スノーボードの未来を占う!バインディングの脱着速さを計測
イタリアのボードスポーツのセールスエージェンシー、Action Sport Agencyがインスタグラムで公開した非常に興味深い動画を紹介します。この動画では、来季からリリース予定の注目のFASE™ Systemバインディングと、既存のSTEP ON®およびSupermatic®の脱着スピードを比較しているのです。スノーボード界の未来を占う重要な市場競争の一面が垣間見えます。
結果は以下の通りでした。
1位:Supermatic 2.91秒
2位:Step On 4.04秒
3位:FASE 7.48秒
この結果を見ると、Supermatic®が最も速く脱着できる、非常に便利なシステムだということがわかります。確かに、速さだけを見れば、Supermatic®の勝利は納得の結果です。
しかし、私は普段、ウィスラーで年間100日以上のレッスンを行い、18シーズン以上にわたってレッスンをしてきました。その中で気づいたことは、生徒さんがこのような「イージー脱着システム」のバインディングを求める理由は、ただ速さだけではないということです。多くの生徒さんは、屈む動作が苦手で、立ったまま履けるシステムを求めています。
その意味で、この動画を改めて見返すと、Supermatic®の「屈む動作が不要」という優れた特徴が際立っていることがわかります。この点が、多くの人々にとって魅力的な理由の一つなのです。特にアジア人より西洋系の方が屈む動画が苦手な方が多いです。
さらに最近、中国系のスノーボーダーがStep On®を使っているのをよく見かけますが、彼らはブランドへの強いこだわりを持っていることが多いです。例えば、ウェアはBurtonのAKやアークテリクスなどの高級ブランドを選ぶことがよくあります。そうした高級ブランドへの憧れが、新しいSTEP ON®を好む理由の一つであるとも思います。
私は生徒さんに「こうした新しいバインディングシステムについてどう思いますか?」とよく聞かれるのですが、その際はいつもこう答えています。
「あと5年も経てば、ゲレンデの8割のスノーボーダーがこのシステムを使っていると思います。」
昨シーズンからこの言葉を何度も口にしてきましたので、あと4シーズン後にはどうなっているかが楽しみです。果たして、4シーズン後のスキー場にはどんな風景が広がっているのでしょうか?
私はおそらく、それでも古いバインディングシステムを愛用し続けていると思います。なぜなら、屈伸動作もできないようでは、自分の中でスノーボードを引退したと感じるからです。
ちなみに、私は現在56歳で、4年後には60歳になります。私のスノーボード人生のモットーは「メソッドをやらなきゃスノーボーダーではない!」というものです。果たして、それが実現できるのか!?
飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は39年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard