韓国のレジェンド・ライダー/リー・トック・ムン

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韓国にもプロ・ライダーいること知っている? 日本ほどまだスノーボードで生計を立てられるプロは少ないのだけど、その中でも一番韓国で知名度があって、レジェンド的なライダーを紹介しよう。その名はリー・トック・ムン。7年も前から親交を重ねているライダーです。 

フサキ(以下F):最近はプロ・ライダーとしてどんな活動をしているの?
リー(以下L):フサキと最初に会ったのが7年前だったけど、大会には出ていたけどあの頃はまだまだ下手くそなスノーボーダーだった。

F:だけど、翌年はとてもうまいスノーボーダーになったんだよね。
L:自分としてまだまだだと思っていたけど、たくさん練習して来てワナカのビッグ・エアー大会で7位に入ることができた。

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F:そうそう、その噂はオレの方にも流れて来たよ。確か凄い有名プロ・ライダーの中でいい成績だったんだよね。誰が来ていたの?
L:デバン・ウォルッシュ、ジェイミー・ジョーンズ、JFペルシャとか。

F:ボード初めて2年目。よくそんなメンバーたちの間で上位に食い込んだんだよね。
L:うん、それは嬉しいことだけど、この同じ年にちょうどUSオープンに優勝したこともあるロブ・キングウエルを見たんだ。その時から「楽しむ」ということの大切さを知って、シリアスに練習するのではなく「楽しむ」ということを意識するようになった。それから今に至っているという感じかな。今はカナダに来て韓国の子たちを連れてキャンプしているけど、常に楽しむということを教えている。

F:なるほど。ニュージーランドの後には、たくさん大会に出たんでしょ?
L:そうだね。5年前にハーフパイプの大会が始まり韓国にもハーフパイプが入ったんだけど、よく大会にも出ていたし、パイプの練習にもよく行ったよ。やはり自分にとっては、今まであまりやったことのないことだったから、とても楽しかったなあ。

F:大会での成績は?
L:たくさん勝ったよ。いくつ勝ったか忘れたくらい。

F:勝つと何もらえるの?
L:最初の頃の大会は何ももらえなかったよ。ただ優勝したという名誉がもらえるだけ。

F:それって、韓国のスノーボード協会主催?
L:そう、ISF系の(注:日本で言うJSBAと同じ)。今はISFとFIS系があるのは、日本というか世界と同じ状況。

F:だけど、ISFなくなったの知っているよね?
L:うん。

F:ところで、トック・ムンのライバルって誰だったの? 大会で優勝を争っていたのって?
L:ライバルというより友達。ソンベとかカンギ・フンとか。ソンベはよくカナダに来て上達していたよね。以前はまったく世界の情報って入ってこなかったから、ニュージーランドこそ上達には欠かせないというイメージもあったけど、今ではいい時代にたくさんインフォーメーションも入って来るようになり、僕は5年前からカナダに来て練習するようになった。日本の友達とかカナダの友達とか

F:大会は最近出ていないようだけどプロとしての今、どんな活動を?
L:大会は2年前に辞めて、ただフリーライディングしている。あとコーチングしたり。

F:韓国ってプロ何人ぐらいいるの?
L:今は10人くらいかな。スポンサーから遠征費用などの活動費用をもらって、後最近はちょっとその他プロとしての報酬も出るようにはなって来た。まだ少ない額だけど。

F:ところで韓国で人気のあるブランドって何?
L:常にバートンは一番の人気で、その時代でナンバー2は変わるという感じ。最近ではサロモンも人気だし、もちろん僕が乗っているオプションも人気あるよ。うーん最近はサロモンもちょっと落ちて来ているかな。

F:そのへんは日本といっしょだね。
L:あと値段が安くてブランド名がよくわからないものもたくさん入るようになって来たよ。いろいろな人がいて、そういうボードを買う人もいるし、バートン・オンリーの人もいるしね。

F:そのへんはどこの国もいっしょだね。今でも韓国のボードって高いのかな? 確か昔はぜいたく品のスノーボードは関税100パーセントだよね。
L:関税のこととかくわしくないけど、まだ高いよ。カナダよりもずっと高いし、特にバートンは高いよね。2、3万円以下で買えるものもあるけど。やっぱりバートンが人気あるよね。

F:日本人もそうだけど、韓国人はもっとブランド品に弱いよね。
L:うーん、そうだね。だけど、最近はちょっとその傾向が変わって来ているよ。

F:スノーボードの話に戻そうか。トック・ムンはどんなスタイルのスノーボーディングが好き?
L:フリーライディング。オールマウンテンだね。だけど、今は夏シーズンのコーチングの関係でハーフパイプばかりだけど。この夏が終わったら、アメリカに渡っていろいろな山を滑ろうと思っている。最初はビッグ・マウンテンに行くよ。あと英語とビジネスを学びたいんだ。フサキのようにスノーボードの会社を作って、小さいところから大きくしたいと思っている。

F:ところで韓国のスノーボード・レベルってどういう感じ?
L:フサキが来た5年前よりもずいぶん良くなったよ。それとゲレンデの方も全面的にスノーボードを滑走可能にするようになった。

F:スノー・リゾートの数ってどれくらいだっけ?
L:12だけ。ハハ(笑)

F:そっか。だけど、韓国はスノーボードもいいけど、また観光でもおもしろいところだからね。そういった意味で、韓国のスノーボーディングは焼肉なんかも含めて楽しむ、という形がいいだろうね。ところで、スノーボード人口ってどう?
L:今、ブームだからね。メチャクチャ増えたよ。

F:じゃあ、キョンワン(注:僕の最初の韓国の友達で今はソウルでスノーボード・ショップを開いている)はハッピーだ。
L:そうだね。金持ちだよ(笑)。たくさん売っているからね。

F:トック・ムンはキョンワンのショップのライダー?
L:いや、オレは違うとこ。今、スノーボード・ショップも増えて、ちょうど日本の神田のようなショップが集まっているところもあるんだよ。チョン・タン・ドゥンって名前のところ。

F:へえ、今、日本ではどんどん店つぶれているところなんだけどね。
L:韓国はどんどん増えているところ。

F:そんなに急激に増えたらバブルで、日本のようにいつか急に縮小されるかも? じゃあ、トック・ムンはベルト(注:トック・ムンはオリジナルでカッコいいベルトを作っている)売っているんだ。
L:そう、いくつかのショップに卸しているよ。

F:トック・ムンッて何歳になるんだっけ?
L:32歳(注:韓国の年の数え方はおなかにいる赤ちゃんから始まっているので、実際は31才)

F:ふーん、じゃあこれからスノーボード・ビジネスにずっと関わっていく?
L:そうだね。韓国は今ブームで、たぶん5年以内にはマーケットが縮小される時が来ると思う。僕はその5年間で様々なことを学び、会社をきちんと育て上げたいと思っている。ちゃんと後々に残る会社をね。

F:このインタビューの最初で楽しむことがスノーボードで大切と言っていたけど、上達方法もやはり楽しむ、ということになるのかな?
L:スノーボードの雑誌とかビデオ見ても、様々なアドバイスとか見つけれるけど、楽しむことが一番だと確信している。

F:今期の目標を。
L:アメリカを回って、いろいろな雪山をライディングしたい。スノーボードをより楽しみたいね。

F:最後に夢をお願いします。
L:会社を大きくすること。僕が作った韓国ブランドが世界に受け入れられるようになること。

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