ナベさん

ナベさんが・・・・、信じられないです。

僕が20代前半だった頃、初めてスノーボードのハウツー本の執筆、ライダーをした時、撮影していただいたのが、ナベさんです。

当時、アマアマだった僕に、厳しくもやさしく接していただきました。

あの頃からすでにナベさんは、写真家としてスーパースターのような存在でした。
当時、スキー界では断トツの星であった海和さんのフォトグラファーとして名を上げてました。
「素人同士で撮影しても良いモノが残らない」、というプロデューサーの粋な判断で、ナベさんに頼み込み、当時のナベさんのギャラとして破格値で撮影していただいたのです。

そのかいあって、良いハウツー本ができました。
そして、たくさんの人がその本を購入してくれました。

僕というスノーボーダーが、また人間としても、一段階段を上がるきっかけだったし、プロフェッショナルな仕事を見せてくれた恩人でもあります。

思えば、あのニュージーランドの撮影の時、お子さんに素敵なFAXを送っていたことを思い出します。パパはずっと外出しているけど、愛しているよ、というメッセージを送っていたのでしょう。確かあれはイラスト付きの心温まるFAX。今のようにメールとかない時代だったから。

そんなナベさんが、昨日、長良川で撮影中に流されて、重体に。
そして息を引き取った、とこの業界の先輩から聞いて愕然となりました。

しばらくして、僕は目を瞑り、そして手を合わせました。

ここ10年以上かな。ずっと会っていなかったけど、これまで通りのご活躍を聞いていたし、この業界にいる以上、いつかお会い再会するだろうとも考えていました。だけど、こんなことになるなんて・・・。

ナベさん、ニュージーランドでの撮影では、本当にお世話になりました。
僕にプロフェッショナルな世界を見せてくれて、本当にありがとうございました。今、僕があるのもナベさんのお陰。
あの時、僕はひたすらNGで、プロデューサーから怒られっぱなし。だけど、ナベさんはいつもニコニコしながら撮影を続けていただきました。時には叱咤激励もしていただきましたが、根性でハイクアップを続けて良かったと思います。
ナベさんは手動でピントを合わせながら、写真サイズまで調整していました。今のフォトグラファーでは考えられない職人技ですね。それで140ページ以上、撮影していただいて。短かい期間だったけど、思い出は濃厚です。

その後もいろいろ気遣っていただいたり、東京のマンションに呼んでいただいたり。ポジのフィルムを見ていたナベさんの姿を思い出します。

クールで、やさしくて、そして本当にとても温かくて。
「いーちゃんの笑い方は、とてもいいね!」と言ってくれた言葉、一生忘れません。

謹んでご冥福をお祈りいたします。
フォトグラファー、渡辺正和さんから学んだことを胸に、これからの人生、しっかりと歩んでいきます。