ACL断裂からのリスタート──Iris Phamが語る痛みと希望

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「Iris Pham is phucking awesome.」
その一言がすべてを物語っている。タフで、繊細で、どこまでもリアル。今季最も衝撃的なスラムのひとつを喰らい、ACLと半月板を損傷。それでも彼女は前に進んでいる。

The Platfrmのドキュメンタリーシリーズ『Portraits』で描かれるのは、ケガを負った一人のスノーボーダーの姿ではなく、そこに至るまでの人生、そして「今」を見つめ直す旅そのものだ。

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子どもの頃から感じていた「限界」。家族の事情で決して恵まれた環境ではなかったが、それでも彼女は「やりたいことがあれば、なんとかしてやる」マインドで突き進んできた。最初のスポンサーがついた日から、すべてが変わった。車のローンを支援してもらい、トリップに出かけ、そして夢が夢じゃなくなった。

バンライフを拠点に世界を飛び回り、憧れのライダーたちの映像を見てはトリックを真似し、自分でも驚くような成長を遂げてきた。そして、周囲が彼女に可能性を見出し、彼女自身もようやく「自分にはできるかもしれない」と思い始めた頃、運命のアクシデントが起こる。

滑ることすらままならない今、Irisは「止まる」ことの意味を知る。「今まで突っ走ってきた分、スローダウンする時間も特別なもの」と語るその表情には、迷いも焦りもある。でも、その奥にあるのは、自分の人生を信じ抜く芯の強さだ。

保険、治療、リハビリ──普通の「家」を持たない生活だからこその葛藤もある。それでも彼女はSalt Lake Cityに仲間がいること、自分にはまだやるべきことがあることを、ちゃんとわかっている。

「スノーボードは、ほとんどがメンタルの勝負。自分ができると信じるかどうか。」
そう語る彼女の目は、すでに次のチャプターを見据えている。

「誰かの理想」ではなく、「自分の理想」の人生を生きること。
その難しさと美しさが、Iris Phamの言葉と姿に詰まっている。

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