マリファナを吸うとスノーボードのパフォーマンスが上がるのか?
アメリカの専門誌SNOWBOARD MAGAZINEが60人のプロ・スノーボーダーに実施したところ15%が「YES」、85%が「NO」と回答した。
Is Weed a Performance-Enhancing Drug In Snowboarding?
https://snowboardmag.com/stories/is-weed-a-performance-enhancing-drug-in-snowboarding
アメリカでは、15州も娯楽のためにマリファナが合法化されていて、スノーボーダーの間でもひじょうに身近なものになっている。かつて、オリンピック前にある日本人スノーボード選手が、マリファナを吸ったとかでメディアに叩かれ、ナショナルチームから締め出しを食ったが…。アメリカでは特にスノーボードが盛んな地域ほど、合法的な州が多いようにも見える。以下は、合法している州だ。
アラスカ州、アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、イリノイ州、メイン州、マサチューセッツ州、ミシガン州、モンタナ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州、そしてワシントンDCも。
記者が住むカナダでは、すでに国として合法化されているので、ウィスラーでもリフトに乗っている時に独特なマリファナの匂いが漂って来る場合がある。本当は、スキー場内は大麻を吸うこともタバコも禁止なんだけど。
そんな海外では、かなり日常的な大麻だが、スポーツの世界においては、世界アンチ・ドーピング機構はいまだにTHC(マリファナの主成分)を競技中の禁止薬物リストに載せている。
そこで、SNOWBOARD MAGAZINEは60人のプロ・スノーボーダーにパフォーマンスに影響するのかどうか、アンケートを実施したわけだ。
最初に彼らがライダーたちにアプローチした時、一部からはIOCなどの聞き込み調査と勘違いして、本音を出せなかったこともあったようだ。しかし、今回、すべて60人のコメントを紹介しており、その内容を拝見すると最終的にライダーは、これがSNOWBOARD MAGAZINEのコンテンツのためのアンケートとして安心して、正直にコメントを伝えたようだ。
回答の中には、完全に「イエス」であったり完全に「ノー」のようなものもあったが、もうほとんどが「大麻はパフォーマンスに影響しない」と考えているようである。最も的を得た回答というのは、以下のコメントのような気がする。
「大麻は、スノーボーダーが最高の技術レベルでパフォーマンスを発揮するために必要な精度を高める薬物ではないと思う。新しいことに挑戦したり、非常識なラインを落としたりするときのストレスや緊張感を取り除くことはできるかもしれないが、マリファナを使用していないスノーボーダーと比べて 不公平だとは思わない」。
また、最後に紹介されているコメントも、今回の企画の集約された結論でもあるか、と思う。
「大麻がパフォーマンスを向上させる唯一の側面は、気持ちを落ち着かせ、自分の結果を少し気にしなくさせ、イベントでの緊張を和らげる可能性があるということだろう。しかし同時に、人によっては不安を与え、すべての強化が不利に働くこともある。コースのトップでよりストレスを感じる人もいる。目の前のことよりも、100万もの他のことを考えてしまうのだ。WADAやUSADAといえば…、クリーンな競技をすることだ。大会ではアルコールも禁止されている。だから、可能な限り純粋な状態で競技することを考えるなら、それは何かを摂取して競技するというカテゴリーに入る。つまり、クリーンを競うことではないんだ。
キノコ(マジックマッシュルーム)はまた別の話だ。キノコは私の目には完全な強化薬にしか映らない!イベントでの微量摂取は、スーパーパワーになるかもしれない」
今回のアンケート調査では、匿名になっているので、いったいどんなスタイルのプロ・スノーボーダーが発言したのかわからない。しかし、おそらくプロと言っても映像の世界で活躍するプロもいれば、オリンピックを狙うような競技ライダーもいるだろう。立場が違うので、考え方が変わるという部分もあると思う。
また、何人かのライダーも伝えているが、人によって違うと。確かに世の中には、お酒でも水のように飲んでしまう人もいれば、少しでもアルコールが入ったら、顔を真っ赤にしてしまう方など様々だ。
「マリファナを吸うのが得意なら、間違いなく役に立つと思う。葉っぱを吸うのが苦手な人は…、パフォーマンスを向上させるのとは正反対です。私にとっては、絶対にダメです」
そう役に立ちそうな人もいるだろうし、逆にパフォーマンスを落としてしまう人もいるのだろう。
どちらにしても本来のスノーボードのパフォーマンスが、マリファナによって左右されるのであれば、やはりこれからも競技においては違反であると判断してよさそうだ。