聴覚障害を乗り越えて!/三浦 義昌

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あなたは耳が聞こえない、という人生を考えられるだろうか?
まして、耳が聞こえないのに、スノーボードをやるなんて、考えられるだろうか?
しかし、今、耳が聞こえない聾者(ろうしゃ)で、プロ・ライダーを目指し活動を続ける人がいる。
今回のグローバル・インタビューは、そんな困難を乗り越えてプロを目指す三浦義昌だ。 


Interview by Fusaki Iida

どんなきっかけでスノーボードを始めたのですか?

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スノーボードを始めたのは、高校の卒業旅行の時でした。
僕は、スノーボードのことをまったく知らないし、いっしょに楽しめばいいと思い、参加したのです(笑)。
野沢温泉スキー場で初めて滑って、凄くおもしろくてハマりました。
その時から、スノーボードの興味を持ち始めました。

スノーボードをした時、耳が聞こえないことで、大変でなかったですか?

はい、とても大変でした。
同級生たちも耳が聞こえないから、いっしょに滑っていて僕が転んでも、「待って~」と言っても無理だったし。迷子になって間違えて上級コースに行ってしまったこともありました。
まだ初心者なのに、いきなり上級コースから滑って、凄い筋肉痛になってしまいました(笑)。

滑る時には、後ろは誰かが来るか、まったくわからないので「危ない!」とか言われても聞こえない。
常に目で周りを見ながら気遣って滑っていました。だから、目がとても疲れるし、神経を多大に使うことになります。

友達といっしょに滑る時に僕が先に行ってしまったら、「待って~」と言われても聞こえません。友達を見たり、周りを見たり、前を見たり・・・などの繰り返して滑っていたので、目の働きで苦労しました。

でも、僕はスポーツ大好きだし、野球やサッカーをやっていたから、目の働きは慣れています。

冬季デフリンピックの出場を目指す!

実際に聞こえないことで危ない経験をされたことはありますか?

はい、ありました。
やはり、後ろから来ることを聞こえないし、ぶつかってしまったのです。
幸い、大きなケガではなかったので、大丈夫でした。
でも、凄くビックリして、危ないな~と怖さを知りました。

現在はハーフパイプ競技などに参加して活動されているようですが、具体的にどんなライダー活動をしているのですか? スポンサーは持っていますか?

冬季デフリンピック(耳が聞こえないのオリンピック)日本代表を選出されるために活動しています。
それだけなく、プロライダーになることも活動しております。
今年5月までに「あのままでいいのか?プロになれる日まで遠いじゃないか?」と、凄く悩んでいました。
そして、田中幸プロと出会えておかげでプロへの道や技術などをヒント見つけたり、仲間やプロライダーなど出会って幅が少しずつ広くなってきました。
プロライダーになるまで諦めずに続けています。
スポンサーは持っていません。

サチちゃんから元気を注入されて、俄然本気モードへ。

田中幸プロからは、何かアドバイスを受けたのですか?

アドバイスではないが、田中幸プロはどうやってプロになったかを教えてもらったことです。
方法を見つけて、仕事や野球選手などをすべて捨てて、スノーボードを一筋でプロへ目指してやる!
と、気持ちが強くなりました。
田中幸プロから「ヨシならできる。ヨシの夢が一歩ずつかなうように サチも応援してるよ!!」
と、言われて凄く嬉しかったです。
それだけなく、高橋烈男プロや石川敦士プロも「死ぬ気で行くしかない。」と強く言われました。
やはり、勇気を持つことが必要。
覚悟で行くことを決意したのです。

そもそもろプロを目指したきっかけは?

プロになりたいきっかけは、6年前のときに深夜テレビを見ていたけど、たまたま「第2回X-TRAIL JAM IN TOKYO」が出ていた。
クォーターパイプ競技でテリエ・ハーコンセンVSショーン・ホワイト、ストレートジャンプ競技で鈴木伯が凄い活躍していた。
最後まで見て…刺激されて、X-TRAILに立ってみたいし、プロ大会に参戦してみたいと、プロを目指すの夢を持ち始めました。
あれって、鈴木伯がCAB900を決め、準優勝したことを覚えているし、凄いだとファンになりました(笑)。

今後プロを目指す上で、環境の良い海外に行くことなど考えていますか?

はい、考えています。
課題は、付き合いです。
聾者に対しての理解がある環境があれば有難いのです。
理解がないと、大変だと思うし、やはり英語力が必要だと思っています。
筆談で英語を書かないといけないですね。
身振りなら自信あります(笑)。
たまに、英語を少し勉強しています。

憧れのNomisライダーと記念撮影。Nomis好きの理由は?

ご両親は、プロを目指すことに対して、反対されませんでしたか?

反対されませんでした。親は、僕のことをスポーツ大好きだと理解してくれたし、「プロになるまでに途中半端にならないように頑張ってほしい」と言われました。
ただ、二度したくないことは、3年前に大きなケガしたことです。
大きなケガは、キッカーで着地ミスしてしまい、左腕関節複雑骨折したのです。
2回手術受けていたけれども、母や仲間たちに迷惑かけてしまったことです。
あっ、言うことを忘れてしまったけれども、実は小さいころに離婚して、母親と2人で過ごしています。
ずっと僕を育ててくれたし、感謝もいっぱいあるし、夢を叶えるように頑張りたいのです。

現在は、学生さん? それかお仕事をされているのですか?

プログラマーで仕事しています。
近いうちに退職する予定だし、来季シーズンに思いっきり技術を磨きます。
山篭りするかもしれないが未定です。

これまで、スノーボードの練習時間の捻出方法は?

室内では通っていません。
社会人野球の主将を務めていて、大会などあって、時間的はなかなか難しい。
通いで行っているのは、冬季シーズンだけでした。
07-08シーズンまでは、金曜日夜に長野県や新潟県へ新幹線や友達の車で行き、宿やクラブハウスで泊まり、土曜と日曜2日間に練習していました。
他には、キャンプイベントの企画が出て、参加して技術を磨いていました。

実際に今、聾者(ろうしゃ)の方でスノーボードをやってみたいという方もいると思います。そんな方にアドバイスをするとしたら?

スノーボードの楽しさを味わえると一番!
うまい人といっしょに滑った方が良いです。
いろんなことを教えてくれるし、スノーボードの楽しさを味わえたらハマります。
うまい人がいなかったら、dmkキャンプやプロライダーのキャンプなど参加すると良いです。
仲間が増えるし、いろんなことを学ぶともっと楽しくなります。
そうすれば、苦労のことを忘れて、楽しく続けるし、いろんなことをやりたくなります。 

尊敬するマットとは昨年出会った。

Nomisマット社長とシモン・チェンバレンとどうしても会いたかったようですが、その理由は?

実は、僕はクリスチャンです。
3年前、dmkの特集に「新」最強伝説・NOMIS軍団についてのを載っていて、シモンは同じクリスチャンであることを知って、Nomisのことを気になりました。
シモンとは、インタースタイルや神田でやっと出会ったし、本当に嬉しかったです。
Nomisファッションもお気に入りです。
マット社長やシモンは、本当に凄い人だし、尊敬しております。
いっしょに滑ってみたいね(笑)。

最後に今季の抱負と、今、このインタビューを読んでいる方にメッセージがあれば一言お願いします。

はい、インタビューしてくれて本当に光栄です。
母親、プロライダーたち、仲間たちに支えられて、本当に感謝しています。
今季の抱負は、もちろんプロになることです。

Never give up!!

ハーフパイプ大会に出場する予定だし、良い成績を残るように頑張りたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとう!

I love snow!

以下、三浦義昌の公式webサイト
http://snowboard-miura107.com/index-2.html

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