大飛王TOYOTA BIG AIR大会で雪辱を晴らしてみせる!/マーク・アンドレ・ターレ(1)

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スノーボード界で今、最も熱い男、燃える闘魂(?)マーク・アンドレ・タート。ビデオに出るマーク、大会に出るマークはプロフェッショナル・ライダーとして熱く吼えまくる! メディアに登場する時のマークはプロとして熱き男に変貌するが、普段は物静かなクレバーな風貌の男であある。世界でも最も早くF1260回転した男として名高いマークは現在ビッグ・エアー大会の超目玉的存在。そんなマークの真面目な物静かバージョン(?)時の本音トークだ

フサキ(以下F):トラック生活を辞めて、スコーミッシュに新しい家を買ったということだけど、ウィスラーに居住地を構えるということ?
マーク(以下M):いろいろ理由はあるんだ。スコーミッシュはウィスラーまでのアクセスがいいこと。今は45分くらいかかるけど、近い将来ハイウエイも工事されてよくなれば30分でウィスラーに行けるだろう。スコーミッシュは、本当にタウンという感じがしていいんだ。ウィスラーはできあがった観光タウンだけど、スコーミッシュはカナダの普通の町という感じがする。自然と調和されて素晴らしい町だと思うんだ。それと、スコーミッシュはこれからどんどん値段が高くなって行くから、そういった不動産投資の面でもいい。というか、これだけ値段の上がったウィスラーではもう購入なんて不可能に近いよ。後は何と言っても、自分の気分をリラックスさせてくれるところ。シーズン中はとても忙しい日々を送るけど、この自分の家を構えることで、気分をリフレッシュさせてくれる。

F:トラック生活とはおさらばだけど、ちょっと寂しくない。
M:これからも北米内で様々なところに遠征に行くだろうから、そういった時にトラックはまだまだ大活躍するよ。トラック生活はまた違った良さがあるから、捨てがたいね。日々時間に追われた中で生活していて、トラックで寝泊りすると、気持ちをリセットさせてくれる。自分の内なる声がよく聞こえるようで。「自分が何をすべきか!」ということを教えてくれるんだ。(写真右、春に撮影した時のマークのトラック内戸棚!?)

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F:明日からカリフォルニアのマンモスに滑りに行くということだけど、撮影?
M:いや、まったくのプライベート。仲のいい友達マックス(Max Henault、Flowのライダー)と行くんだ。今年もヨーロッパでのビデオ撮影、AIR & STYLEビッグ・エアー大会、ヨーロピアン・オープン、そしてトヨタ・ニッポン・オープンなどスケジュールがぎっしり詰まっているんだけど、そういった撮影や大会に備えるためにもリフレッシュするスノーボーディングが必要なんだ。今年も忙しいシーズンを迎えるけど、僕にはただ純粋にスノーボーディングを楽しむ時間、そういう時間がとても大切だと思う。だから、先日思いついたことだけど、実行しようって考えたんだ。あっ、そうそう今回はスキーも持って行くんだよ。僕は子供の頃からずっとスキーをやっていたけど、最近はやっていなかったら楽しみ。うまくできるようになったら、スキーの方のビッグ・エアー大会にも出たいと考えているんだ。

F:スキーでも両方出たら凄いことだね。ところで、マークは大きな大会で世界の超トップたちと大会で争うわけだけど、どんな気持ち。
M:正直言って「ワーオ!」という気分。ここ最近、大会とかで勝てるようになったけど、つい数年前まではウィスラーのピザ屋でバイトしていた身分だったからね。そんな僕が今では世界中の注目される大会に出ているわけだけど、やはり大物ライダーたちの姿を見ると胸がときめく。こんな大会に出て嬉しいな、って。だけど、大会に出ている時は、その大会を凄く楽しんでいるし、滑る時にはそのランに集中しているから、気持ち的に緊張して押し込まれるようにはならない。それよりも大会を楽しんでいるということが大きいかな。

F:9月末に行われたスイスの大会でマークは唯一の北米代表出場者。その中にあって優勝しているわけだけど、マークにとってヨーロッパって環境には違和感はないの?
M:北米とヨーロッパはとても違う土地柄のように感じる。だけど、僕にはオーストリア人の彼女もいるし、浪人2でいっしょに撮影にも参加したイレー(ノルウェー人)のような親友もいる。多くの北米ライダーたちは、違和感を感じるかもしれないけど、僕にはまったく逆で「ほっ」と思えるところ。日本だってとても好きな場所だし、僕には違う文化を体験することがとても楽しく感じるし、そこで違和感というのはまったく感じないんだ。むしろその環境をひじょうに楽しんでいる。

F:ちなみにこの大会で決めた技は何? フロントサイド1260かな?
M:そう思うだろ。だけど、違うんだなあ。バックサイド1080だよ。

F:えっ、マークのバックサイド・スピンって初めて聞いたよ。マークは世界でも最も早くフロントサイドで1260をスピンしたことで有名だからね。
M:実際に僕が最初だったかはよくわからないけど、ビデオでのインパクトが強かったんだろうね。ともかく、この技を決めることで、今まで「フロント・スピン男」って言っていた奴には、どーだい!という気分。オレはどっちも決めれるし、そのバリエーションで大会でも勝てるということを見せることができて、えっへん!って気分だよ。

F:TOYOTA BIG AIRではどんな技をやる予定?
M:バックサイド・スピン。昨年、大会練習中でバックサイドをやった時、結構いい感触つかんでいたんだ。だけど、今までずっとスイッチのフロンサイド・スピンで大会を勝っていたし、自分の代名詞にもなっていたからフロントサイドにこだわってしまった。だけど、トヨタ・ビッグ・エアーの台は、自分にとってフロントサイド・スピンは合わないものだったんだ。長いアプローチ・ゾーンが続いて、その後、落ち込みが激しい設計。観客によりライダーが見やすいようにこのような設計をしたんだろうけど、この台が良い悪いではなく、僕には合わなかった。普通、僕にとってスイッチのフロントサイド9はとても簡単なことだけど、あの時はスイッチ7が目一杯という感じ。だけど、あの練習の時に感じたバックサイドのスピンをやったらきっとうまく決まったと思う。だから、今年はバックサイド1080で優勝を狙いたい、と思っている。

F:日本のトランズワールド誌を見ると、競馬の予想表のように誰が優勝しているか予想しているんだ。それで、これ見るとマークはほぼ本命に近い感じだったんだよ。
M:これ、なかなか興味深いね。だけど、全然当たっていないなあ。ロジャーは三角1つだけ、ダイニルは無印、そしてステファン・ギンブルも無印だもんね。

F:そうだね。それくらい一発勝負で決めるビッグ・エアーというのは、予想が立てづらいんだろうね。やはり、その台を経験しているとかしてない、とかは重要なんだなあ。
ところで、今回もまた派手なパフォーマンスやってくれるの?
M:うん、絶対に。いろいろなプレゼントを観客席に投げようと思っているのだけど、その中にボードも入れよう、と考えている。

F:ボードもらえるなんて凄いなあ。だけど、ボードを観客席に投げたら危ないね。
M:そうだね。どうするか悩むんだけど、シャンパンを投げてそれを受け取り、一気飲みできたらボードをあげる、というのはどうだろう。スイス大会の時にやったのだけど、好評だったんだ。

F:それはいいアイデア! マークでの大会のノリを見ていると、観客へのアピールとか凄いエンターテーナー、プロフェッショナルイズムを感じるけど、そのようなものはどこから来ているの?
M:とても社交的で人を楽します、お父さんの影響もちょっとあるかな。最初はそういったパフォーマンス好きでなくて、大会に集中することで一生懸命だった。だけど、以前、ISFワールドカップのポルトガル大会ビッグ・エアーが1つのきっかけになった。ポルトガルは雪がないから、観客は雪を見るだけでとても嬉しい気分になるんだ。だから、僕は観客に雪玉を投げて観客といっしょに騒いでいた。そのノリで優勝しちゃった時に、「ああ、自分はこうやって楽しんでいる時にリラックスできて、大会でも勝てる」ってことを悟ったんだ。だから、それ以来、ずっとそういったパフォーマンスをして観客を喜ばすようにしている。その観客が喜んでくれたエネルギーが僕に跳ね返って大会で良い結果を出させてくれるんだ。(写真左、常にエネルギー全快のマークのパフォーマンスは見ている人を魅了させてくれるものがある)

F:ところでマークはビッグ・エアーの他にレールもやるけど、ボードのチューンナップとかどうしているの?
M:ボードは最初にきちんと滑りやすいようにストラクチャーをしてもらっている。それとワックスは自分でやっている。レールではエッジがあまり立っていない方がいいのだけど、正直言うとあまり気にしていない、という感じかな。ともかく、ビッグ・エアーのアプローチ時、スピードが遅くならないことに気を配っているよ。
ところで日本ではマツモトワックスにお世話になったんだよ。トヨタ・ビッグ・エアーの時にメーカーの人が松本さんを紹介してくれてワクシングしてもらったんだ。残念ながらいい成績は出なかったけど、今年はぜひ良い成績を残したい。

F:全然スノーボードとは関係ないけど、日本ではどんな食事が好きだった?
M:日本の食事はなんでもおいしいね。特にツナ・マヨネーズ入りのおにぎりが好きだったな。

F:マークはプロとして食事への気配りとかしているの?
M:そうだね。なるべく健康な食べ物を取るようにしている。あと、最近、牛乳を飲まなくなった。というもある本で読んだんだけど、血液型Oというのは、人間の祖先の中でももっとも古く、その他の血液型の人間よりも早くこの世に出たようなんだ。だから、血液型Oの人は、多くの人に血液を分けることができるのだけど、新しい食文化で牛からのミルクを飲むという習慣には適していないらしいんだ。具体的に言うと、血液型Oの人は、牛乳の消化が悪いらしい。だから、最近はずっと牛乳を飲んでいなくて、その他、乳製品であるチーズやヨーグルトなども控えるようにしているんだ。

F:言われてみれば、僕も血液型Oだけど、牛乳はほとんど飲まないんだ。あまり飲もうという気が起こらない。だから、カルシウム不足を補うためにワカメやヒジキなどの海藻類を取るようにしている。だけど、チーズ好きだから、それも控えるというと嫌だなあ。
M:僕もチーズは大好き。だから、まだ食べているけど、とりあえず控え気味にして牛乳に関しては飲まないようにしている。実際、それが役に立つかどうかわからないけど、やってみる、というのが僕のモットー。それでダメだったら、また飲んでもいいわけだし。

F:マークは元々お医者さん志望だったんだよね?
M:そう。だけど、スノーボードのプロは今しかできないから。それにスノーボードで世界中旅して、学校では学べないようないろいろな文化を勉強できたし。そういったことが自分にとってはとても貴重なこと、だと思っている。また、学校に戻りたければ、いつでも戻れるからね。

F:なるほど。最後に日本へ向けメッセージを!
M:今シーズンも日本に行くことを楽しみにしているよ。TOYOTA BIG AIRでは昨年の屈辱を晴らすよう、みなさんに喜んでもらえるよう滑りでもパフォーマンスでも頑張るので、応援よろしね。
それと浪人2に出れて、とても嬉しい。僕の普段遊んでいる滑りとかも見れるし、とても参考になるフロントサイド系スピンのハウツー・アドバイスもしているので、ぜひ見てね!最後にもう一言を。You only live once.(人生はたった一度きり)

 

●インタビュー後記
マークは頭がいいし、とてもやさしい人だ。人の話をよく聞くし、また説明する時にも相手によくわかるように丁寧に説明する。山の上での威勢のいいマークとこうしてインタビュー時に話す時のマークはまるで違う人物であるかのように錯覚してしまう。それほど普段のマークは紳士的な態度である。今回のインタビューでは髪型がまったく普通になっていて、特別スノーボーダーっぽい格好をしていないマークは、まるでどこにいるカナダ人の青年のようだ。だけど、この大人しいマークの反面に大会で雄叫びをするマークもいる。大会ではもの凄い集中力を必要とするわけだけど、その集中力活火山を爆発させるために、日頃のマークはまるで休火山を演じているようにも見えた。

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