ルーブ

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昨夜はルーブと日本料理レストランに行った。ルーブは魚が食べれなくて、いつも日本食だと困っているらしいので、他にもこんなにおいしい食べ物があるよ!と教えてあげたかったから、インタビューの場所に選んだのだ。だけど、ルーブと久々にこうくいう話せる機会だったから、結局ルーブのこれからのこととか話していたら、そっちに焦点が行きインタビューはまた明日にでも、ということになった。
ルーブも20代後半になり、いろいろ将来のことを迷っているようだった。自分は酔った勢いもあり、かなり正直に強く助言をした。具体的に言えば、彼がやるべき撮影、大きなプロダクションともフイルム撮影を後押ししたようなアドバイス。
例えば、1つの大きなフイルムカンパニーだと、あるメーカーのライダーを使うと、そのメーカーから350万円ふんだくるビジネスをしている。
ルーブの場合だとナイトロだから、例えばマーク・フランク・モントーヤがあるプロダクションの撮影をすることになったら、ナイトロがそこのプロダクションに250万円を払うということだ。そこにルーブが撮影に加わると便乗した形になり、プラス100万円で350万円ということになる。
ルーブはそうなった場合に、必ず映像を残す使命になり、もし失敗して自分のパートを残せなかったら、ナイトロから白い目で見られ、首になる可能性も高い。ルーブはそのことが恐いのだ。何せルーブの1年間の大きな収入はナイトロだし命綱なのだ。
大きなプロダクションはジャンプでもトリックでも要求されるレベルは高くなる。ルーブは、今まで飛んだことのないようなクリフを飛ぶことにもなるだろう。しかも、メイクができなければ、フッテージは残らない。そしてバックカントリーの撮影では何度も同じところで飛べるわけでもない。着地だってパウダーだから難しい。パウダーだから安全ということもあるけど、しっかりした着地は難しくなる。
ルーブはウィスラーの小さなプロダクションが作った作品を気に入っているようだった。そこに行くことも可能だし、きっとその世界では優遇されるだろう。しかし、そこで撮影しても、彼のスポンサーが喜ぶわけではない。やはり大きなフイルム・カンパニーで成果をあげて、専門誌だってどんどん載らないといけないのだ。だから、ルーブが突き進む道は、例え大きなプロダクションで失敗しても、そこに行くしかないのである。
バックカントリーというのは、経験がものを言う世界でもある。パークがいくらうまいライダーでも経験が浅いライダーは良い映像を残せない可能性が高い。ルーブはライダーとしてのセンスもあるし、経験もある。実際、ルーブの先輩大御所ライダーたちよりもテクニックはあると思うのだ。彼に必要なのは自信だったから、オレはルーブにおもいっきり強く自信を持つように導いていたのだった。
その他にもいろいろ細かい相談に乗ったけど、考えてみたら国境を越えてこんな話ができることはありがたいことだと思う。自分は今でも英語はあまりうまくないし、カナダ人の友達も少ない。だけど、ルーブは昔からオレを兄のように慕ってくるし、相談も持ちかけてくれる。カナダの数少ない弟分のために、オレは彼に精一杯のエネルギーを注いでいた。
テーブルに付いた時のルーブの目はあまり生き生きとしていなかったけど、最後の方には5、6年前に会った時のギラギラしているような目になって安心した。

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