意外に知られていない!今季3件目となるウィスラーの死亡事故とその原因

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先週土曜日、カナダBC州ウィスラーで72歳のスキーヤーがホースマングレーシアで死亡した。残念ながら、これで今季は3件目の事故だ。1月には、ウィスラーマウンテンのサンボウルエリア(上級者パウダー、モーグルコース)で44歳のバンクーバー女性が死亡。2月にはトロントからウィスラーを訪れていた22歳の女性がシンフォニーボウルの中級コース(圧雪バーンからのツリー衝突)で死亡している。

「死亡事故」などのネガティブな報道は、あまり日本まで聞こえて来ないが、これからの季節、日本のスキー場でも起こり得ることなので、その原因と対策を伝えていきたい。

オリンピックの影響もあり、「これからスノボを始めよう!」という人も出て来ている。そんな時、友人に連れられて、まだ初心者なのにいきなり難しいコースに連れて行かれてしまったということはよく聞く話だ。
2月にシンフォニーボウルで死亡してしまった22歳の方もこのパターンだったようで、初心者スキーヤーにも関わらず彼女にとって難しいコースに連れて行かれてしまった。滑り始めてコントロール不能に陥り、もの凄くスピードを出したまま木に突っ込んでしまったらしい。

ウィスラーブラッコムは、スキー場がオープンしている以上、必ずスキー、スノーボード・スクールをオープンしている。それは義務であると考えているからだ。世界中のスキーヤー、スノーボーダーが訪れる場所で、お客さんがいつでもスキー、スノボを安全に始められるように、スクールを開いているのである。
事故にあってしまった若い女性が、滑りがうまい友達とスキーをせず、スクールに入っていれば防げた事故だったと思う。

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その他、よく聞くパターンとしては、コース外に出てしまって、そこから迷って遭難してしまうケースだ。

新雪が楽しい日に、ウィスラーで滑っていると、気軽にコース外に行けるような気分になってしまう。というのも、アウトバンドリーのサインの向こうにも、滑った跡が見られるからだ。「きっとその向こうでもパウダーが楽しめるに違いない」と考え、知らないのに気軽にスキー場外に出てしまうのである。
滑っていて、最初こそ楽しめるが、だんだんと滑った跡も見つからなくなってどこを滑ればいいのかわからなくなる。しかもいっしょに滑っていた友人とも、はぐれてしまう。ツリーは密集し、岩も出て来てとてもじゃないけど、滑るのは困難…。
そんな時、気合でハイクアップしてスキー場に戻れればいいのだが、新雪をハイクすることは慣れない人にとっては一歩でも辛いものだ。怖くなって、「ともかく下に滑れば、あるいは歩いていけば助かるのでは!?」と考えてしまう。それで、結局のところ遭難してしまって、数日後に死体が見つかるというパターンだ。

大雑把だが、上の地図で赤くしたところが、スキー場(コース)外だ。
パウダー愛好者なら、なんとなくイメージがつけめるか、と思う。コース内とコース外がひじょうにナチュラルな形で隣接しているので、なんとなく出て行けそうな気分になってしまう。日本でもこれと同じようなパターンで、遭難事故にあったスノーボーダーがいるので気を付けてほしい。

海外の山では、日本以上に自己のリスクが尊重される傾向があると思う。
バックカントリーに行きたいのですか?どうぞご自由に。だけど、しっかりとそうしたバックカントリーの知識や資格がないとダメですよ。万が一、事故が起こってもスキー場外なので、レスキュー呼ぶのに大変な請求額があるかもしてませんよ。だけど、そういうことを承知なら、どうぞご自由に!という感じだ。

例えば、以下の写真を見てほしい。

ウィスラーを滑っていれば、どってことない風景写真!?
実際、この写真は今日、ゴンドラの中から気軽に撮影したものだ。
棒が2本立っているが、そのサインが示すのは、この先にはクリフ(崖)がありますよ、ということである。ロープすらない。
これぞ、まさに自己リスクの海外スキー場の例だと思う。実際、新雪の日には、このクリフでジャンプを楽しむスキーヤー、スノーボーダーが少なくない。
このへんの自由さは、日本にはあまりないと思うのだが、このような状況がウィスラーではあたり前だ。
ウィスラーに来たら、基本的にはオレンジのポールサインには気を付けてほしいし、その先を滑らないことを強くオススメしたい。

あとウィスラーを滑る上で、もう1つ安全面でのアドバイスを伝えたい。
それはコースの初心者、中級者、上級者は、日本のスキー場感覚とはまったく違うということだ。
例えば、ウィスラーの初心者コースは、日本で中級者コースを呼ばれてもおかしくないようなところがやたらにある。中級者コースでも日本なら上級者コースでしょ!というところが少なくない。そのへんもぜひ、考慮してウィスラーを滑ってほしいと思う。

また何度もしつこくて恐縮だが、ウィスラーに関わらず、日本でも共通できる事故としては、初心者を無理に難しいコースに連れていかにこと
あとは、スキー場外に決して出ないこと

もう1つ最後に!
それは、意外に知られていないかもしれないが、ウィスラーで最も多い怪我は、自身による転倒ではなく、他のスキーヤー、スノーボーダーとの衝突事故だ。
コースがよく交わるような忙しいエリアは、本当に気を付けてほしい。

楽しいはずのスノーボードが残念な事故で一気に悲しい思い出にならないように。本当に気を付けて、これからも楽しいスノーボーディングをしてほしいと思う。

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