【コラム】ライダーの結果算出方法

文:飯田房貴

他のプロ・スポーツと違って、スノーボードというのは一種独特である。

例えば、プロ野球のバッターなら、打率があり、打点があり、ホームラン数など、そういった数字で選手の能力を測る結果算出ができる。

だけど、スノーボードの場合には、大会に出ない人も多いから単純に結果なんか出ないし、むしろビデオでの撮影活動がメイン舞台とされる、風潮になっている。大会で優勝したということよりも、あのビデオで最後のパートを飾った!ということで、評価される。

以前、僕はアマチュアとプロの差は、結果を出しているか出ないかの差。そこには実力の違いというよりも、結果を出したかどうか、という差が大きい、というようなことを伝えたことがあった。
だから、いくらうまくてもビデオや雑誌に出ていなければ、あまりプロ的な活動はしていないってことになるよ、と。

もちろんライダーの役割も様々だから、露出というよりも、自分が使っているギアが良くなるようにアドバイスするような活動もあるし、ショップのライダーだったらキャンプをやって顧客を増やすというような役割の人もいるだろう。だけど、スノーボードのメイン的な舞台では、だいたいが露出イコール結果というような流れがある。

それでは、プロ・ライダーとしての算出はどのようなものがあるのだろうか?

世界で認知されたビッグなプロダクションズのビデオに出ていることが、最高ポイントを得ることになるだろう。プロ野球で言えば、メジャーで活躍している松井やイチローのように。

日本では、現在、國母和宏が大御所レーベルSTANDARD FILMSに出ていて、最も世界で活躍している結果を残している、と言えるのではないだろうか。08-09シーズンも世界中のスノーボーダーたちが、カズのライディングに魅了され、その高いスキルにため息をつくことになるのだから。

カナダのAlterna Filmsはメジャーとは言えないかもしれないが、グローバルで販売している。そこに登場している中井孝治も、世界で活躍していると言えるだろう。しかし、こちらはSTANDARD FILMSと比べて、売り上げなどに差はあるだろうから、プロ野球で例えるならマイナーリーグか、もしくはメジャーでも下位チームか、というところかな。
どっちにしても、世界でリリースされる作品に出ているということは、良い結果を残していると言える。

Heart Filmsは、日本から世界に発信するビデオ。そこで活躍する布施忠など、彼らもメジャーに近い形で活動していると言えるだろう。これからこのビデオがもっと世界でメジャーになることで、最高ポイントを獲得することになる。さながら、日本の巨人がメジャーリーグに渡っちゃって活躍しているとでも言おうか。

その他、Redeye Filmsは国内最高峰で、今年の阪神タイガースのようだ。また、他にもスクローバーやFCなどの作品に出ているライダーも、国内で最も露出が高い作品に出ていると言えるだろう。

また、ガールズではリルやスローライフなどもあり、そこで活躍しているライダーたちも女子リーグで活動していると言える。

このように、世間のスノーボーダーたちが見るビデオに登場している国内のライダーたちは、30人から50人というところか。その内、メジャーは3人ぐらいで、その下の国内最高峰になると20名以内、またさらに下というところに100名から150名ぐらいいるのかもしれない。

仮に世界メジャーでの活躍、しかもそのビデオの中での印象度が高い滑りをしているライダーの最高得点を10ポイントとするなら、単にメジャーに出ているなら7ポイント以上。国内最高峰での活躍は、4ポイント以上で、その他のビデオや小さくても認知度が高い人なら、3ポイント以下と言えるのではないか。
逆にそのようなビデオにほとんど出れないライダー、また雑誌に出れないライダーは、0から1ポイントの間だ。

もちろん何度も言うが、ライダーにはオリンピックを目指す選手もいれば、メーカーへのアドバイスなどのワーク、さらには日本が生んだ一種独特なカテゴリーのデモなどもあるので、一概には言えないことだが。でも、現在の大きな流れで、ビデオ露出イコール結果と考えるなら、そんな算出方法ができるように思う。

ちなみに海外のプロでは、ビデオ・インセンスティブという契約があり、
25000以上のコピー数を出しているものなら、1秒間で25ドルとかもらえたりする。例えば、2分のパートを獲得すれば、3000ドルもらえることになる。
12500本以上の売り上げのものなら、1秒間で10ドルとか。
よく、ビデオの最後にちょっとしたおまけ的な感じで出ることがあるけど、その時には、2ショットで10秒間とかだから、100ドルをもらえたりする。
いくつかのブランドと契約することで、その露出度からの報酬は、掛け算になっていく。例えば、ボードとウェアーの両方のブランドから、ビデオ・インセンスティブをもらえたりするし、さらにアイ・ウェアーとの契約もできれば、その報酬は「掛ける3」になる。

その他にフォト・インセンスティブというのもよくある契約で、これは雑誌での露出により報酬がきまってくるというもの。

以前、このフォト・インセンスティブで、家の頭金に使ったというライダーも聞いたことがある。例えば、12ページのインタビュー特集で、いくつものブランドからのフォト・インセンスティブがあり、その報酬でなんと数百万円も行っちゃった、という話。本当かな?とも思うけど、こんな逸話が出るほど、フォト・インセンスティブ報酬をもらったライダーがいることは確かだろう。

話を戻そう。
ポイントが、4、5ポイント、それ以上のライダーたちは、それなりに自分の進むべき方向、やるべきことってわかっているように思える。
しかし、ポイント3以下のライダーたちは、どこかでやるべきことをやっていないように思える。

例えば、今年、僕は何人かの若手のライダーたちに「撮影をしようよ」と誘ってみたことがある。
しかし、「今、練習したいから」「この撮影はいらないと思うので」と断られたことがあった。

カメラマンは、ライダーを露出できる力を持っているので、ある意味、プロ野球で言うなら監督のようなものではないだろうか。だから、監督が「お前試合に出るか?」と聞いているのに、「練習したいので、出ません」と言っているのは、どうか?と思う。

あと、「撮影しましょう!」と意気盛んにアプローチしても、実際に撮影するもメイクれないライダー。つまり、撮影中にあたかも練習しちゃっているようなパターンでは、監督が一応は試合に出したけど、いつまで経っても結果を出せなかった、ということと同じだろう。監督の方は、「お前、ポテンでもいいからヒットを打てよ」と言っているのに、そのライダーは、長打を狙って、結局は結果を出せないパターン。

ストリートやバックカントリー、さらにはデカいキッカーなど、超気合の画を求めるような撮影、言わば現在のビデオシーンのメイン・ステージなようなところ。そこではなかなか決まらないものを頑張って残そう、ということだから、決まらないのもアリだし、そもそもなかなか決まるものでないと考えている。しかし、パーク内のアイテムで、メチャクチャ高いことを要求していないのだから、「結果を出してくれ」と思う場面は何度かあったなあ。

ところで、今年のCOCでは、いつものように大御所は流し、これからの出世をもくろむ若手は、気合を入れている、ってシーンがあった。
シモンとかJPとか知名度があり、すでにレベル10のような世界で活躍しているライダーたちは、別に夏に気合入れることもない。自分がやるべきパークでの撮影をこなせばいい。

一方で、これから名前を売るべきライダーたち。一応は世界で販売しているビデオに登場するも、もっと上を目指すライダー、例えばジェフ・ブラウン、E-MAN、デレック・デニソン、そして先日のインタビューに出たニック・ラッセル、あと結構すでに有名だけどパット・ミルベリーやトースタイン・ホグモまで、結構、頑張っていたと思う。

以上に名前を挙げたライダーたちは、本当にハングリーで、僕が評価ポイント3以下とした日本人ライダーたちよりもたくさん滑ったり、積極的に撮影に参加して来たし、できないことができなくて葛藤しているシーンも見せてもらった。きっとそんなジレンマが、いつかより上のレベルに行く肥やしになるに違いない。

一方で、0から1、1から2、そして3へステップして行くライダーたちは、もっともっとハングリーにやらないといけないと思う。

例えば、「明日撮影しようよ?」と聞いたら、練習したくてもともかく露出イコール結果なんだから、撮影に参加してほしかったと思う。つまり試合に出るってことだね。練習日と決めた日でも、撮影チャンスは毎日来ないのだから、準備ができていなくても参加してほしかった。練習はいつでもできるのだから。ともかく、ポテンヒットでも結果を残さないと、ポイントは上がらないのだから。

あと、「お前も立ちの写真(注:プロフィール用の写真などのこと)撮らない?」と、聞いた時でも、そのような撮影はあまり時間を使わないのだから、「いや、僕は別にいらないです」と言わずに、撮影するべきだったと思う。
立ち写真なんて、もしかしたら、バントのような細かい仕事かもしれないけど、それでも若手はどんどん出て行くべきだと思うんだ。どっちにしろ、立ち写真なんて、あっても損しないし、あればあったでいろいろ使えたりするんだから。
実際、世界の若手は本当にハングリーで、そういった僕のオファーに必ずOK。そのへん日本の若手は、プロ意識に欠けている者が多い。センスあってうまくても、これではもったいないよね。

よく「良い製品と良い商品は違う」って言うよね。その意味わかる?

前者は、ともかく良いモノ。だけど、一方で人々には知られていなくて売れていないモノだったり。
後者は、多くの人から受け入れられている人気モノ。
まったく同じモノでも、良い製品と良い商品は違うんだ。ライダーである以上、投資されちゃってるってことだから、言葉は悪いけど良い商品にならないといけないんだよね。

よく若手たちは「あのライダーはあまりうまくないのに、出しゃばりやがって」というような、ことを言うこともあるけど、それは自分が露出下手だから、ジャラシーのようになっちゃっている、って感じるのは僕だけ!? みんなボードをもらって一応はライダーなんだから、これからどんどん台頭して行かないといけない。それが用品をスポンサードされているライダーの使命なんだ。だから、どんなこともでも意欲を持って挑んで行くって姿勢が大切だと思うんだ。

世界は、今の日本の若手が考えるよりも甘くないと思うよ。

 
ライダーの結果算出方法(※あくまでもフサキの勝手な自己判断によるもの)
ポイント10 超メジャー級ビデオにパートをゲットしてしかも目立っているライダー
ポイント7~9 超メジャー級ビデオにパートをゲットしているライダー、もしくはグローバルなビデオで目立っているライダー
ポイント4~6 国内強力ビデオでパートをゲットしているライダー
ポイント3以下 国内中堅もしくは小プロダクションズでパートをゲットしているライダー
ポイント0から1 ビデオでパートを獲得していないライダー