ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのスノーボード男子パラレル大回転は、世界屈指のベテランと若手が激突するハイレベルな戦いとなった。一方で、日本代表の斯波正樹は、ワックス検査で使用禁止のフッ素が検出され、予選で失格となる事態も起きた。
目次
金メダルは“パラレル界の職人”ベンヤミン・カール
男子パラレル大回転の金メダルは、オーストリアのベンヤミン・カールが獲得した。前回オリンピックに続く連覇を達成し、パラレル大回転史上、最も成功したオリンピアンとして名を刻んだ。
ベテランらしい安定したスタートと精密なターンワークでトーナメントを勝ち上がり、ビッグファイナルでも圧巻の滑りを披露。経験と技術を最大限に融合させた、完成度の高いレース運びで頂点に立った。
男子パラレル大回転 メダリスト
今大会の男子表彰台は以下の通り。
- 金メダル:ベンヤミン・カール(オーストリア)
- 銀メダル:キム・サンギュム(韓国)
- 銅メダル:テルヴェル・ザンフィロフ(ブルガリア)
スモールファイナルでは若手のザンフィロフが存在感を放ち、パラレル種目の世代交代を印象づける結果となった。
斯波正樹がワックス違反で失格
日本代表の斯波正樹は、男子パラレル大回転予選に出場したものの、1回目滑走後のワックス測定で失格となった。
斯波本人の説明によると、使用が禁止されているフッ素系ワックスが陽性と判定されたという。競技結果以前に失格が決定し、非常に悔しい形で大会を終えることになった。
なぜフッ素ワックスは使用禁止なのか?
フッ素ワックスとは?
フッ素ワックスは、雪面との摩擦を大幅に減らす効果を持つ高性能ワックスだ。特に湿雪や変化の激しい雪質では滑走性が大きく向上し、コンマ数秒を争うパラレル競技では極めて大きなアドバンテージとなる。
環境と健康への影響
フッ素化合物(PFAS)は、
- 自然環境で分解されにくい
- 水質汚染や生態系への影響が深刻
- 人体への蓄積リスクが指摘されている
といった問題を抱えており、スノースポーツ界でも長年課題となってきた。
FISが全面禁止に踏み切った理由
国際スキー・スノーボード連盟(FIS)は、
- 競技の公平性
- 環境保護
- 選手・スタッフの健康リスク低減
を理由に、フッ素ワックスの使用を全面的に禁止。現在は専用機器によるワックス検査が実施され、違反が確認された場合は即失格となる厳格な運用が行われている。
「知らなかった」では済まされない時代に
フッ素規制はすでに周知されており、選手個人だけでなく、チーム全体の管理体制が問われる時代となった。今回の斯波の失格は、その厳しさを改めて浮き彫りにする出来事と言える。
男子パラレル大回転 順位表(ミラノ・コルティナ五輪)
| 順位 | 選手名 | 国 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 🥇1 | ベンヤミン・カール | オーストリア | ビッグファイナル |
| 🥈2 | キム・サンギュム | 韓国 | ビッグファイナル |
| 🥉3 | テルヴェル・ザンフィロフ | ブルガリア | スモールファイナル |
| 4 | ティム・マストナク | スロベニア | スモールファイナル |
| 5 | ローランド・フィシュナラー | イタリア | 準々決勝敗退 |
| 6 | アルノー・ゴーデ | カナダ | 準々決勝敗退 |
| 7 | ミルコ・フェリチェッティ | イタリア | 準々決勝敗退 |
| 8 | アンドレアス・プロメッガー | オーストリア | 準々決勝敗退 |
| 9 | アーロン・マーチ | イタリア | 1回戦敗退 |
| 10 | イ・サンホ | 韓国 | 1回戦敗退 |
| 11 | ダリオ・カヴィーゼル | スイス | 1回戦敗退 |
| 12 | ザン・コシル | スロベニア | 1回戦敗退 |
| 13 | エリアス・フーバー | ドイツ | 1回戦敗退 |
| 13 | ラドスラフ・ヤンコフ | ブルガリア | 1回戦敗退 |
| 15 | マウリツィオ・ボルモリーニ | イタリア | 1回戦敗退 |
| 16 | ロク・マルグッチ | スロベニア | 1回戦敗退 |
| 失格 | 斯波正樹 | 日本 | フッ素ワックス陽性で失格 |

