命を呼ぶ勇気:カナダのバックカントリー救助はなぜ無料なのか?

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文:飯田房貴 @fusakidmk

先日、ゴンドラに乗っていたところ、偶然上司と同乗する機会がありました。
話の流れで、スコーミッシュという、ウィスラーとバンクーバーの間に位置する町の話題になりました。

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スコーミッシュでは、クライミングやハイキング、バックカントリーなど、多様なアクションスポーツが盛んです。その分、救助活動も頻繁に行われているそうです。上司によると、こうした救助の費用は基本的に無料で、ボランティアの寄付や自治体の予算で賄われているとのことでした。
「費用を惜しんで通報をためらうことは、最悪の選択になります」と強調していました。

注釈(カナダ)
ブリティッシュコロンビア州などでは、山岳遭難救助は基本的に無料です。ボランティアの寄付や自治体の予算で賄われ、ヘリ救助など一部の例外を除いて、個人負担はほとんどありません。命が最優先とされ、費用を理由に通報を躊躇することは推奨されていません。

私は、日本の状況を思い出して話しました。
「最近、日本でも似たような問題があります。ルールを知らない外国人スキーヤーやスノーボーダーがバックカントリーで遭難し、救助費用を巡る議論が出ることがあります」と伝えました。

注釈(日本)
日本でも山岳遭難救助は基本的に無料です。警察や消防、地域の山岳救助隊が出動します。ただし、自己責任の明らかな場合や、民間ヘリなど特殊な救助を依頼した場合には、費用の一部負担が発生することがあります。海外と比べても、費用を理由に通報をためらうべきではありません。

すると上司はこう答えました。
「日本のインバウンドによる収益や地域経済を考えれば、こうした費用も十分に賄える場合が多く、実際には大きな負担にはならないのかもしれません」

もちろん、ルールを知らずに遭難すること自体は避けるべきです。しかし、救助の仕組みが整っていることを知っていれば、迷わず助けを呼ぶことができます。
命のためには、費用の心配よりも安全を優先することが何より大切です。海外の現場でその現実を知ると、私たちも改めて、安全意識や準備の重要性を考えさせられます。

飯田房貴

1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
ウィスラーではスノーボード・インストラクターとして活動する傍ら、通年で『DMKsnowboard.com』を運営。SandboxやEndeavor Snowboardsなど海外ブランドの日本代理店業務にも携わる。
また、日本最大規模のスノーボードクラブ『DMK CLUB』の創設者でもあり、株式会社フィールドゲート(東京・千代田区)に所属。
1990年代の専門誌全盛期には、年間100ページペースで記事執筆・写真撮影を行い、数多くのコンテンツを制作。現在もその豊富な経験と知識を活かし、コラム執筆や情報発信を続けている。
主な著書に、
スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』
スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』などがある。
現在もシーズン中は100日以上山に上がり続け、スノーボード歴は40年(2025年時点)。
2022年には、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』や、講談社FRIDAYデジタルの特集「スノーボードの強豪になった意外な理由」にも登場するなど、専門家としての見識が評価されている。

インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/

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