なバランス能力が必要ですね。
このエッジ角度の強さ「どれくらい」も、「いつ」と同じで「Steering」という下半身の運動で決まってきます。
要するにこの下半身の運動をどれだけ強烈に入れたかでエッジ角度の鋭さも決まるわけですね。
たとえばヒザを曲がりたい方向にどれだけ強く入れたか?速く入れたか?
つま先をゆっくり押すか、素早く強く押すか?
こういうことですね。

 
<参考に>

パウダーの中では「エッジを立てる」という感覚で滑ることはできません。
エッジを噛ませるような雪質ではありませんからね。
これをパウダーの中でやってしまうと確実にバランスを失い転びます。
パウダーの中では足場を作るためのエッジングをすることが全くできないので、また別のバランス感覚を養わねばならないんです。
面で踏むというヤツですね。(次回お話しましょう)
ついでにターンの前半も作れませんので、ターン前半から鋭くエッジを立てるようなターンはできないのです。

 
<余談>

ターンの中ではエッジをどれだけ立てられるか?がスキルの高さと言ってもいいでしょう。
しかしフリースタイルでは、いかに無駄なエッジングをなくすか?が高いスキルにつながっていきます。
この件はまたその内。

 
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