鬼塚雅が世界選手権3つ目のメダル獲得!木俣椋真が初出場で銀メダル!!

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ジョージアで開かれている2年に一度しか開催されないスノーボード世界選手権で、スロープスタイルの決勝が行われ、女子では鬼塚雅(24歳)が3大会連続のメダルとなる銅を獲得した。
一方男子では、初出場の木俣椋真(20歳)が銀メダル!

女子優勝は、イギリスの新星ミア・ブルックス(16歳)で、なんと彼女はスロープスタイルでキャブ1440をメイクした。もちろん女子では初の快挙で、そのモンスター・ルーティーンは世界を驚愕させた。
男子優勝は、ノルウェーのマーカス・クリーブランド(23歳)。逆転を狙った2本目で激しい難コースを制し、見事に2大会連続の金メダルに輝いた!

目次

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鬼塚雅8年前の金メダリストが再び銅メダリストに返り咲き!

思えば今回、16歳の新星ミア・ブルックスが優勝した同じ歳に、鬼塚雅は世界選手権で金メダルに輝いた。あの時代は、キャブ1080が女子の最高峰トリックだったが、あれから8年という時間は、スノーボード界のレベルが衝撃的にアップしている。やはり世界が注目するスノーボード、それも花形のフリースタイル競技ともなれば、観衆の目、応援というものが選手を後押ししてスポーツの進化を早めるのだろう。
その激しい競争にさらされ、選手は命を削るような努力で世界の舞台で戦っている。

鬼塚は1本目から表彰台を狙ってチャージを賭けた。ジブセクションでは、ボードスライド・フェイキーオフ、次の土管レールではバックサイド180オンからキャブ360オフを力強く決め高難度のトリックで駆け抜け、さらにキッカーセクションではキャブ900メラン、フロントサイド1080、バックサイド720ウェドルを鮮やかに決めたのである。
これまでのスロープスタイルなら、3連キッカーで終わることが多かったけど、今回の世界選手権のコースはそう甘くはない。さらにジブセクションが続く。
フロントサイド180オンからスイッチバックサイド360オフ、最後の方は、一発フロント側の青い土管レールに当て込み、ラストレールでフロントサイド・ボードスライドをクリーンメイク。このルーティーンで、83.05ポイントをマークし表彰台を確保した。

試合展開からすると、この時点でほぼ間違いなく表彰台だったが、この後さらに金メダルを狙い難易度を上げるルーティーンを狙ったが失敗。しかし、ベテランらしい終始しっかりとゲーム展開を作り見事に銅メダルを獲得した。

「凄くレベルの高い大会だったので、銅メダルは価値があります。1回目のランで表彰台を狙って、決められたところから流れが(大会の)作れました。2回目は金メダルを狙って攻めたルーティンにトライしましたが、転んでしまい悔しかったです。でも、銅メダルを獲得することができてとても嬉しい!オリンピックが終わってメンタル面を鍛えてきたのでそれが結果につながったのかなと思います。若手も凄いけど、私もまだまだ負けずに頑張っていきたい」と力強くコメントを残した。

鬼塚にとって世界選手権のスロープスタイルは、2017年に銅メダルも獲得しているので、2015年の金メダルを合わせると、合計3つのメダルを獲得したことになる。世界選手権では無類なき強さを発揮しているが、もちろん目標は2026年ミラノ・コルティナ・オリンピックだろう。過去2つのオリンピックでは、持ち前の実力を発揮できずに終わった感があるので、3年後こそ明るい雅スマイルを見せてほしい。

女子スロープ史上最高のルーティーンでイギリスの新星ミア・ブルックスが金メダル獲得!

おそらく、この日のミア・ブルックス(16歳)のルーティーンは、今後のスノーボード・コンペティション史においても長く語り継がれるだろう。それくらい衝撃的なルーティーンをやってのけた。

ハーフキャブオンからバックサイド360オフ、次のジブアイテムでもバックスリーを簡単そうに決めた。さあ、ジャンプセクションで何を見せるかと思えば、最初にフロントサイド720を放つと、次のバックサイドではさらに回転数を上げて900、そして狙いを定めてキャブ1440に挑戦。その超大技を完璧に決めて見せたのだ。
トゥで抜けるバックサイドスピンと違って、ヒールで抜けるフロント回りは回転数を上げ難い。ましてスイッチからのアプローチで1440を決めるなんて!そしてなんと言っても一発だけで決めるビッグエアのトリックと違って、連続アイテムでパフォーマンスジャンプを繰り広げるスロープスタイルでのトリックは、その難易度も上がり価値は高くなる。こんなことができるなんて、まるでモンスターだ。16歳の高校生に向かってモンスターとは申し訳ないが、本当にとんでもない化け物ライダーが出現した。
ジャンプセクションの後は、キャノンレールでのスイッチボードスライド270テールグラブ、ウォールライドへのハーフキャブ、土管レールではアーリーウープ、最後はレールのキンク部分を利用して270してそのままスムースに抜けて行った。その姿、まるで裏庭で踊って楽しんでいるほどの軽快な動きだった。きっと彼女は、小さい頃からこのような大きなステージをイメージして、ジャンプだけではなくジブもバランスよく鍛えて来たに違いない。

結果、91.38点というハイスコアを出し史上最も若いスノーボード世界選手権王者になったのである。生まれてからわずか18カ月でスノーボードを始めた天才少女は、遂に夢を叶えた。しかもその年齢、しつこくて申し訳ないが、まだ16歳だ!

「練習で(キャブ)1260を試したとき、回り過ぎて1440を出しそうになったので、このジャンプで可能だと思ったんです。まさか決めることができるなんて、とても嬉しい!」と泣きそうにながらミアは優勝コメントを残した。

※記事参考: FIS SNOWBOARDSサイト
Brookes and Kleveland storm to gold in history-making Bakuriani slopestyle showdown
https://www.fis-ski.com/en/snowboard/park-and-pipe/pipe-and-slope/news-multimedia/news/brookes-and-kleveland-storm-to-gold-in-history-making-bakuriani-slopestyle-showdown


2度のスロープスタイル世界チャンピオンとオリンピック金メダリストのニュージーランドのゾーイ・サドウスキー・シノット(21歳)もイギリスからやって来た可愛いモンスターが出現しなければ、再び金メダル獲得というパフォーマンスだった。

最初の方のジブセクションでは、ポップアウト強めの安定感が抜群なところを見せ、勝負どころの3連ジャンプではスイッチ900インディからフロントサイド1080インディ、バックサイド1080ウェドルを完璧メイク!さらにレールアウトでバックフリップでのインディグラブをするなど、技巧者ぶりなところも披露。ミアよりも5つ上の先輩ライダーだが、間違いなく今後も女子スロープ界を引っ張る力を持っているところを見せた素晴らしいランだった。

その他の日本勢女子は16歳の深田茉莉が5位、岩渕麗楽が6位となった。
岩渕にとって、世界選手権は3回目の挑戦となる。逆転を狙った2本目では、ジャンプの難度を上げたが失敗。レールセクションでも高得点を出せなかった。
「ジャンプではなく、今回の課題はレール。そこを再認識させられた」と悔しがった。しかし、まだ得意の種目、ビッグエアが残っているので、ぜひそこで表彰台に立ってほしい。

女子スロープスタイル結果
1位 ミア・ブルックス(イギリス)
2位 ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)
3位 鬼塚 雅
5位 深田茉莉
6位 岩渕麗楽
20位 浅沼妃莉


世界選手権史上初!スロープスタイル連続金メダルに輝いたマーカス・クリーブランド

北京オリンピックでは、本来の持ち味を発揮できずに悔しい結果に終わっているが、正直、ここ1、2年間のマーカス・クリーブランドの活躍は非の打ち所がない。X Gamesではフラットスピンでのバックサイド1800を敢行し金メダルを獲得しているし、W杯においても勝ち続けている。しかも、まるで地球人とは思えないようなノーリー抜けの高難度トリックを決めているし。

今回の世界選手権でも後がないラストランで、その実力者ぶりが発揮された!
ジブセクションを完璧に決めた後、最初のジャンプでスイッチフロントサイド1260ステールフィッシュ、そして1本目ランで失敗した2つ目のキッカーではフロントサイドトリプルコーク1440ウェドルをクリーンヒットだ。まるで雪面に磁力があるかのように着地ストンプさせた。 3つ目のキッカーで巨大なバックサイドダブルコーク1800メラン、その後のジブセクションでのキャノンレールではボードスライドからアンダーフリップ630回転!会場は、見事にマーカス劇場となった。


日本期待の二十歳の木俣良馬は、1本目のハイスコアを出すことに成功した。
勝負どころのジャンプセクションでは、スイッチバックサイド1260ステールフィッシュ、フロントサイド・トリプルコーク1440ウェドル、バックサイド1620メラン、さらにその後のキャノンではスイッチフロントボードから810オフまで決めている。このレールって、こんなにスピンオフを容易にすることができるのか!とも思わすほど、選手たちは凄いパフォーマンスを発揮するが、木俣も見せてくれた。ジブなど固いアイテムが苦手な記者から見れば、まさに異次元のテクニックにしか見えない。

このランにより83.45点をマークし、木俣はキャリア初の世界選手権での銀メダル獲得となった。
おそらく本人も納得のパフォーマンスだっただろう。



日本勢は、これまでどちらかというとスロープスタイルよりもビッグエアで優秀な成績が残して来た。その背景にあるのは、やはり国内での夏も練習できるジャンプ施設の影響が大きい。一方、技を何度もクリーンにメイクしなくてはいかない、また持久力も影響してくるスロープスタイルでは分が悪かった。そんな中、今回の木俣の銀メダルは本当に嬉しいニュースだ。これをきっかけに日本人でもガンガンとスロープでも活躍できるところを見せてほしい。

しかも、今回は3年後のオリンピックのコースを難しさを示唆するような「ジブセクション→ジャンプ3連→ジブセクション」という構成。優勝したマーカスでさえも「タフコース」と明言している。選手にとっては、さらに過酷な進化へのトリップを垣間見たような大会となった。


男子スロープスタイル結果
1位 マーカス・クリーブランド(ノルウェー)
2位 木俣椋真
3位 クリス・コーニング(アメリカ)
6位 長谷川帝勝
7位 大塚 健
39位 飛田流輝

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