【コラム】今、原点回帰

文:飯田フサキ

昨今、スノーボード・ビジネス市場の縮小が叫ばれ、メーカーからもショップからも「モノが売れない」という声が聞こえてくる。
スノーボードの市場を広げるには、新規参入者が不可欠。
そこで、市場を妨げる要因となっているのではないか、と思われるカテゴリー化のことについて述べてみたい。

コブだって楽しいヨ。オールマウンテンで楽しむ遊ぶ原点回帰を今、伝えたい!

そもそも、業界はスノーボードのカテゴリーにこだわり過ぎていないだろうか?
最初のターンの感動、それを伝えることを忘れているような、気がするのだ。

自分の気持ちの中では、スノーボーディングはライディングしている時が、スノーボードという感じがする。
雪山を自由自在に滑走する楽しさが、本来のスノーボーディングではないだろうか。
だけど、今のスノーボードは、ジブとか、パイプとか、カテゴリー化のイメージが強くなり過ぎているように思う。

今年、Peak#04のインタビューで吾郎(小松プロ)にあった時、「大会も遊びの1つだった」というコメントを聞いて、「ああ、確かにこの感覚も忘れているな」と思った。

70年代に生まれ、80年後半から徐々に世界に広まったスノーボード。90年代前半に大会に出ていたライダーたちは、スノーボードという遊びの中に大会というものがあった。確かにあの時は、遊びの一部で大会という名の下にそこでライダーが集い、ライディング・セッションし、夜はパーティをして、あまり勝ち負けなど関係なかったように思う。

だからハーフパイプという種目にしても、遊びの一部、その延長上に五輪種目があると言っていいだろう。
五輪は五輪で多くの人にスノーボードを知ってもらい、またその技術向上という意味においても素敵なことだ。だけど、ハーフパイプがスノーボードという遊びの一部であることは変わりないだろう。

むしろ一般のみなさんの方が、そういうことわかっているようにも思える。
Mixiのスノーボードに関するコミュニティの発言を読んでいると、専門誌が発信する情報が一般の方の感性とズレているな、と思うこともしばしばだ。一般の人の多くは、難しいトリックをすることができなくても、カービングなどの滑走感や山を征服するような達成感に気持ち良さを感じているのに、スノーボードの専門誌は、あまりそういったことに目を向けていないように思えるのだ。

業界、メディアが、スノーボードをカテゴリー化させてしまって、ジバーとかパイパーとかの言葉まで生み出した。確かに何か1つ誇れることって大切なんだけど、原点であるフリーライディングの楽しさ、単純にワンターンする感動とか、置いてけぼりになっているような気がしてならない。

メディアが作ったカテゴリー化は、スノーボード、イコール、「ジブらなくちゃいけないとか」「飛ばなくちゃいけない」という印象を、専門誌読者やビデオ視聴者に与えているような気がしている。もし、読者からそう受け取られたとしてしまったら、そこが問題だ。
そんなイメージが、ますますスノーボードを一般のみなさんの感性から遠ざけてしまって、業界の縮小化を作っているように思うのだ。

ちなみに、僕だってもちろんジブだってパイプだって好きだ。ジブは、ボード・スライドするのが精々だし、パイプだってリップから飛び出ているんだか、ってレベルだけど。それでも僕はスノーボーダーであることは間違いない。だって、いつも何かにチャレンジしているし、大きな山を滑らしたら、そのへんの日本のプロなんかには負けないぞ! 以前、日本のプロ大会のボーダークロスでも優勝したことがあるライダーを追い撮りしたことがあるけど、その時、ぴったんこマークして滑ったら「うわあ、フサキさん速えー!」ってビックリしていた。そう、重いカメラを持っていたって、へっちゃらさ。コブだって、本気出せばかなり速いぞ。

なんだか、オヤジ的な自慢話で反れちゃったけど、ともかくスノーボーダーは、どんなことでもチャレンジしていればスノーボーダーでしょ? 別にグラトリができなくても、スイッチで滑れなくても、ターン1つを磨く作業することだって頑張ってれば素敵じゃない。何より山をオールラウンドで遊ぶってところに醍醐味があるし、それが本来の遊び方だと思うのだ。もちろん、それぞれの価値観を否定するわけでないけど、僕はそう思うのだ。

ちなみにジバーのイメージが強いシモンにしたって、気の合う仲間とフリーランしている時、本当に楽しそうな顔をしている。僕のポコジャンのジャパン・エアーでも、「イエー、フサキ!」なんて大きな声をかけてくれて、超ノリノリで楽しそうだった。もちろん、いっしょに山を滑っている自分も、とっても楽しい。

ともかく、スノーボーディングは、それぞれの価値観でスタイルも決まって来ることなんだけど、単純に雪山を滑るって楽しさを、もっとメディアである僕たちが伝えなくては、なんて思っている。そう、僕が22年前に始めた頃のスノーボーディング、まさに原点回帰だね!