dmkグローバル「初」の卒業生カメラマン/大屋 育大

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フサキ(以下F):イックー1年半おつかれさま!
育大(以下I):どうも、おつかれまです!

F:イックーはウィスラーに来てから、英語学校に通ったり南米とかに行ったわけだけど、大まかにいつどこで何をしたか教えてくれる。

I:昨年の1月からウィスラーでホームステイしながら英語学校に行きました。5月からはスキー場で知り合ったカナダ人家族のお世話になり、バンクーバー郊外のバーナビーに滞在。8月の下旬から4ヶ月の南米旅行で、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンを早いペースで回り、12月にはウィスラーに戻って、今年はずっとスキーをやってました。

F:確かシーズン「レッスン」パスを買ったんだよね。結構、シーズンの「レッスン」パスという存在知られていないけど、お買い得プライスだよね。

I:来年からは値上がりするみたいですけど、今年は400ドルぐらいでした。11月から4月までレッスン受け放題です。

F:安いよね。スノーボード・キャンプに行くより、そっちの方がよっぽど上達するような気がするなあ。とは言ってもシーズンで来るというのは、なかなか一般の人にとっては難しいことだけど。
I:絶対オススメですよ。シーズン中は何度でもレッスンを受けれるし、その日のコンディションにあったおもしろいコースに連れて行ってくれるし。他にはインストラクターの滑りを見ていたら、いい滑りのイメージを植え付けられますよね。

F:dmkのカメラマンとしてやったわけだけど、どうだった?

I:いい経験になったと思います。特に自分が働いていた時、強くプロフェッショナルを意識する職場(注釈:イックーはカナダに来る前に航空会社に勤めていて、飛行計画を作成する仕事をやっていた)だったじゃないですか。だから、フサキさんを見て、プロのスノーボーダーの仕事ぶりってひじょうに興味深かったです。ああ、どこの世界でもプロの意識を持った人は違うなあ、と思いました。

F:やってみて、どうだった? なーんだ大したことないじゃんという部分もあったんじゃない?

I:あのー、実際スノーボードの世界とか知らなかったんですけど、スノーボードの雑誌を見て、あれー意外とレベルが低いなあ、と・・・。

F:ハハハ!(笑) そんなこと言ったらやばいんじゃないの?
I:ええ、こんなこと言ったらやばいですよね。

F:例えば雑誌を見ていて、オレならこう撮るのにみたいなものってあった?
I:雑誌の作りになるとまた別で、スノーボードの読者が何をほしがっているのかって僕自身がよくわかってないですから、これをこうした方がいいとは一概には言えないですね。

F:じゃあ、なぜ写真見てこんなもんか、というものがあったの?
I:それは美的センスの話で、アートとしてということです。

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F:なるほどね。
I:実際ウィスラーのガイド案内で写真を撮らせてもらいましたけど、どうしてもスノーの写真ってバリエーションが限られてきちゃいますよね。青空で雪が白くってというだけで、なかなか写真に変化をつけにくい感じがします。またライダーの滑りとか撮ると、その日のうちに撮ったりしないといけないじゃないですか。じゃあ、納得が行くまで撮れないというのがありますよね。たぶんいいと思う。見てみて良かったとかなりますよね。

F:うーん、それが難しいよね。
I:やっつけ仕事的になる・・・、したくなくてもなってしまう時ってあるじゃないですか。

F:ところで、こっちでスノーボードを始めたわけだけど、どうだった?
I:難しかったですね。逆エッジがきつかったです。ヘルメットをしていてもズコーンって転んで吐きそうになったことがありますから。

F:最初、教えた時には凄く心配したよ。あまりの体力のなさにカメラマン勤まるのかなあって不安だった。
I:あれ、高山病だったんですよ。

F:でも、キホン的にカメラの時はスキーだったよね。
I:そうですね。僕が足をケガしたこともあって、スノーボードが恐かったんで。

F:そもそもなんでアプライしたの? dmkでカメラマンをやろうって?
I:写真が好きだったんで。ワーホリで行って別にやることないし、カナダ来ても主な目的と行ったら英語を覚えることぐらいで。それとスポーツが好きなんで、スノーボードを覚える良いきっかけかなあと思って。

F:なんでオレは、イックーにスノーボードを教えたんだっけ?
I:スノーボーダーには、スノーボーダーのカメラマンの方が盛り上がるからって。

F:そうだよね。実際やってみて、こんなに仕事少なかったのかっってビックリしなかった?
I:まあ、ワーホリのアルバイトですから。いい経験になりました。ゆっくりやれて良かったです。お金にも困っていなかったし。どうしてもそれで飯を食っていかんようになったら、さっきの話じゃないですけど、やっつけ仕事的な部分は出てくるし、それでいてある程度のレベルを保たないといけないと思うんです。それが凄く難しいですね。僕の場合所詮アマチュアの小遣い稼ぎですから時間かけてゆっくりやって、それで自分が納得できたら、趣味としては十分ですから。

F:イックーとやっていて戸惑ったのは、セッティングの遅さ。あれでリズムを狂されそうになったな。
I:ハハハッ(笑)。あれは、ひじょうに申し訳ないことをしたなと思っています。だけど、どういう手順でやっていいかわからなかったんです。それとフイルムを無駄に使ったらいけないと思いまして。

F:結構、何というのかなあ。それなりに絵を作っていたから遅かったんだろうね。
I:ええ、作ってましたね。

F:最後にイックーの人生計画を聞こうかな。なんでdmkを卒業しなくちゃいけないかを。まあ、卒業と言ってもこれからずっと連絡を取り合うだろうけど、なんていうのかな、イックーはカメラマンとして十分才能があるのに、なぜそれを放棄するのかってことを。カメラマンよりも上回るイックーの夢って何?
I:けっこう凝り性なもんで写真はいつも100パーセントに近いものを撮りたかったんですけど、このまま商業ベースに乗せようと思ったら自分では無理かなあって思って。

F:本当?
I:ええ、そういうやっつけ仕事の写真は撮りたくなかったのが1つですね。もうひとつは、お話しましたけど、いろんな発展途上国を旅行したじゃないですか。そこで自分が日本人であるというだけでアドバンテージがあるっていうことに気付いたんですよ。例えば、僕なんて特別な能力なんてないんですよね。

F:だって、あるじゃんたくさん能力。

I:ありがとうございます。でも、僕が日本人であるから、仕事もせずに3年も旅行ができるんですよ。インド人でいくら僕より能力が数倍優れていてもそんなに長い間、旅行なんてできないじゃないですか、経済的に。

F:なるほど。
I:ええ、そういうアドバンテージに気付いたんですよ。例えば、日本で働きたい外国人なんてたくさんいるじゃないですか。インドなんか、月給5千円とか8千円とかの世界なんですよね。でも日本人なら半日とかでそれぐらいの額を稼いでしまうんです。そのギャップを使って何かできるのかなと思ったんです。

F:なるほど。
I:で、具体的には僕はこのあと医者になるつもりです。第三世界の国に手助けに行くっていう医者はたくさんます。でも僕はしばらくはそうはしません。僕みたいな医者がそんな国に行ってもやっぱり一人の医者でしかないんですよ。インド人の一人と同じしか値打ちがないわけです。でも日本で稼いだお金をインドに還元する。で、医学生のための基金を作るんです。もちろんインドに限らずアジアの貧乏な国とかでも。1万円のお金を投資するだけで、彼らは1月も生活ができるんです。10年後、20年後には一人の医者がいるんじゃなくて、たくさんの医者がいるわけです。医者はどこの国でもある程度ステイタスがありますよね。彼らがその地区のリーダーになって人々を啓発したり啓蒙したりできるわけです。

F:なんだその啓発とか啓蒙って?

I:言い換えれば、将来その地域のために貢献できる人を育てるんです。そうすれば50年後には世界がちょっとは良くなってるかもしれないですから。

F:今、イックーいくつ?
I:30歳です。

F:じゃあ、80歳まで頑張るんだ。凄いなあ。
I:まあ、生きていればですね。生涯現役ですから。

F:オレもそれ目指そう!

I:ええ、ジャイアント馬場のように生涯現役です。

F:ハハ(笑)。うまいね。オレが好きなプロレスを最後のオチに使うなんて。いい流れだよ。今までにないインタビューができたね。
I:意外な展開ですか?F:うーん、なんて言うか。意外になるのは、わかっていたけど。I:僕はあまりスノーボードの話ができないんで。

F:スノーボード、スノーボードという人が多く見ているのだろうけど、そういう狭い世界じゃないんだよって伝えたかったから、ちょうど良かったよ。言葉は悪いけど、オレだってスノーボードというのを利用しているだけだからさ。もちろんスノーボードを愛していて、これからも一生涯続けていくことに変わりはないけど、スノーボードを通じて知り合った、いろいろな意味での縁というのがひじょうに大きいことだと思うんだ。
I:ええ、僕は北朝鮮計画をひじょうに楽しみにしているんですけど。

F:北朝鮮かあ。やらなきゃなあ。
I:そういうこと思っているプロなんていないと思いますよ。ひじょうに凄いと思いますよ。

F:やらないとね。言っているだけじゃなく。
I:ええ、難しいんですよね。行動に起こすってことがなかなか。行動を起こしても結果を出すということが。僕だって基金作るって、いつになるかわからないですから。

F:そうだよね。でも、思っていればいつか実現するよ。自分を信じていつまでも行動するというボタンを押し続ければいいことだから。
I:僕の中では、夢じゃなくて計画なんですよ。

インタビュー後記:
来るもの拒まずという気持ちで採用したイックー。とは言うものの最初のうちイックーとやり始めて、ひじょうに不安だった。スノーボードはできないし、撮影ペースは遅いし・・・。しかし、だんだんといっしょにやっているうちに彼が凄く仕事に真剣で、とても素晴らしい素質を持っているんだということがわかった。忘れもしない昨年のウエストビーチ大会。彼はカメラ片手にバリバリのカッコ悪いスキー・ウエア姿でビッグ・エアー大会で選手たちの顔写真を撮っていた。誰が有名人だがよくわからずに、選手を撮っている。気付いてみたら、ケビン・ヤングの隣に立っていた。その姿を見た時、僕は彼はとても大物になる!という予感がした。物怖じせずに格好とかに左右されずに行動する。芯から強い男であると思った。イックーがウィスラーから去りとても寂しい気分であるが、オレもイックーには負けてはいられないと思っている。イックー、オレに良いエネルギーくれてありがとう!そしておつかれさまでした!

大屋育大が担当した仕事
スノーイング誌(9月号)RIDE ON/カラー1ページ(ライダー:飯田房貴)
スノーボード・ニッポン誌(2号)ウィスラー&ブラッコム徹底ガイド/カラー8ページ(ライダー:飯田房貴他)
スノーボーダー誌(1号~4号)ライダーたちの顔写真やライディング写真多数
スノーイング誌(4月号)Snowboarder’s Lifestyle/カラー1ページ(ライダー:飯田房貴)

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