【フサキ日記】いつからスノーボーダーはメソッドをやらなくなったのだろう?

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ウィスラーも残りシーズンわずか。最近は生徒さんとパークに入れば、メソッドエアーを行うようにしています。

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生徒さんに写真を撮ってもらったら、自分のイメージとは裏腹に後足が蹴れていなくてガックリだったけど、またこうした恥ずかしい姿を見て「頑張ろう!」という気持ちになりました。

やはり、スノーボーダーはいつになっても、他人から「ダセえ」とか思われようが、チャレンジすることが大切なんだと思います。僕にとってはチャレンジすることが「クール」です。だから、今日も明日も転びます(笑)。

ところで、最近、イントラ仲間と話していて気付いたのですが、かなりスノーボードがうまいイントラの方でも、また上級スノーボーダーの方でもメソッドエアーをやらないことがわかりました。

いつからスノーボーダーはメソッドをやらなくなったのだろう?

僕たちがスノーボードを始めた30年前は、まずターンを覚えてある程度滑れるようになったら、メソッドは最初にやりたいことでした。だから、もう一年目でちょこちょこ滑れたボーダーが行うトリック。

当時はスタイルなんかあったもんでもない、という感じだったけど、ともかくエビに反るのがカッコいいみたいな風潮がありました。それから90年代に入って、ジェイミー・リンとかテリエ・ハーコンセンが出て来て。後足を蹴って、上半身と下半身をより捻ったトゥイークが台頭していった感じです。

90年代の日本のハウツー本では、

メランコリー:前手で両足の間、ヒールサイドをつかむ
メソッド:グラブしたところから、さらにエビに反る
トゥイーク:メソッドの形から、さらに後足で蹴った形

という感じで3つのカテゴリーに分かれた感があります。(※もしかしたら今でも日本ではそういう解釈で通っているのかも。)

だけど、こうして3つのエアー種類に分けるのは、日本だけの名称なんです。カナダではスタイルの違いという認識されることが多かったですね。

カナダのライダーにハウツー撮影のために、「メソッドとトゥイークをやって。」と言うと、「同じことじゃん。」って言われてしまうのです。カナダでは単にトゥイークという形はスタイルの敬称の呼ばれ方だったことを思い出します。

でも、それじゃあ、仕事にならないので、「日本ではエビに反るのがメソッドエアーと呼ぶので、まずはそれをやってほしいんだ。」と言うと、「オレのメソッドはそういうスタイルでなく、後足をより蹴るトゥイーク系だから。」と返され、「つべこべ言わずにオレ(日本の編集者)が好むえび反りのメソッドをやってから、お前の好きなトゥイークをやれ!」なんて口論していました(笑)。

過去のメソッド話をして来ましたが、本題に戻ります!
スノーボーダーが今のようにメソッドを求めなくなったのは、いつから?

最近の生徒さんの目指すところを聞くと、
「オーリーをやりたい」「180そして360をやりたい」「もっとスイッチでうまく滑りたい」
「急斜面でもコントロールして滑れるようになりたい」「ツリーを滑れるようになりたい」「カービングが滑れるようになりたい」
という具合で「メソッドやりたい」というのは、皆無。

全然OKなんだけど、昔のスノーボーダーだったら、こんな感じだったと思います。

「パウダーを滑りたい」「ぶっ飛びたい」「メソッドを決めたい」

もちろん昔から、スピンやスイッチもあったけど、メソッドというのは1つの大きなテーマでしたね。
海外の雑誌ではメソッドを名称に付けたものもあるし、それくらい僕たちが憧れようなものでした。

もしかしたら、教程とかイントラ資格とか、そういう方向にスノーボーダーを導き過ぎて、ちょっとおかしな方向に持って行ってしまったのかもしれません。

日本のJSBAの教程にしろ、カナダのイントラ資格のCASIにしろ、それぞれ素晴らしいことが示されていて、僕も時々勉強しています。デモンストレーターのヒザをドラビングさせて行うカービングターンは魅力的で参考にさせてもらっているし。CASIのことにくわしい方に、自分が悩むプログレッション(上達方法)を聞くこともあります。
例えば、「コブはどのように教えていますか?」とか「迂回コースが苦手な生徒さんにどのようにアプローチしますか?」など。
そこで聞くことはひじょうに参考になり、日々、自分のイントラ技術として吸収させてもらっています。

また最近では、優れたスノーボードのハウツー動画もどんどんアップしているので、そういうところからも勉強しています。そこにはこれまでなかったようなフリースタイルのプログレッションも示してあり、とても参考になります。

でもどんな教程にしろどんなハウツー教材&コンテンツにしろ、その偏った世界ばかりを見ていると、周りの景色が見えなくなるってこともあるのではないでしょうか? 実際、同じ仲間でみんな同じような滑りをしています。
JSBAで頑張って来ている方は、みんな上半身を開いて後足に体重を乗せてカービングしていたり。
CASIを習った方は、ペンギンのように両手を横に下げて完全に横向きに滑っていたり。まあ、実際には上のいる人ほどそうでない傾向もあるけど。
あとは、日本にはグラトリくんがいますね。やたらにグラトリやっていてゲレンデを暴れまくる暴走族のような連中が(笑)。

まっ、みんな好きなことをやっていていいんですよ。楽しいことが大切ですから。

だけど、スノーボードの世界は、もっと大きな海が広がっているのに、まるで目の前の池しか見ていないでしょうか? だから、本当に気持ち良いこと忘れてしまっていたり。

今、世の中に様々な上達方法が示されていて、実際にスノーボードがうまい人も多い中で、「メソッドができないって何なんだ!」と突っ込みたくなるのです。余計なお世話かもしれませんが。

どんなジャンプも気持ち良いけど、メソッドってまるでエビがピョーンと跳ねたように元気が伝わる気持ちいいいエアー・トリックだと思うのです。一般的にスノーボードを知らない人が見ても「わー、カッコいい!」と思うものではないでしょうか。だから、やりたい!なんて思いませんか?
若い女性の生徒さんの前でメソッドをやると、「ワーオ、フサキ!」なんて言われるのでテンションが上がるし(笑)。

まあ、その考えが80年代に生きて来たオジサン感覚なのかもしれませんが。

僕はスノーボーダーと名乗る以上、永遠にメソッドはできるようにしておきたいですね。逆に言ったら、僕の中でメソッドができなくなった時、もうスノーボーダーでない、という感覚になるのかもしれません。
今年で50歳になるけど、まずはあと10年先を目指し60歳になってもメソッドは決めたいです。

ところで、今回のこの記事を書くのに、自分の過去のメソッドの写真がないかなあ、と探したのですが7年前のものありました。

この時のメソッド、いいな(笑
もっと後足を蹴って、板のソールを見せつけるようなスタイリッシュなトゥイークは、自分には合わないのかもしれません。右手を振り上げ身体を反さらせ、まるでエビが跳ねたように元気が伝わるようなメソッドをやりたいな、と改めて思いました。

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