トランス誌のカバーを飾り、大会シーンから映像、撮影シーンと活躍して来たプロ・スノーボーダーだった。しかし、突然スポンサーを失い、自身でボード・ブランドを立ち上げることになったマックス・ジェンキー(Max Jenke)氏。
今も彼は雪山へのアクセスに恵まれたバンクーバーという地でオフィスを構え、ENDEAVORの名の元、世界中に自分でデザインしたハイ・クオリティなスノーボードをリリースしている。
どのようにしてそんなことができたのだろうか?
さらに、業界初、他ブランドからのバートンのチャンネルシステムを採用する決断に至った理由など、ENDEAVOR SNOWBOARDSファウンダー、マックス・ジェンキー氏へのインタビュー。
インタビュー&写真:飯田房貴
--どのような経緯でENDEAVOR SNOWBOARDSを立ち上げたのですか?
マックス: 1998年、当時、僕はMFM(マーク・フランク・モントーヤ)などとWorld Industries Snowboardライダーだったのだけど、ワールドインダストリーがジュニア向けのボードのカンパニーになることで、ボード・スポンサーを失ってしまったんだ。
その時、まだ僕はDUB(ウェア)、デヴァン・ウォルッシュが始めたIRIS(ゴーグル・ブランド)のライダーで、現役のプロ・スノーボーダーだった。そこで、自分でメーカーを作ってみることを考えたんだ。
--そもそもスノーボードのブランドを立ち上げるという発想に驚かされますが、その下地というか考えのようなものはあったのですか?
マックス: ワールドインダスの前には、バンクーバーのボード・ブランド、Option(オプション)のライダーで、そこでよくボードを作る仕事をしていたんだ。だから、スノーボードの作り方はある程度、理解していた。
自分がボードブランドを立ち上げる際には、オレゴンにあるスノーボード工場で製作することになったんだ。
--ブランド名、ENDEAVOR(エンデバー)は、とても響く良いネーミングですが、由来は?
マックス:「エンデバー」というのは、一生懸命に行うという意味。
当時、僕は大学生でもあり、学業にもプロ・スノーボーダーとしても一生懸命に努めるという意味で、ENDEAVOR SNOWBOARDSにしたんだ。
--時代に左右されないクールなグラフィック、さらに全モデルにシンタードベース採用など、ENDEAVOR SNOWBOARDSの特徴だと思いますが、ジェンキー氏が考えるエンデバーの魅力とは?
マックス:エンデバーのデザインは、自分と共に成長しているように思う。かつてはグラフィックが主体だったけど、今は僕が大人になったように、より洗練されたシックなデザインに。ハイエンドなボード作りを目指し、ディティールにこだわっている。本当に自分たちが乗りたいボードを世界中のスノーボーダーに届けたい。
(かつてのグラフィックは今でも大切にオフィスに飾ってあった。ジェンキー氏のボードに対する愛情を感じた。)
--以前のスノーボードは若者主体のマーケットでしたが、今はより上の年齢層のスノーボーダーに市場がシフトしています。そんなマーケットにもエンデバーはマッチングしているように思います。
マックス:女性だからと言って女性らしいグラフィックとか、ジュニアだからと言ってジュニアらしいデザインとかでなく、本当に年齢や性別関係なしに、素晴らしいデザインのボードを提供したいと考えている。
--バートンのCHANNELシステム(※ビンディングの幅、角度の調整が自由自在のシステム)を採用していることに驚いています。どのような理由で、そのようにしたのですか?
マックス:エンデバーでもビンディングにトライしていたのだけど、どうしてもバートン以上のものができなかったんだ。ボードなら、どこにも負けない良いモノを作る自信はあったのだけど。
そこで、CHANNEL(チャンネル)システムを使いたいと思った時、どうしようと考えて・・・。
わからないからバートンに電話した(笑
そうしたら、ウエルカム!ということで。
--えっ、そうだったんですか。でも、バートンの特許システムを使ったら、莫大なお金が掛かりそうな。
マックス:全然(笑)。いろいろ、丁寧に教えてくれたよ。
--なるほど、ストレートに行動することが肝心なんですね(笑
そもそも、最初にブランドを立ち上げて、ビジネス・ラインに乗せるまで大変だと思うのですが、どのようにして?
マックス:当時ラスベガスで行われていたスノー展示会、SIAに出展。そこで、親交があった日本の代理店、マニューバーラインにアプローチしたら、マニューバーはすでに様々なブランドがあるということで、フュージョン代理店を紹介してもらったんだ。そう、僕たちの最初のカスタマー。これが1つのきっかけになった。
あれから、フュージョンとは15年にも及ぶお付き合い。とても感謝している。
フュージョン代理店の方から、日本では主にムラサキスポーツで販売してもらっていて、ライダーでは、シンゴ(河野真吾)、マサシ(MAGUN)に乗って協力してもらっているんだ。
--様々な人との出会い。そしてジェンキ―氏のひた向きなまでの行動力。それが、今のエンデバーを支えているのですね。
最後に質問ですが、これからのスノーボード・ビジネスはどのようになると思いますか?
ネット社会など混沌とした難しい時代に入っていますが、ジェンキ―氏の考えをぜひ伺いたいです。
マックス:コンビネーションだと思う。
やはりショップは大切。実際に実物を見て僕たちのボードの良さを知ってほしい。
だけど、ショップにしてもなかなか全ラインナップをフォローするのは難しいので、そういうところで僕たちの方でお手伝いできると思う。買いたいけど、買えないというユーザーには、サイトを見ていただきたい。
--ところで、ジェンキ―さん。今でもスノーボードはよくしますか?
マックス:もちろん!このオフィスから、ゲレンデまで20分程度だし、ウィスラーにもよく上がるよ。そんな思いを込めて、今季リリースするボード(モデル名:High 5)には、ウィスラーまでの道のり、ハイウェイの地図をグラフィックにしちゃった(笑
今でも、年間40日以上は滑るよ。
僕だけでない、スタッフもみんなスノーボーダーさ。
--ありがとうございます!ジェンキ―さんのスノーボードに賭ける熱い情熱が伝わりました。
マックス:ありがとう!これからもエンデバーのユーザーのために、良いボードを作り続けます!
https://can.endeavorsnowboards.com