中国の新世代を育成しているスノーボードのコーチとして活躍するライアン・ラウッシュ氏(Ryan R. Rausch)に、インタビュー敢行!
これから紹介するインタビュー記事は、事前にオンラインで行われたものと、1月9日(日)にカナダのブラッコムで開催されたFIS大会の時に行った立ち会見での内容の2つに分かれています。
現在の中国のスノーボード・チームの現状を、国内メディアでは初めて伝える貴重なインタビュー記事になっています。
Hi, Ryan, thank you for participating in the interview.
How did you become a Chinese team coach?
— ライアンさん、こんにちは。インタビューへのご参加ありがとうございます。
中国チームのコーチになったきっかけは?
Well it started at the glacier summer snowboard camp in whistler 2005 when they had just started a program and while I was competing and judging I kept in good contact with athletes and staff and after 2018 a friend Duncan Mainland was recruiting me for a transfer program that consisted mainly of x-martial artists and gymnasts. I was then working as a para snowboarding coach but knew my love for freestyle was too much to say no to so that’s how it started. This program really intrigued me as you almost always work with athletes that have some fundamental issues but with this program I could work on making sure that I did my best to Alleviate this issue. That really excited me!
ライアン:2005年にウィスラーで行われたグレイシャーサマースノーボードキャンプで知ったのが、きっかけです。まだ中国のナショナルチームのプログラムが始まったばかりでした。競技やジャッジをしながら選手やスタッフと連絡を取り合い、2018年以降は友人のダンカン・メインランド(※現在も中国人スノーボーダーのコーチとして活躍中)が、紹介してくれて採用が決まりました。
当時、私はパラオリンピックのスノーボードコーチとして働いていましたが、フリースタイルへの愛は断れないと思っていたので、それがきっかけで始まりました。
このコーチングでは、いつも根本的な問題を抱えているアスリートと仕事をすることになります。その問題を軽減するためにベストを尽くすことができるのです。これは、とても楽しみです。
How is the Chinese freestyle team doing?
My impression is that the women’s halfpipe team is strong.
What about the men’s halfpipe, slopestyle team?
— 中国のフリースタイルチームはどうですか?
私の印象では、女子のハーフパイプチームが強いと思います。
男子のハーフパイプ、スロープスタイルチームはどうですか?
They are making some great steps and I think they will
Be a force to be reckoned with. The more that we can get them to find their why and love for snowboarding the better they will do!
ライアン: 彼らは素晴らしいステップを踏んでおり、私は彼らがさらに飛躍することを信じてます。
スノーボードをする理由やスノーボードに対する愛情を見つけさせることができれば、もっともっといい結果が得られるはずです。
I think you used to say that in China, winning a gold medal is important and people below second place don’t really care.
Is it still the same?
以前、あなたは中国では金メダル獲得が重要で、2位以下はあまり気にしない、とおっしゃっていたように思います。
今でもそうなのでしょうか?
Only time will tell!
ライアン: 時が経てば、わかるでしょう!
How many medals do you expect the Chinese team to win?
Do you have a strong rider?
— 中国チームのメダル獲得数を予想していますか?
強いライダーはいますか?
I foresee the nation getting 2 or more. Wenlong is doing well! And all of the athletes I e been working with have gotten better!
ライアン: 2人以上、良い選手が現れることを予見しています。Wenlong Yang(杨文龙)も頑張っています。そして、私が担当した選手たちは、みんな良くなっています。
There is a large indoor ski area in China.
Is snowboarding booming in China now?
— 中国には大規模な屋内スキー場があります。
今、中国ではスノーボードがブームなのでしょうか?
You see way more people snowboarding in China than skiing and yes there are a bunch of indoor ski hills there and more to come!
ライアン: 中国ではスキーよりもスノーボードの方が盛んで、屋内スキー場もたくさんありますし、今後も増えるでしょう。
以上のオンラインでのインタビューを終えた後、2022年1月3日にライアンさんから、突然のメッセージが入った。
Hey, I’ll be making it to Whistler tomorrow for the week! Hopefully we can meet up!
(明日から一週間、ウィスラーに行く予定です。うまくいけば、会えるかもしれない。)
お互いのスケジュールが合わなくて、なかなか再会できなかったが、ライアンさんがバンクーバーに向かう大会の日、取材することができた。以下の内容は、昨日、行った立ち会見でのインタビューです。
— ライアンさん、お久しぶりです。忙しい中ありがとうございます。早速ですが、今回、ウィスラーに来た目的は?
ライアン: 私がコーチングする選手たちをサポートするために来ました。
本日、大会後にはバンクーバーに行きます。
— 忙しい中、ありがとうございます。ライアンさんにとっては、ウィスラーは元々ホームだったのですが、今は違いますよね?
ライアン: はい、私の妻はオランダ人で、今はアムステルダムに住んでいます。
私は、この後に選手をサポートするために、スイスのラークスW杯に行きます。
— とても忙しそう!しかし、私はあなたの目がとても輝いていて、この職務に充実感を得ているエネルギーをひしひしと感じます。
ライアン: ありがとう。あなたが、かつて私が選手時代に写真を撮ってくれて、私を応援してくれたことを感謝します。だから、あなたのインタビューのオファーを受けた時、しっかりと応えたいと思いました。
— いやいや、恐縮です。
ところで、あなたはカナダ人ですが、選手とのコミュニケーションはどのような方法で?ここには通訳の方がいないように思いますが…。
ライアン: 私は中国語も話せます。
— 本当ですか!元々、日本のプロ戦で活躍していたので、日本語も話せるし、中国語も話せるなんて!(※実際、ライアンはこの後、流暢に選手と中国語で会話をしていました。)
ライアン: かつて、お世話になった日本人の方たちにも、早く会える日が来ることを願っています。(※と言いながら、具体的な固有名詞など伝えていくライアンさん。ひじょうに律儀な方です。)
— そう言えば、昨夜、カリフォルニアのマンモスで行われたワールドカップは、日本人選手が大フィーバーでしたよ。スロープスタイルも行われましたが、今回あなたはこちらに来ているのは、これからの若い選手をサポートするためですか?
ライアン: はい。今回、ウィスラーに来たのは、私がこれまでコーチングしてサポ―トして来た選手たちが、将来的に彼らがオリンピックに出場するためのFISポイントを得るためです。
— Good Luck!(応援しています!)
この会話は、大会のスタートエリアで行われた。選手やコーチにとっても真剣な場だったが、ライアンさんは忙しい中、快く対応してくれた。
ちなみに以下の写真は、スタート地点で Wenlong Yangをサポートする様子を撮影したもの。選手が少しでも大会に集中できるように、自分の足のつま先を選手の板の裏に置き、さりげない手助けをしている。
そして、ライアンさんの気持ちが通じたか、応援していた選手は、見事に男女共に優勝した!!