軽井沢プリンスホテルスキー場、リフト券価格が本州初の1万円台へ

(首都圏からアクセスの良さは抜群!出典:軽井沢プリンス)
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北海道・白馬との比較にみる二極化の進行

軽井沢プリンスホテルスキー場(長野県軽井沢町)が今季、リフト1日券を本州で初めて1万円台に設定した。昨季は9,800円だったため、遂に大台に乗った 形だ。もっとも、公式サイトでの事前購入「WEB割引」を利用すれば1,000円引きとなり、実質9,000円台での利用が可能となっている。

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北海道・ニセコ・ルスツはすでに1万円超え

北海道では、ニセコユナイテッドやルスツリゾートなどがすでに1万円超えの料金設定を導入済みだ。これらは海外富裕層を中心としたインバウンド需要を背景に、国際水準の価格を受け入れられる市場環境を整えてきた経緯がある。特にニセコは欧米豪を中心に「世界有数のパウダースノーリゾート」としてのブランドを確立しており、価格上昇を正当化しやすい。

白馬エリアの現状

一方、白馬エリアはインバウンドの存在感が増しているものの、単体スキー場のリフト券価格はまだ8千〜9千円台が主流だ。地域全体で複数のスキー場を滑走できる「共通券」や長期滞在型需要が中心で、軽井沢のような「日帰り需要に依拠した高価格戦略」は取りづらい。

軽井沢の特殊性

軽井沢は首都圏から新幹線で約1時間という圧倒的なアクセス優位性を持つ。訪日外国人のみならず、国内の日帰り客や短期滞在客が多く、移動コストの低さが「リフト券の高さを相殺」する構造になっている。さらに、ショッピングモールや宿泊施設を併設し、スキー+観光の複合的消費を生み出す点で他エリアとの差別化が進んでいる。

業界に広がる二極化

今回の軽井沢の1万円台入りは、本州スキー場における「価格の天井」を押し上げる可能性を示した。一方で、北海道や一部の国際リゾートと同様にインバウンド需要を強固に取り込める施設でなければ、追随は難しい。今後は、

  • 国際リゾート型(高価格帯・インバウンド依存)
  • 国内需要型(中価格帯・家族層重視)
    の二極化が鮮明になるとみられる。

ニセコやルスツが切り開いた「1万円超えリフト券」の流れに、本州の軽井沢が加わったことで、価格上昇は一部リゾートに限定されるのではなく、立地・ブランド力・需要構造が揃えば十分成立する価格帯 であることが示された。今後、白馬や他の大規模リゾートがどこまで追随できるかが、業界関係者にとって注目の焦点となりそうだ。

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