【コラム】立山バックカントリー・レポート

文:H.SEKIGUTI

日本のバックカントリーシーンにおいて一番ともいえる人気があり、聖地なんて呼ぶ人もいる。
それが北アルプス、立山だ。
11月末の閉山間際には厳寒期であるにも関わらずパウダーを求める猛者も。
そんな立山バックカントリーのレポートをお届けしよう。

 
春。
再び開山したならばその積雪量とハイシーズン並みのパウダーとまでいかなくともそれなりの新雪、深雪があるため多くのスノーボーダーをはじめスキーヤーやテレマーカーが足を運ぶエリアである。
3000メートル級の山々に囲まれその自然のスケールの大きさ、晴れていたならば最高の展望、無限に広がるルート、当たれば5月でもパウダー、などなど多くの魅力がある。
その数多の魅力に完全にオレもやられている一人。今年で立山に通いだして5年目を迎える。

行程は2日間。バックカントリーへ出かける条件として基本は天気。当然、晴天が望ましい。
しかし、相手は平均2500メートルの標高を誇る山、自然が相手である。いかに天気図から予測しても下界は晴れていても山へ上がったら天候が全く異なったり、急変することも珍しくない。
今回はそんな例えをそのまま再現するコンディションであった。   

初日。   
下界は晴れ間が出ていたがベースとなる室堂へ到着すると雪、強風、ガスのホワイトアウト状態。   
その恐ろしさは経験しないとわからないだろう。1メートル先の視界も確保できないのだ。当然、方向感覚も損なわれ、 
動けば動くほど上下感覚や左右など自分の居場所が分からなくなる。まして滑っている最中やハイク途中であれば滑っているはずなのに登っているような錯覚などで酔ってしまうのだ。普段なら15分もみれば辿り着く山荘ですら今回はGPS(全地球測位システム)を活用しながらも30分も費やした。装備、経験値のある方でも危険な状態。   
山を甘く見るな、という良い例である。   

すべてが真っ白になるホワイトアウト。方向感覚を失いとても恐ろしい。 道案内の標識もそばまで寄らないと見えなった。

当然、フル装備であっても初日は断念せざるを得ない状況。
ここまで悪天候でなくとも無理をしない、諦めることも大事なこと。

2日目。
昨日のホワイトアウトが嘘のような快晴、新雪!
背景がまったく違うので一目瞭然。

まさにバックカントリー日和とはこういうコンディションだ。
一部吹き溜まりを狙えばスプレーの上がるパウダー間違いなし。
最高な一日、まさにTHE DAY。

室堂山荘から一の越までハイクアップ。50分ほどか。
一の越から3000mの雄山までは氷の斜面にてスノーシューのみでは無理と判断し一の越から浄土山中腹へ滑り出し、
室堂山荘裏手にルートを取った。
一部アイスバーンもあったが雪質は前日の積雪もあり二重丸状況。真っ青な空の下、自分の思うがままにシュプールを
描いた。苦労してハイクしても滑り降りるのはわずか数分のこと。その一本に、自分の滑りのすべてを賭ける。
そこがバックカントリーの最大の魅力ではないだろうか。自然の山を相手に同じ滑りはできない。その一本にバックカントリーに魅かれている方々は、各々なんらかの重み、意義を覚え、山へ向かうのでは。
滑るのが最大の目的だが、ポイントまでのルートの選択や必要装備を考える、自分の目標(到達地点)までの道のりすべてが楽しいのだ。この魅力にやられてしまうとなかなかやめられない。時に命の危険性を感じることもあるけれど、それゆえに強く惹き付けられるのかもしれないな。

一の越という場所で

左奥は、雄山。右手前は浄土山。

左の建物が室堂山荘。その後ろが雄山全景。

一の越から室堂方面。ここから滑り降りる。

バックカントリー。     
スノーボーダーなら一度は体験してみたいはず。立山に限らず最近はBCツアーなんかもあり、内容も自分のレベルに
合わせて選択できる。初心者でもOKってツアーもある。決して安くない装備もレンタルしてくれるところもあるようだ。     
今すぐ、とは言わないが、まずは情報収集からはじめて、いつかみなさんも体験してみてほしい。     
新たな発見と感動、もしかして人生観まで変わっちゃうかも!?     

 

■参考
立山へのアクセスだけど富山県側と長野県側からの2箇所からアクセスできる。

住むエリアによってどちらか近い方が当然便利だけど、マイカーではいずれも途中までしか行けない。あとは立山・黒部アルペンルートを利用してケーブルカーやロープウェイ、高原バスなどを乗り継いでベースとなる室堂へ。乗車運賃や時刻表など詳細はオフィシャルページで確認しよう。富山、長野の両ルートを経験した立場からコメントすると、どちらも違った魅了がある。

富山側からはアルペンルートの運賃と乗り換え回数からすると長野側より安いし乗換えが楽。雪の大谷なる観光名所もバスの中から堪能できる。
長野側からは装備、荷物を持っての乗り継ぎは回数が多く大変だけど黒部ダムの景色や大観峰のロープウェイの景色は圧巻。

忘れないでほしいのは、「山へ入る=自然を相手にする」ということ。
当然、きちんとした装備も必要だし、登山届けだって提出するのが大前提。当然ゴミは全て持ち帰る。
雪崩についての知識も必要。ビーコンも使えなければ意味が無い。バックカントリーの本などでまずは事前学習して、装備はコツコツ揃えてもいいしレンタルでもいいでしょう。準備が整ったら山へ出かけよう。
きっと素晴らしい世界が待っているぞ。

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