【コラム】室内ゲレンデが日本のレベルを上げる

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文:飯田房貴

昨日はウィスラーのdmkクラブ員たちの飲み会があった。今週、帰ってしまうクラブ員のタケシくんのお別れ会、そしてクラブ員からライダーへと成長しているトオル(浪人3の擦り侍)が、これから日本に行くというのでその激励もかねて行った。

当初トオルは日本への一時帰国の予定だった。というのも春のレール・ジャム大会に参加が決まったので、その大会に出るために帰国するということだったのである。しかし、トオルはしばらく日本にそのまま滞在することにしたようだ。その理由を聞いたら、福岡のビッグ・エアーなど室内のゲレンデや施設などで練習したいから、と言う。

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トオルの相棒でもあるハジメ(注:トオル同様にゲスト・ライダーとして浪人3に登場)は、昨年10月福岡ビッグ・エアー室内ゲレンデに通い、とても練習になったということだ。室内ゲレンデは、カーペット式リフトにより、レールやボックスなどガンガンに練習できると言う。そして、その練習した成果をウィスラーのパークにある豊富な数のアイテムで試すということだ。つまり、室内ゲレンデは基礎を学び、ウィスラーのパークで応用を学ぶ、という考えである。

他のスポーツに目を向ければ、この考えは当てはまる。ゴルフの打ちっぱなちしや、野球の素振り&バッティングセンターの役割である。こうした普段の基礎練習があり、本番でさらにうまくできるということなのだ。

昔からスノーボードをやっているライダーはこう言うかもしれない。「スノーボードは自然の山を相手に滑るところが醍醐味。室内なんて、行けたもんじゃない」と。そういった考えもわからないでもない。しかし、これからライダーを目指す者にとっては、こうした室内のゲレンデで集中できる練習環境が必要だろう。そうでないと、近年ますます激しくなった競争の世界で勝ち抜くことはできないのだ。

またライダーを目指さない人でも、例えばボックスを集中して練習してみたい、という人には打ってつけの練習環境になることは間違いない。

スノーボードの本来の楽しさは、ターンを基本とする1つのコースで流れるように滑って、飛んで、回転して、という様々な遊び要素を入れて行くことにあると思う。だけど、その楽しいランを完成させるために、フリースタイル技の基礎を学ぶことにおいて、これから室内ゲレンデがますます注目されるのではないか、と今回のトオル日本行きで思った。

そして、その室内ゲレンデを利用したスノーボーダーたちは、世の人がまったくスノーボードのことなど忘れた夏場に密かに練習して、見違えるように上達している。そういう世界がもうすでにやって来ていると思うのである。 春の最後の滑走日に「また来年の冬会おうね!」とおわかれした仲間が、次の冬でまるで別人のようにうまくなっていた、という話は日本全国で起こりえる話。

よく、日本のライダーは、パイプは一流、キッカーは二流、擦りは三流、バックカントリーは四流などと言われるが、室内ゲレンデの効果で擦りの方も1流になる日も近いのかもしれない。日本人のライダーがパイプの一流になった歴史を見て来た自分としては、間違いなくそういう時代もやって来ると思うのである。

世界中でもこれほどまでに室内ゲレンデが充実している国は、日本において他はなく、このような日本の流れがいつか世界に影響を及ぼす日も来るのかもしれない。雪王国カナダにも室内練習場ならぬ、室内ゲレンデができる日も近い!?

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