今季も様々な優れたスノーボード・ムービーが披露され、世界中のスノーボーダーたちのモチベーションをアップさせています。
世界でも一流のプロ・スノーボーダーたちのクリエィティブなライディングを見ていると、自分のスノーボーディングにもアイデアを授けてくれたり、技術面でも参考になるところがあります。そういった意味では、スノーボードのムービーは、一般スノーボーダーにとって参考書とも言えるでしょう。
しかし、毎日数多くの作品がリリースする中、多くの人はすべて見るには不可能ではないでしょうか?
そこで、おそらく世界でも最もスノーボード・ムービーを見続けた我々DMK編集部が、あなたのために「今季絶対に見てほしいスノーボード・ムービー」を厳選しました。
もちろん、ここで紹介した以外の作品にも優れたものはあるし、見てほしいものはあります。
だけど、ここでは最低限、「これは見ないと!」という作品を8選厳選してみました。
そのほとんどは、無料で見れますので、ぜひこの機会に見逃した方、年末年始にでも見てください。
見ているだけど、スノーボードIQが高まるような優れた作品ばかりです。
※掲載順は、今季のリリース公開順になっています。
目次
OH BOY
カナダ出身のいぶし銀テクニシャン!ジャスティン・クレイヴァンをはじめ、彼のおめがねにかなかったライダーたちが登場!
カナダでも豪雪地帯と言われるBC州のゴールデン、レベルストークを舞台に、各ライダーたちがバックカントリーでパフォーマンスを繰り広げる。
このようなステージからは、かけ離れた人が見ると、ライダーのやっている凄さが理解できなくて、眠くなってしまう可能性もある。だけど、そんな人も眠い目を擦って辛抱して見続ければ、いつかきっと彼らの凄さが理解できるだろう。噛めば噛めば味が出るようなスルメのような作品(?)。
よくバックカントリーでの映像では、作られたキッカーでパフォーマンスが繰り広げられるが、この作品ではほぼノータッチの雪山をライディング。そうしたところに、より彼らの技術の高さが読み取れる。
しかも、主人公のダスティンは、ただ滑ってジャンプするだけでなく、そこにスピントリックなどこうしたダイナミックなステージで楽しむ技術も備えている。
思えば2シーズン前には、ダスティンは世界を驚愕させた國母和宏シグネチャームービーのKAMIKAZUにも共演していたわけだが、やはりカズにように雪山を遊ぶのがうまい!
ちなみにこの作品、本格的なスノーボード・ムービーとしては、どの作品よりも早く9月29日にドロップさせた。
この時期にこのようなスノーボード作品が見れた上でも、貴重なものとなった。
Riders: Darcy Keller, Tyler Lightfoot, Dozer, Taylor Roberts, Dustin Craven, Scott Shaw, Keith Martin, Tanner Davidson, Minike Yamada
収録時間:18分50秒
THE MANBOYS / SNOWDANCE
カナダから世界にスノーボードの凄さやおもしろさを配信し続けるTHE MANBOYSの最新作。
THE MANBOYSは、これまでにも数多くのスノーボード賞を受賞して来た人気フィルム・クルーだ。
古き良きカナダの伝統的なスタイルを受け継ぐ、ライダーたちが真正面にスノーボードのカッコ良さを伝える作品。
アメリカのライダーたちのように、クールな素早い板さばきを見せるのではなく、ただ純粋にでデカく、スムースにバックカントリーでエアーを決めていく。
上体が暴れずに、クリーンに見せるライディング・テクニックは、かつてデヴァン・ウォルッシュや布施忠が見せて来たスタイルを伝承していると言っていいかもしれない。
ラスティ・オケイデン、マット・ベルジール、ジョディ・ワクニアックといういつものメンバー3人に加えて、トラビス・ライスの作品で人肌上げた暴れん坊クリス・ラズマン、さらに長年MANBOYSの親交あるベテラン・ライダー、ビュー・ビショップ、そしてやはり近年ずっとクルー入りしているエリック・ジャクソン、なぜか一人アメリカ人も参加!
これまでいたマーク・ソラーズが、バートン作品のため欠席はちょっと寂しい感じもするが、それでもバックカントリーの決定版とも言える優れた作品。これぞ、スノーボード・ムービーという感じで、お腹いっぱい度バッチリの作品だ。
Riders: Chris Rasman, Rusty Ockenden, Matt Belzile, Jody Wachniak, Beau Bishop, Eric Jackson
THE UNINVITED II
レディース・ストリートシーンを切り開いて来たジェス・キムラのプロデュースによるAN ALL GIRLS SNOWBOARD FILM。
さすが、ジェスによる厳選されたレディース・ライダーたち。もはやレディースというカテゴリーを疑いたくなるような、メンズ顔負けの攻めライディング集。
参加しているすべてのライダーたちのレベルが高く、間違いなくネクストレベルに引き上げる素晴らしい作品。
国内ライダーでは、Miyonが参加!言わずと知れたインターナショナル・レベル。
キックでの安定したボード・スライド。レールでの乗せ換え、ハンドプラントなど、超スタイリッシュ!
しかも、そのフッテージの数に驚かされる。
仕事量もさることながら、実力がなければここまでの画は残せないだろう。
また同パートでは、小野崎カリンと、TSUKIMIも参加している。
トリを飾ったのは、アイスランド出身イルヴァ(Ylfa Runarsdottir)だ。
本当にうまい!ヤバい!!激ヤバ!!!
バックワンが好きなトリックらしいが、それを活かしたレールでのバックワンインでそのままスイッチ5-0とか、超カッコいい。
おそらく、彼女は今季のスノーボード賞の有望なノミネート・ライダーになるだろう。
作品全体を通して、本当にレベルの高さを感じる。これまでのレディース・ストリートというカテゴリーにおいて、おそらく一番評価されてもいい作品になること間違いなし!
Riders: Ylfa Runarsdottir, Miyon Yamaguchi, Savannah Shinske, Naima Antolin, Taylor Elliott, Maggie Leon, Darrah Reid, Elena Graglia, Corrine Pasela, Kaleah Opal and many more…
収録時間:22分13秒
ONE WORLD
8年ぶりにチームムービーをリリースしたBurton。ここで紹介する動画の中で、唯一無料で公開されていない作品だったが、1月26日に全編フリー公開された。
今までこうしたスノーボードのムービーを見たことがあまりなかった人は、「スノボビデオ視聴デビュー」という意味でもオススメしたい!
登場するライダーはもちろん、撮影、編集、音楽、すべてにおいて業界のトップレベル!
作品全体から感じられる故ジェイク・バートン氏への思いは、心が温まる。
改めて、この素晴らしいスポーツを僕たちに授けてくれて、ありがとう!という気持ちになる作品。
多くのライダーが出ているが、ベン・ファーガソン、マーク・ソラーズ、ミッケル・バンの頑張りが印象的。
彼らのバックカントリー映像が、同作品のハイライトと言っていいだろう。
ストリートも素晴らしいのが、ストリートという舞台で比較すると、結構、他にも良い作品が出ているので、そのへんのアイデンティティーは弱くなるのかな、と思った。おそらく、バートンらしく、すべてのカテゴリー、バックカントリー&ストリート、メンズ&レディースに対応するために、このパートを盛り上げようと思ったのだろう。
ソラーズ、ファーガソンなど、おそらくこの業界ではトップクラスのバックカントリー・ライドを見せてもらったけど、これまでのバートン・ムービーのように、もっと大胆にパーク系の映像も織り交ぜてほしかった。パークやパイプのカッコ良さをガッツリを見せれるというのもバートンチームができる強みだったので、そのへんあまりなかったのが残念。
90年代のバートンの作品には、ゲレンデでのセッション、ユーロカーブのシーンなどもあったが、そういったチーム・セッションもあっても良かったのかな、と思う。
Riders: Anna Gasser, Ben Ferguson, Brock Crouch, Christian Haller, Clemens Millauer, Danny Davis, Dave Downing, Ethan Deiss, Jake Burton Carpenter, Jake Canter, Julia Marino, Jye Kearney, Kelly Clark, Kimmy Fasani, Kody Williams, Liu Jiayu, Luke Winkelmann, Maggie Leon, Maria Thomsen, Mark McMorris, Mark Sollors, Max Zebe, Mike Ciccarelli, Mikey Rencz, Mikkel Bang, Niels Schack, Patti Zhou, Raibu Katayama, Red Gerard, Terje Haakonsen, Tessa Maud, Timi Carpenter, Zoi Sadowski-Synnott.
収録時間:44分
betty ford. / BEYOND MEDALS
ケビン・バックストローム、トア・ランドストローム、セベ・デ・バックなどのお馴染みのメンバーに加えて、なんと今作は國母 和宏もラインナップ!!
カズの登場は、8:20あたりから9:07あたりまえの1分に満たない尺だけど、見ごたえ充分。よくぞ、これでランディングできる!という攻めたジャンプ・トリックを披露している。まるで動物のような動きというのだろうか。躍動感あるライディングはいつ見ていても気持ちいい。
必見パートだ。
全体を通して、バックカントリーでのフリースタイルで構成。先に紹介しているカナダの2つのクルー以上に、キッカーを整備してより高度でスタイリッシュなトリックに挑んだ印象がある。
また、ゲレンデ内のフッテージもスパイス程度に散りばめているところが、より感情移入をしやすいのではないだろうか。
とかく、スノーボードの映像作品というのは、自分たちが滑っているステージとあまりにもかけ離れているために、その凄さなどがもう1つ伝わらないケースがあるが、ライダーが自分たちと近いようなステージでライディングしていれば、より彼らの凄さがわかるというもの。
編集は、ライダーであるケビン自ら担当していて、彼の独特な世界観がこのムービーを彩りしている。
ここに紹介している作品の中では、最も短い14分なので、サラッと見たい人にもオススメ!
Starring: Kevin Backström Tor Lundström Max Buri Sebbe De Buck David Babacar Djité Kazu Kokobu Torgeir Bergrem
収録時間:14:41
Tangle / Snowboarder Magazine
トランスがなき今、世界のトップメディアとなったSNOWBOADER MAGAZINE。そんな業界のメディアリーダーが、作ったのがこの作品だ。
タイトルにあるTangleとは、「もつれ」とか「ごたごた」という意味があるが、文字通り、プロとアマ、さらにはレディースの混成で、そういった意味ではバラエティーに富んだ印象。
よく名前を知られたデズリー・メランコンやボード・メリル、昨年、女性最高峰のストリートライダーと言われたジル・パーキンスの他、あまり名前を聞いたことがないような新鋭まで登場。
そんな彼らがレベルの高いスキルをストリートで見せる。おそらく、ストリートの最高峰の作品の1つと言っていいだろう。
ただ、正直に言うと、マニアックな印象は否めない。
というのも40分を超える作品の中で、ほぼ全編ストリート色が強いのだ。実際、スノーボードの映像作品というのは、ストリート作品が多いのだが、一般ユーザーが付いて来れない印象がある。プロのライダーたちは、この世界に命を懸けてフッテージを残し、少しでも尺を稼ぐために努力しているのだが…、どうだろう?より業界向きというか、コア層向けの作品ではないだろうか。
Riders: DESIREE MELANCON, JILL PERKINS, NIRVANA ORTANEZ, PHIL HANSEN, BODE MERRILL, JEFF HOLCE, DENVER ORR, AND DYLAN OKUROWSKI
収録時間:41:30
SCANDALNAVIANS 2
北欧スターライダー集団が大集結したSCANDALNAVIANSによる2作目。
スヴァン・ソーグレン(スウェーデン)、アレック・オーストロング、バックパック男フリッジ(ノルウェー)、アンティ・ジュシラ(フィンランド)、ホルダー、エイキのヘルガソン兄弟(アイスランド)と、名前を聞くだけでも、間違いない作品だろう。
オープニングでは、巨大キッカー・セッションでフリースタイル・スノーボーディングの醍醐味を見せて、本編ではバックカントリーとストリートをうまく融合。ヘルガソン兄弟は、ストリートというシブい世界でも、僕たちをうまく誘い、そのカッコ良さとおもしろさも紹介してくれる。その他のストリート映像も、思わず「あり得ない!」という発想力で、とんでもないところを擦っているので必見だ。
さらにホルダーは、人類で彼しかできない独特なエアー・トリックも見せてくれるので、見逃せないパートに仕上げることに成功。
北欧ならではの透明感溢れる音楽が流れていたと思ったら、いかにもスノーボード作品っぽいアップテンポなメロコアを流したり、さらに遊び映像のところでは70年代風のお茶目な音楽だったり、こうしたエディティングでも、長丁場の作品を飽きさせない編集に長けた印象だ。
これおそらく、今季最高傑作のスノーボード・ムービーと言われるのではないだろうか?
それくらい、いい!
来年になると、欧米のスノーボード・メディアが、最高峰のスノーボード作品を称するわけだが、たぶんこの作品、賞を獲ると思う。
Riders:
Sweden: Sven Thorgren, Nisse Arvidsson, Johan Nordhag, Ludvig Billtoft
Norway: Alek Østereng, Fridtjof “Fridge” Tischendorf, Len Roald Jørgensen
Finland: Antti Jussila
Iceland: Halldor Helgason, Eiki Helgason
収録時間:43:39
Rain Dogs / KORUA Shapes
パウダー、カービングボードに特化したスノーボード・ブランド、KORUA Shapes(コルアシェイプス)が製作したプロモーション・ムービー、『Rain Dogs – Yearning For Turning in the Pacific Northwest』。
どれだけスノーボードのムービーが多くなったとしても、世界中の99パーセントの人が滑っているのは、ゲレンデ内だ。
バックカントリー、ストリート、巨大パークなど、映像で見ている世界と、僕たちが滑る世界とはかけ離れている。しかし、彼らが表現してくれている世界は、スキー場内に限っている。
グルーミングバーン、パウダー斜面などでカッコ良い「ターン」を見せてくれるのだ。
しかも、この「ターン」という世界が、どれだけ深いか!改めてその奥行きの深さを発見させてくれる作品なのだ。
作品全体がブラック&ホワイトの世界にまとめられて超絶クール。
今回、たまたまこの特集記事を見て、この作品を知ったあなたは、ラッキーでは?
だって、スノーボードに行きたくなったでしょ?
ここに登場するライダーで、このストーリーを描いて来たニコラス・ヴォルケンの策略にハマるわけである。
そう、この作品はそうした力強さを持つのだ。
スノーボード・ムービーは、どこに行くのか?何を求めるのか?
同作品を見ると、改めて考えさせてくれるきっかけを与える。
Riders: Nicholas Wolken, Lars Popp
収録時間:11:21