【ギア・コラム】バックパック

文:ギア博士

パークやパイプで遊ぶために身の回りの物を持ち歩く、ビデオや写真を撮るための機材を持っていくなど、バックパックはもの凄く身近に使われています。また当然のことながらバックカントリーでは高機能なバックパックが必需品です。今回はバックパックについてバックカントリーをメインにどのようなバックパックが必要なのか考えてきましょう。

まず、基本的なことですが、バックパックはその目的によってデザインや容量(大きさ)が違います。ふだんに街で使うぶんには問題なく快適なバックパックも、スノーボード、とくにバックカントリーでまったく使えないこともあるのです。では、どのようなバックパックが適しているのか、絶対必要な条件を挙げてみましょう。

1 スノーボードとスノーシューがバックパックに装備できること
2 目的にあった容量があること
3 ストックやシャベルが取り付けられること

こうしてみると、ゲレンデで滑る時やパーク、パイプにちょっとした持ち物(ビデオカメラやジュースなど)を運ぶことが目的なのか、それともバックカントリーで使用したいのか、バックパックの機能をチェックする必要があると言えそうです。

バックパックの選び方

現在、各ブランドから多くのバックパックが発売されています。その半分ほどがバックカントリー対応となっていますが、ここでは絶対に必要な条件をもとにバックカントリーに適したバックパックの選び方を考えてみましょう。

スノーボードとスノーシューが装備できるか

これは言うまでもなく、スノーボード・バックパックでは必須の部分です。基本的には、ボードを身体に対して縦に装着するタイプが主流で、2カ所のベルトでボードを固定するようになっています。

細かい部分ではこの2本のベルトの材質をしっかりと見てください。できればエッジと接触する部分は、幅広で切れにくい素材のものがベストです。また、バックパックの中身に関係なくしっかりと固定できるかが重要です。バックパックの中身は、その時の目的に応じて増えたり減ったりしますが、中身がいっぱいなら安定するけど、少ないと安定しないようなら、違うものを選んだほうがいいでしょう。逆も同じです。見極め方は、コンプレッションベルトがしっかりとしているかを見ればOKです。

コンプレッションベルトとは、バックパックを締め付けるベルトのことです(以下、写真2枚参照)。中身が少ない時には、このベルトを使ってバックパックを締め付け、隙間がなくなるように調節します。このベルトがしっかりとしていれば、荷物に関係なくしっかりとボードを装着することができます。

 

目的にあった容量の確保

バックパックの容量(大きさ)は通常リットルで表示されています。ゲレンデやパーク・パイプで使うなら 20 L(リットル)前後あれば充分です。日帰りのバックカントリーならば、通常 30 Lを目安にすると良いでしょう。 10 Lほどのバックパックもよく見かけますが、これはヘリツアーなど、必要最低限の装備で滑るときに使用されています。

ストックやシャベルが運べるか

登りに必要なストックや、雪崩やビバーク時はもちろん、キッカーを作るときも便利なシャベル、緊急時に必要となるプローブなどバックカントリーの必需品です。あるスノーボーダーはこう言っています。「プローブとシャベルを持たない人とはパーティーは絶対に組まない。プローブとシャベルは雪崩の時などの救助には絶対に必要な装備。自分の命を救ってくれる装備を持ち歩かない人と安心して山にはいることはできないからだ。」これは極限にアタックするスノーボーダーばかりでなく全てのバックカントリースノーボーダーに当てはまる言葉ですから、最低限救助に必要な装備は持ち歩くようにしてください。プローブやストックはどうにでも取り付けできますが、シャベルに関しては専用のポケットがあればとても便利です。もちろん、シャベルを取り付けてもボードやスノーシューをしっかりと固定できることをチェックしてください(右、写真参照)。

以上が先に述べた必要最低条件ですが、この他にもバックパックには便利な機能が多数あります。最近ではひじょうにポピュラーになった感のある水分補給システムなどはその代表でしょう。これは「ハイドレーションシステム」や「キャメルバック」と呼ばれ、バックパックの内側に水袋が内蔵できるものです。水袋からはチューブが伸びていて、ハイクアップ中でもすぐに水分を補給できるシステムです。

この他にも肩ベルトにベストのようにポケットが付いていて、トランシーバーなどを装備できたり、濡れないようにビニールでカバーされたマップケースや、カメラ、ビデオカメラを保護する厚いパットが装備されたタイプ、ボードを装着したままでも中身が取り出せるタイプなど、さまざまな機能が開発されています。

しかし、モデルによって無駄にベルトが多いタイプや、やたらにベルトが長い場合もあり、自分にとって何が必要で何が必要でないかをしっかりと見極めることが、バックカントリー用のバックパックを選ぶ際に重要になるのです。

バックパックの調整法

それでは一般的なバックパックの調整法を紹介しましょう。バックパックの調整はひじょうに重要です。ただでさえ重い荷物を効率よく快適に携帯するために、実際に自分で調節を試してみてから購入することをおすすめします。

1 ウエストベルトの調整

まず、一番はじめに調節したいのがウエストベルトです。腰の骨盤の位置にしっかりと合わせます。腹の部分で合わせると腹が締め付けられひじょうに窮屈に感じますし、下すぎるとハイクアップの際に邪魔に感じますのでキッチリと合わせてください。ベルトの締め具合は腰の位置に固定できる程度で充分です。締めすぎると腰の動きを制限し動きにくくなります。

 

2 肩ベルトの調整

次は肩のベルトの調整です。背中とのフィット感を一番に考えて調節してください。目安としては上半身を前後左右に動かした時にバックパックが背中からずれない程度です。きつめにすると自分の体の動きについてきますが全体的に窮屈に感じます。反対にルーズだとバックパックに引っ張られるように感じたりバックパックが揺れたりして歩きにくくなります。さらに気をつけるのは、締めすぎると全体的にバックパックが上に動いてしまうので腰の位置を変えないようにすることです。

 

3 チェストストラップの調整

最後に胸の前のベルトを調整します。これを調節することにより肩ベルトが肩に食い込んだり、腕の動きを邪魔することを防ぎます。これはチェストを締めない状態では腰と両肩の三点で固定しているのですが、この状態では加重は直接肩にかかりますし、腕を挙げた時や体勢を崩した時などはバックパックの肩ベルトがずれてしまい動きにくくなる場合もあります。それを無くすためにチェストを締めるのですが、締めるとこれまでフリーで動いていた肩のベルトが連結される事になり肩のベルトは胸の前部分に移動してきます。こうする事によってバックパックをさらに固定できるばかりでなく背中・肩・腰で加重を分散できるのです。チェストスタラップは締めすぎると首の部分が苦しく感じることになるので適度に調節してください。

 

4 バックパックを自分に引きつける

この部分は、バックパック全体をさらに自分に引きつけるための調整です。肩ベルトの付け根にあるストラップを調整することによりバックパックを自分の背中に引きつけることで、荷物が重い時に後ろに引っ張られる感じを軽減できます。

 

以上で基本的なバックパックの調整は終了です。また実際に使う際には、調整は完全に荷物を装備した状態で毎回行うことが必要です。登りと下りでは背負う装備が変わりますので、ハイクアップの前に歩きやすいように調整し、滑る前に滑りやすいように調整することにより、疲労を軽減することができます。登りの時はストラップを締めすぎないようにしてください。締めすぎると窮屈に感じてハイクアップの疲労が増す場合があります。反対に下りの時はストラップを全体的に締めると体とバックパックの密着感が増して滑りやすくなります。多少窮屈に感じても背中の荷物に振り回されて転倒してしまうよりは荷物に振り回されないようにキッチリとストラップを締めた方がライディングに集中できます。ストラップに関してですが長すぎるストラップはなんのメリットも無いので余裕を見て切ってしまうか、束ねて輪ゴムなどで縛る事が必要です。長いままにしておくとハイクアップやライディングの時に木の枝などに引っかけたりして危険ですのできちんと処理してください。

荷物の入れ方(パッキング)

バックパックの調整共に重要なのが荷物の入れ方(パッキング)です。基本的には重い荷物を上に、軽い荷物を下に詰め込むと疲労を軽減する事ができます。さらに重いものを背中側に軽いものを外側に入れればバックパックの重心が体に近くなるのでさらに快適です。これは登山の世界では常識で重心調整することによって体の動きを邪魔しなくなるからです。(重心が下にあると肩ベルトに後ろに引っ張られる感じがするのでひじょうに疲れます)ですが滑る際には重心が上にあると反対に安定しなくなるので、極端すぎるのはスノーボードの場合にはやめた方がいいでしょう。頻繁に使うもの、緊急時に使うものは取り出しやすいところに入れるのも忘れてはなりません。特にプローブは専用の場所が確保されている場合もあるのでできればそこに入れてください。荷物が少ない場合はなるべく縦にパッキングし、余分なスペースはコンプレッションベルトで締めてなくしてください。荷物が少ないからと下の方にばかり詰め込んでしまうと重心が下がり軽い荷物でも疲労が増します。ボードの取り付け方ですが基本的には縦に取り付けます。取り付け位置は足の邪魔にならない程度の場所です。上すぎると風の影響を受けたり枝に引っかかったりしますし、下すぎると足に当たって歩きにくくなります。できればボードの上の方が体により近くなるように調節してください。そうすることによって足に当たりにくくなりより安定したハイクアップができるようになります。

以上はバックカントリーでの最低限の知識とも言えます。ゲレンデなどで使う場合にはここまで細かに選ぶ必要はありません。用途に合わせて大きさやデザインを見れば充分です。最近ではカメラ対応のパットの厚いバックパックもいろいろ種類が増えていますからビデオカメラなんかを持ち歩く方は一度見てみるといいんじゃないでしょうか。