スノーボード 急斜面の滑り方 ①苦手な原因 ②必要な動作 ③意識すべきこと

スノーボードを始めた初心者が、最初の大きなテーマとなるのはターンすることでしょう。
よちよち片足スケーティングをやって、なんとか苦労して斜面に立つことができ、リフトの降り方に戸惑いながらも遂にターンが完成!
このステージをフィニッシュさせたスノーボーダーは、しだいに中級者コースも滑れるようになって来ますが、急斜面を滑る段階になると再び大きな壁を感じるものです。

急斜面に立った瞬間、足が竦み頭の中は真っ白。いざ、滑り出せば板が暴走し、コントロールできずに転倒。どのようにしたら急斜面を滑れるのか、途方に暮れることでしょう。
急斜面が滑れるようになれば、一気にスノーボードの世界は広がります。ほぼスキー場の全域コースを滑ることができて、楽しみは一層増すでしょう。
そこで、
①急斜面が滑れない原因を解明し、そこから
②どのような動作を求められるのか。さらに
③2つの意識すべきコツをご紹介しましょう。

急斜面が滑れない原因は体重が後ろ足に乗ってしまうから

いざ、急斜面を滑るチャレンジしても、怖いあまり身体が引けてしまって体重が後ろ足に乗ってしまいます。
体重を後ろに乗せることは、決してスピード調整につながりません。むしろ、後ろ足に移動することで、ボードは押し出されたように加速してしまいます。人間は怖くなると、どうしても前屈み気味になり、また身体が引けてしまいます。つまり体重が後ろ足に乗って、姿勢が悪くなるのです。

急斜面では、ボードの先が谷側に向いたとたんにスピードアップしてしまうので、減速させてボードをコントロールすることが大切です。速く滑ることが目的ではありません。自分の居心地が良いスピードまで低速させてコントロールすることが大切です。

後ろ足に乗ることは逆にスピードを加速させてしまう原因。また前足に乗ることで、ボードコントロールできるということを頭に抑えておきましょう。

このような姿勢で滑ってしまうと、よけいに急斜面が滑れなくなってしまいます。

コントロールさせるには前足に体重を乗せてテールを振る動作が必要

さらにくわしくボード・コントロールについて解説していきます。
急斜面で必要なことはスピード調整すること。スピード調整するためには、前足に体重を掛けていき、テールを軽くすることが大切です。なぜならテールを軽くすれば、ボードをスイング(振る)することができ、ボードをズラしながらスピード調整できるからです。
急斜面では、積極的に前足に乗っていき、ボードをスライドターンさせてスピード調整して滑る方法が有効です。

前足を軸にしてテールを振るようにしましょう。


前足に体重を乗せていくのは谷側に向かって

急斜面を滑る時には、いつも前足に体重を乗せ続けるわけではありません。
斜面を横切るところでは、体重の掛け方は両足均等で、50%:50%の割合でOKです。
しかし、そこから徐々にボードが谷側へ進むに向かって、積極的に前足に乗せていかないと、体重が後ろ足になってしまいます。なぜなら、ボードは谷側に向かって走っていくのに、そのボードに乗っている人間が木のように天に向かって突っ立っていては、どんどん体重が後ろ側に移行してしまうからです。
スノーボードの用語では、谷側のことをフォールラインと呼ぶのですが、そのフォールラインに向かって前足に積極的に体重を乗せていく必要があります。
具体的には、50%:50%のところから、後足30%:前足70%へ移動していき、もっともボードの先が谷側に向かうところでは、ほぼ後足0%:前足100%に行くような感覚です。
ボードがフォールラインに向かって進んでいくのに、コントロールする本人が嫌がっていては、そこでボードの進む力と意識が戦ってしまいコントロールできなくなります。
フォールラインに向かうことを楽しむような意識が必要です。

TIPS 1 : 両肩のラインを斜面と並行にしよう!

ここまで急斜面が滑れない要因→怖がるあまりに身体が引けて体重が後ろ足に乗ってしまうから
求められる動き→谷側に向かって前足に積極的に乗っていくこと

を説明して来ましたが、ここから先は2つのコツをご紹介します。

実際に急斜面の滑り方がわかったところで、身体はうまく前足に乗っていけないものです。
理論上では理解しながら、身体が付いていかないという感覚。
必要なことは、自分の身体をうまくコントロールする意識です。
そこでまずは、両肩のラインを斜面と並行にしよう!という意識を持ちましょう!

実際に、急な斜面で立ってみて両肩を斜面に対して並行にするようにしてみましょう。
これは雪上でなくても、近所のどこかで見つけた斜面でもOKです。
両肩を斜面に対して並行にしようとすると、かなり前足に体重を乗せていることが理解できます。
先にお伝えした後足0%:前足100%の感覚です。

そこから、その意識を忘れないために、目をつむってみましょう。
すると、この前足に乗せていく感覚がより深まっていくと思います。
この感覚を忘れずに、ぜひチャレンジしてほしいのです。

TIPS 2:前足が舵取りするために先行動作を使うことを覚える

ここまで聞いて、前足に体重を乗せていくことが大事ということを理解していただいたと思います。
次のアドバイスは、前足で舵取りをしてほしい。そのために先行動作をオススメしたいということです。

順に説明していきます。

まず舵取りというのは、文字通りこれから自分がどこへ行きたいのか、その方向付けのことです。
車で言うところの前輪の役割になります。
車が自由に左右に運転できるのは、前のタイヤが左右に向くからです。だけど、後輪はただ前輪に付いていくだけです。あくまでも方向付けを決めるのは、前輪となります。

スノーボードで急斜面を滑る時も同じです。前足で方向付けをして後ろ足はできる限り何もせずただ付いて来るだけでいいのです。
しかし、多くの急斜面が苦手な人は、それができずに最終的には後ろ足を蹴り出すような格好でターンを仕上げてしまいます。
このような上半身と下半身が捻じれた姿勢は、逆捻りターンと呼ばれます。

逆捻りターンでは、ターンの後半に急激にズラするので、効率的ではありません。しかも、意識せずにこのような逆捻りターンをしている人は、ボードの先がフォールラインに向かうところで後ろ足に体重が乗ってしまい、ターンの仕上げの段階で急激に逆捻りを行うのでひじょうに不安定。自分でも「やりたくなくても、こういう逆捻りターンになっちゃう」という症状に陥っています。
急斜面が苦手な人の特徴です。

(注:将来的に逆捻りターンは、積極的にコブ斜面を攻略する時などにも利用できます。ここで僕が言う逆捻りターンとは、後ろ足が体重に乗ってしまって、やりたくないのにやってしまったという状況のことです)

それでは、どのようにしたらこのようなことが解消し、ターン始動部分からボードのテールを振ってスピードをコントロールできるのか?

それは、前足を軸にして、そこから舵取るすることです。
カカト側に立った状態から、つま先側のターンをしたいなら、いち早く前足首を曲げること。
またつま先側からカカト側のターンにいきたいなら、いち早く前足のつま先をいち早く引き上げボードの方向付けをすることです。
この動作は車のアクセルを踏むような運動にも似ています。つまり前足の上がり下がりで、うまくボードをコントロールさせていくということです。英語圏のレッスンでは、「ペダリング操作」と呼ばれるテクニックです。

しかし、わかっていてもこのような前足操作ができなかったりします。
そこで、プラスさせたい動作が先行動作になります。

先行動作とは?

先行動作とは、これからボードが進む方向に身体のある部分を先にそちらに向けることです。「足首さんが思うように動いてくれないなら、先に何々さんに行ってもらいましょう!」という感じのことです。
それは目線であったり、腰であったり、ヒザであったりします。

具体例で話しましょう。

あなたはヒールエッジ(カカト側)で急斜面に立っていています。そこから、つま先側にターンしたいのだけど、どうしても怖くて入っていけません。
本来なら、前足首をいち早く曲げることで、つま先側ターンに入れるハズだけど、それが怖くてできないという状況です。
そこで先行動作を利用します!

まったくスピードが出ていないとターンの切り替えは、きっかけはつかみ難いので、まずはボードを真横の方向に走らせましょう。この時のスピードは遅くてもいいです。できる限りエッジを立てて、板を斜面を横切るように走らせてほしいのです。

次にいよいよ先行動作です。ボードは、斜面に対して真横に走っていますが、時計の針で言うところの12時から3時、あるいはもっと先の方向に目線を送ってみてください。さらに、ボードが谷側へ走り出したら、前の手を含めた上半身をより6時方向に回していきましょう。

ターンの後半へ向かってヒップ(腰)、前足もターン方向に回していきましょう。
すると、自然に前足に体重が乗り、前足首が曲がってスムースにターンが完成していることでしょう。

これが先行動作の効果です!
前足でターンの方向付けをしたい。だけど、うまく身体が動かない。だから、先行動作を使って、その必要な前足首を曲げる方向付けをしちゃおう!ということなのです。

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ちなみにうまい人は、こうした上半身の先行動作をなしに、前足首だけでコントロールすることができます。
実際、カナダのメソッドでは、こうした先行動作は否定的で、「足首だけで操作しよう」とアドバイスを送るインストラクターが多いです。
しかし、うまくできないのなら、まずは上半身の先行動作を使うことはてっとり早い改善方法になります。僕の何年間にも及ぶレッスン経験では、この先行動作はひじょうに有効です。
初心者の時に、これから進むターン方向に目線や手をリードしたことで、うまくできるようになったということは多くの人が経験していると思います。それと同じようなことを苦手な急斜面でやってしまおう、ということです。
ちなみにこのような先行動作は、将来スピントリックする時にも有効で、初めてのスピントリックでは、上半身の先行動作を利用することで、回しやすくしてくれます。

僕のここでのアドバイスは、「苦手なことは先行動作を利用する。うまくなったら先行動作は捨てても大丈夫!」ということです。

ラスト・アドバイス!リラックスさせるためにできること

ここまでご紹介して来たことを実践していただければ、きっと急斜面が滑れるようになると思いますが、最後にもう1つアドバイスします。
それはトライする前に身体をリラックスさせてほしいということです。

急斜面が苦手な人は、その場に立っただけでも緊張することは冒頭にもお伝えしました。
いざ、滑り方を理解したと言っても、やはり緊張する場面が訪れることでしょう。緊張していたら、身体が硬直し、うまく滑ることを妨げてしまいます。
そこで、「自分が緊張しているな」と思ったら、まずは空を見上げてください。そして、ゆっくりと深呼吸をしてほしいのです。鼻から息を吸い、口から長く息を吐きだしましょう。これを何回か繰り返しながら、腕もシェイクさせて、肩の力を抜くようにしましょう。すると、さっきの自分よりもリラックスして自分に出会えると思います。

そうしたら、あとはここで学ん意識を試すのみです。
完全にうまくターンができなくても、ある程度、急斜面が滑れるようになったら、恐怖感はいつしか楽しい感覚に変わっていくことでしょう。
そうしたら、あなたはもうこの急斜面ハウツー・コンテンツから卒業です。

GOOD LUCK!!!

●関連リンク
急斜面を滑るには、基本姿勢を保つことも大切です。以下のカービング・ハウツーでそのことを確認しましょう。

スノーボード HOW TO カービングターン 5つのステップアップで誰でも簡単にできる!
https://dmksnowboard.com/e-feeling-how-to-carving-turns/

飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴35シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
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