
長野県白馬村で、新たな高級ホテル開発の計画が進んでいる。投資事業を手がけるウェルス・マネジメント(東京)が、シンガポール資本のリゾート企業バンヤングループと共同出資し、人気観光エリア「エコーランド」地区の土地を取得。外国人富裕層をターゲットにした五つ星クラスのホテル建設を目指す。開業は2026年以降とみられる。
計画では、およそ100室規模の客室に加え、プールやスパ、レストランなどを備えた「スモール・ラグジュアリー」型の滞在拠点を整備する予定。スキー場に隣接し、冬季はスキー板を履いたまま出入りできる利便性も特徴になるという。
一方で、地元住民の間には強い懸念が広がっている。
「まずいラーメンが2500円もする。地元の人は手が出せない。スキー場周辺だけ物価が異常に高く、住民の生活が圧迫されている」と嘆く声がある。
また、外資系資本の流入によって地価や固定資産税が上昇し、「ローカルが離れていく現象がすでに始まっている」との指摘も。ある宿泊施設経営者は「ニセコは地元がそっぽを向く状態になったが、白馬も同じ道を歩みつつある」と危機感を語る。
スキー場運営に詳しい関係者はこう話す。
「外資が入ったら、地元は太刀打ちできない。儲けは全て外国に流れて、地元は潤わない。すでに億単位で外資が現金を積んで土地や施設を買収している。土地所有者や経営者は今のうちに高値で売り抜け、村を離れていく人が増えている」。
国も外国人による土地購入に制限を設けていない現状があり、「買収・開発・転売」といった投機的な動きが白馬でも進んでいるという。
自治体は過剰な開発を抑えるため、開発規模の規制や住民説明会の義務付けなどを検討。白馬を「第2のニセコ」にしないための持続可能な観光地づくりを模索している。
スキーリゾートとして世界的に注目を集める白馬村。高級ホテル開発は国際競争力を高める一方で、地域社会との共存が大きな課題となっている。