ポジティブ伝道師/小島敬雄(2)

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こじろーこと小島敬雄プロが復活した!ケガの間はきちんと滑走すらできなかったこじろーだが、その間も将来を見据えてトリックの練習を積んでいた。このケガの状況下でもできること。それを見つけ出し練習に励む。そこからプラスな発想が湧いて、向上心に燃えるこじろー。まさのいポジティブ思考の伝道師こじろーの声を聞いてくれ! これを読んだキミのスノーボード魂に何かが芽生えるかも!?

 

小島敬雄

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フサキ(以下F): こじろー最近調子どう?
こじろー(以下K): かなり良いですよ!毎日充実するように計画立てて生活してます。トレーニングしたり、イメトレしたり、学校行ったりしてます。

F: 昨年ケガで泣いたけど、その分、今年は気合入っているんじゃない?
K: もちろん!毎年シーズン前にはいろいろなイメージをするけど、今年は前シーズンあまり滑れなかったので、かなり楽しみです。今すごい体のメンテナンスしたり、ショップのお手伝いしたりしてて、スノーボードに毎日かかわっているから、なおさらもう早く滑りたいよー。夏は思っていたより調子良かったので写真も少し残せたから良かった。でも、映像も残せたらもっと良かったのだけど。

F: プロの活動の中には映像、写真撮影の活動、また大会で頑張ったりとかあるんだけど、今、こじろーの中では全体的にどのへんに力を入れようと思っているの?
K: うーん、大変だけど、やっぱり全部です。大会は大会でその目標を持って挑めてモチベーションが上がるし、その先の目標もあるから・・。でも、スノーボードの楽しさ、カッコ良さを伝えるのには、ビデオや写真が一番だと思うから、両方がんばる! それに良いモノを残そうと仲間とプッシュしあっていくのはすごく大変なことだけど、すごく楽しいし、やりがいがある。そういう活動をしてこそプロだと思うし、僕の活動を見た人が「スノーボード楽しそうだなーやってみようかなー」とか「おーこじろーカッコ良いー」とかインパクトを与えられたら、すごく嬉しい。

F: そうやってたくさんの人に影響力を与えるのはプロとして、大切な仕事だよね。ところで、よくメーカーの方が大会を重視していて、結果により契約金が上がるという話はあるけど、こじろーのメーカーはそう言ってこない?
K: うーん、どうなんだろう? やっぱり大会とかで上位に入るとメーカーの方とか喜んでくれるし、プラスにはなっていると思います。でも影響力とか考えると、やっぱビデオ、雑誌とかの影響力の方が大きいと思うから、全体の一部だと思います。自分も自分の映像や写真を見てくれた人が「おっカッコ良い!」と思ってくれて「こじろーと同じボードにしよう!」とか思ってくれたら、ありがたいですね。

F: じゃあ、こじろーのカッコ良さ、自分のアピールしたいところはどこにあるんだろう?

K: うーん、僕はスノーボーダーはすごくカッコ良いと思っているので、スノーボーダーでいる自分は良いと思う。僕自身のカッコ良さは・・・、よくわかりません。でも、自分が人を見てカッコ良いなーと思うのは、楽しんでる時と、頑張って努力してる時。何でも頑張っている人は、カッコ良いと思う。だから何でも頑張って、楽しめるようにしてる。アピールしたいのは、「高さ」。やっぱり高さがあるとなんでもかっこ良いし、高さがあってスタイルが出せると思うから。あと、今、自分たちが見える冬の楽しさをうまく伝えたい。スノーボードして、温泉入って、仲間と酒飲んで、という楽しさや、大きな自然の景色を見れて感動することとか。そして自然は僕たちが守らなければいけないこと。自然を守ることは自分や、大切な人を守ることと同じだと、伝えたい。小島敬雄

F: 客観的に見てこじろーのライダーとして優れているところは?
K: んー、やりたいと思った技は、自分のものになるまで頑張ること。それを楽しむこと。だから今では、マックはこけないし、やると楽しい。どんな状況でもスノーボードに関わることは、楽しいから。

F: 例えば昨年ケガの中でエルガリオ(注:スイッチからリップに手をついてボードを高々と上げる技)を練習していた、というのもそういったところにつながるよね。
K: そうですね。ケガして大きい技はできないんで。元々はハーカンフリップ(注:スイッチから行う縦回転技)をやりたいと思ったんです。そうしたらエルガリオをやるといいと聞いたんで。実際やってみたら凄く難しいんですよ。やり始めて一週間しても全然できなかったから。

F: どこらへんが難しかったの?
K: 頭を逆さにするということが、そんなに逆さにするという感覚がなくて「手をついたら終わりでしょ」くらいに思っていたんですけど、やったら難しくて。そんなにケガに影響することじゃなかったんで、逆にフリーランだと雪面の凹凸で足首が痛くなるんで、それならきれいな壁を選んでハンドプラントとか練習した方がおもしろいかな、と。

F: 頭を逆さにすることが難しかったの? それか、そこからさらにボードを天高く上げることが難しかったの?
K: もう、逆さにすることが難しかったですね。自分ではかなり逆さになっているつもりだけど、周りで見てた友達は、「まだまだ」だって。えっ、まだするんだ!って。ほとんどバク宙に近い。

F: こじろーの兄貴分の高正は、縦回転得意だからできるのかなあ。
K: うーん、どうかなあ。逆にできる人とかの方が難しかったりして。ダイキ(村上大輔)もハーカンとか720とかできるけど、「手を付くのって怖くない?」って聞いてきたから。スピードの勢いに生じて、手を付いた時にヒジとか肩とか負傷する可能性もあるし。

F: うわあ、怖いなあ。オレなんか脱臼クセあるから一発でやっちまうな。しかし、この技は1つのこじろーの持ち技になって良かったね。
K: そうですね。自分でも楽しみながらできた。あれ練習したお陰でメンタル的に落ちなかった。

F: ポジティブだね。ケガすると何もしないのが当たり前だけど、その中でもやれることをやろうって。
K: そうですね。何もないと山に行かなくなっちゃうし、家にいると気持ち的にも落ちてしますので。山に行けば、友達と話してリフレッシュできるし。それでエルガリオもできるようなって、凄く良かったです。

F: 今、こじろーってプロになって好きな時に山に行けるわけだけど、生計とかどうやって立てて、どんな生活形態なの? たぶん読者からしたら、どうやったらこんなに楽しいスノーボード三昧の境地に行けるかなあ、と思っている人もいると思うんだけど。

K: それはやっぱり今サポートしてくれているスポンサーのおかげさまです。でも、その分責任をもってやらなきゃいけないし、大変なところもある。でも、シーズンオフの海外に行っていないときとか、アルバイトしたり、無駄使いしないでお金を貯めてる。あと、みんな冬に山で生活するのに凄いお金かかると思っているかもしれないけど、そうでもないですよ。家をみんなでシェアして借りて、シーズンパスを買って、そんなに高いわけじゃないです。

F: 年間100万あれば自由に滑れる?

K: いやっ、日本の冬だけに限れば30万も掛からないです。

F: えっ!超安いなあ。
K: 長野とかシャワー付きで結構安いですよ。温泉だって200円で入れるし。

F: 楽しそうだなあ。だけど、学生だからいつまでも山にいるわけには行かないでしょ?
K: はい。学校はテストの時に帰ったりして、年末年始は休みだし。だからなるだけ冬休みの前になるべく休まないようにしたり、スノーボードができる状況をできるように工夫しています。

F: 学校、バイト、そしてスノーボードとこの3本を一生懸命やっていて、ハードじゃない?
K: そうですね。たまに疲れて、バイト行く前に寝過ごしたとかあります(笑)。だけど、そういって疲れた時には「今、頑張れば」と思いやってるし、もしかしたら、僕はマゾなのかも。。高正さんにもよく言われるし。

小島敬雄F: なるほどね。これほどまでにスノーボードに賭けているこじろー。そのスノーボードがこじろーにとってどんな存在?
K: スノーボードというとゲレンデに行って、滑ることなんだけど・・・、僕の中でスノーボードと言ったらそれも1つだけど、同じ目標を持った仲間と楽しみながらお互いにプッシュしあうもの。やはり人間何か目標が持つと、それに向かって頑張るじゃないですか。目標を持っていることはすごく良いことだと思うし、楽しいことだと思う。滑った後でも、ご飯を食べながら今日の滑りをチェック。お風呂に入った後は、柔軟して「オレの方が柔らかいよ」って争ったり(笑)。もう生活にスノーボードがどっぷりと入っている感じです。そして、僕にとても大切なものを与えてくれるもの。人との出会いとか、生きがいとか、いろんなパワーを与えてくれる。

F: 目標持つとやらなくちゃいけないから辛くない?
K: いやあ、僕はない方が辛いです。何をしていいかわからなくなりそうで。目標があれば、何をやればいいか、とか考えるから。結構、考えるのが好きなんですよ。大学とか入っても目標を持っているやつはいい目していますよ。学校の友達で革細工やってるやつとか、自分のバーを持ちたいってお酒の勉強してるやつ、大好きな彼女と同棲するためにいっぱいバイトしてるやつとか、目標はバラバラだけどかっこ良いと思う。

F: じゃあ、こじろーの目標はズバリ何?
K:オリンピック出たいです。あんまりまだ誰にも言ってないけど(笑)。あれは感動しました。

F: 本当かよ! もの凄い覚悟だなあ。だって、今の若手凄いからなあ。中井くんにしてもダイキ(村上大輔)にしても、うまいからなあ。あの連中を相手にしてオリンピックに行くのは、大変なことだよ。
K: 現実は大変だけれども、自分の中ではできると思っているので、チャレンジしてみたいです。

F: うーん、オレはコジローのスタイルは認めるし、素晴らしいライダーだと思うけど、ぶっちゃげた話、今のこじろーには難しいと思う。だけど、こじろーの中には、もしかしてその夢を実現させるための戦略というか、シナリオがあるのかな?
K: うん、世界に出たらスピンは5発出さないといけないだろうし、それも高さが必要だし。あのレベルには、まだ達していないけど、時間もあることだし、徐々にだけど確実に上昇するようにやっていこうと思います。

F: しかし、こういった目標を持つと人間は輝くね。こじろーがオリンピックに行けたら凄い嬉しいよ。自分の中で夢のルーティーンというのはある?
K: 夢のルーティンというか、今練習しているのは、一番最初はドーンと高さあるマック。次はフロントで900とか。8回ぐらい飛べるなら次は普通にエアー・ターン(注:インディなどのベーシック・トリックのこと)して、トゥ・フェイキー、ハーカン。

F: あっ、だからハーカン練習していたんだ。
K: 僕はトゥ・フェイキーを入れたいんですよ。凄く好きな技だし、やってて気持ち良い技だし、ルーティーンの幅が広がると思うので。それで、フェイキーになって、その流れでできるのに何がいいかなあ、と考えたのがハーカンだったんです。トゥ・フェイキーで高さを出せば、その次にやるハーカンも高く飛べてインパクト出せるかなあ、と。

F: 最後にエルガリオ入れる?
K: あっ、良いですねそれ。おしゃれですね。

F: そうしたらオリンピック史上初のハンドプラント系か。
K: ハハ(笑)、そういうことになるのかな。まあ、今は漠然とした目標だけど、出たい。凄く出たいです。

F: スゲエなあ。今の話聞いたらインタビューアーとして、結構お腹いっぱいになっちゃったよ(笑)。最後にスペシャルサンクスは?
K: スポンサーの方々、SPINYの方々、お世話になっています。僕を幸せにしてくれる、家族や、仲間、友達、彼女これからもよろしく。水、空気、自然と自分を大切に。PEACE!

小島敬雄


編集後記:
目標を高く掲げることは素敵なことだ。そのことにより、その人の輝きが強くなる。とかく僕たちは悲観的になる。それは年と取れば取るほど、激しい現実のシャワーでそのような傾向になるものだ。だけど、たった1つの人生、もっと上を向いてポイジティブに歩いてみたらどうだろう。こじろーのインタビューから、そういった人生で基本的な大切なことを改めて教えてもらったような気がした。まさに「PEACE!」って気持ちでね。

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