シンガーソングライター槇原敬之が捕まってしまって、大きな話題となっているけど、彼の製作した音楽に疑問を持つべきかどうか、報道内容を見て考えさせられてしまった。

というのも、あるコメンテーターが言った内容が、これまで自分の考えにはなかったからだ。

「スポーツ選手がドーピングして記録を剥奪されるように、ミュージシャンが薬によって生み出せらたものは、いかなるものだろうか?」と。

なるほど。確かにそれは一理あるかもしれない。
というのも、このコメントを聞くまで、僕はアーティストから放たれた作品は、疎外されるものではないと考えていたからだ。
だが、一方でスポーツ選手が、筋肉増強剤を使用してまで結果を出すことには、ダメであるという認識だった。
実際、世界的にも多くの人もそう思っているだろう。

だが、ミュージシャンが薬によって生まれた作品。それが、果たして「アリ」なにか「ナシ」なのか。

うーん・・・。

待てよ。
だが、ドーピングとドラッグは違うように思う。
ドーピングは、肉体を使うスポーツ競技で成績を良くするため、運動能力・筋力の向上や神経の興奮などを目的としている。肉体的にパフォーマンスを向上させることができる薬物だ。

一方、違法な危険ドラッグは、幻覚、幻聴、妄想を起こし、さらに意識障害、身体依存、中毒性もあるというもの。
確かにアーティストは、そのドラッグに頼ったことで、本来、自分が出せなかったかもしれないアート作品を生み出すことができるが・・。

スポーツ選手の世界では、勝ち負けがすべてだ。
身体を蝕む可能性も高いドーピングで、記録を出しても認められない。

だが、アーティストの場合は、勝ち負けというよりは・・・、人々に喜び、感動などを与えられるか、そのへんの勝負のように思う。

スポーツ選手は違法な薬物で出た記録は、アウト!
これは間違いないだろう。

アーティストの場合は、違法な行為で出された作品は、アウト!orセーフ!

僕が思うに、アーティストの場合、それを受け取る我々に判断するものであるようにも思う。
というのも、先にも伝えたけど、スポーツ選手の場合、その勝ち負けは、その選手、そのチームが主体となるからだ。
もちろんスポーツの試合が見ている側の感動を及ぼすことも百も承知だが、たぶんにその一選手の個人記録や勝ち負けに委ねられるところが大きい。

一方アーティストの場合には、その人の勝ち負けは、受け取り側である観衆が、その作品をジャッジングしていると思うのだ。

ある人は、「マッキーの素晴らしい作品のお陰で人生が楽しくなれた。あの辛かった時、この音楽のお陰で頑張れた。これからも僕は彼の曲を聴き続けるだろう。」と思う人だっているだろうし。
逆に、「あの素晴らしい音楽が、ドラッグの影響と考えると、もう聞く気になれない。」と思う人もいるかもしれない。

今回の逮捕騒動で、多くのテレビ番組で、槇原敬之が作ったテーマ曲の使用を止めるという報道もあったが、皮肉にも今回のニュースで改めて彼の音楽を聴いて、「あっ、懐かしい!また聴きたいな。」と思ってしまった人もいるだろう。僕自身、そうだ。気づけば口ずさんでいた(笑)。

なんか、そう考えると、音楽に罪はないように思う。

スポーツ選手による、筋肉増強剤で出された記録は、嘘っぽいしダメだと思う。
だけど、槇原敬之を通して、この世に出された音楽には、罪がないというか。

そもろもビートルズのポール・マッカートニーとか、初めて日本に来日した時、大麻のことで入国できなかったとも聞く。おそらくというか絶対、やっていたのだろう。ジョン・レノンも。
だがその音楽は、今でも世界中に愛され親しまれている。

もちろんソフトドラッグとハードドラッグの差などはあるかもしれないし、また、ドラッグの力によって生み出された音楽に、疑問がないわけでもないのだけど。

なんだか、書いている自分の論理がおかしくなって来ちゃったね(笑

長くなったので、最後に1998年の長野オリンピックの例を紹介しておきたい。

初代スノーボードのオリンピックの金メダリスト、ロス・レバグリアティは、循環器からマリファナが検出され、メダルを剥奪された。これに対してマリファナはカナダでは非犯罪であり、競技のパフォーマンスを強化する効能は発表されていないとレバグリアティは主張し、結局はレバグリアティの手にメダルが戻ったということがあった。

この例が示すことは2つあると思う。
一つは、この後のオリンピックで大麻を吸ったことで出された記録は、剥奪されることが決まったこと。(確かそんな報道があったと記憶する。)
一方でこの時にも論争があったけど、大麻により記録は伸びないということだ。
実際、ロスはその大会直前で吸ったのではない。その前のパーティーというか、おそらくそういうところで吸って、もうすでに大麻の影響力はほぼゼロの状態で大会に挑んだのだ。大麻を吸えば、より集中力が増したかもしれないけど、逆にヘロヘロになってとても競技どころでなかった可能性すらある。
ともかく、その時のオリンピック委員会は、例え大麻を吸ったとしても競技のパフォーマンスが高まると判断しなかったのだ。

ちなみになんで僕がある程度このストーリーを想像できるかというと・・。そもそも僕はロスという人間をある程度は知っているからだ。かつてブラッコムで、いっしょにトレーニングしていた仲間であるし、スノーボード界の神と言われているクレイグ・ケリーを紹介してくれたのも、彼だった。
また、長野オリンピックに行ったあるハーフパイプの選手から、大会の時の様子を聞いていたからだ。

ともかく、スノーボーダーのパフォーマンスでドーピングにより、より高い記録を出すことはできるが、違法ドラッグ、大麻のようなもの、覚せい剤のようなものでパフォーマンスが上がることは考え難い。それは当時オリンピック委員会での見解でも伝えられていること。
だから、今回の騒動、アーティストの出された作品と、スポーツ選手のドーピングによって生み出した記録は、同列では考えられないのではないか、と思うのである。