STORY: KAJI
PHOTO: Kei KATO
第2回目にして、すでにdmkの恒例キャンプになりつつある大人気のコブラー・キャンプ。今年も快晴の下、吉田美和・稲川光伸の両デモから手ほどきを受け、多くのクラブ員たちがコブラーになれるよう驀進して行ったのだった。さらに今回は青木宴会部長が製作した本格的なDVD製作もあり、キャンプ終了後も思い出に浸れる志向。この大成功キャンプをdmkの新鋭奇天烈(?)ライターのKAJI が、独特の感性でレポートしてくれた。
第1回目だった去年のコブキャンプを思い出すと
・集合時間に誰もいない
・ゴンドラの乗り場は暑かったけど、降りたらムチャクチャ寒い
・昼休みはゆっくり休めない
といった様々なアクシデントが浮かんでくる。今年はいったいどうなるんだろう。
特に去年参加した人は昼休みのことが気になって仕方がないはずだ。
今年もいいお天気だ。
いい天気過ぎて仮眠していた車の中は暑くなってきた。暑さで目が覚めた。
車の外は爽やかな感じだったが、着替えて完全装備になると暑い。けど去年よりましだと思った。
天気はいいけど去年の悪夢を忘れてはいけない。
フリースを着て、ネックウォーマー、インナー付きグローブ、カイロを持つ。
(結果を先にばらすと、今年は全て不要だった。暑い。)
集合場所に行くと、dmkスタッフの姿が見えない。だけどキャンプ参加者はいた。
去年は「ほんとにここでいいのか」とみんなでウロウロしてしまったが
今年は去年のように不安になったりしない。おとなしく待っていた。
集合時間から遅れること15分、スタッフが着た。
リフト券や昼食券などを配って点呼をとって、などなど、去年よりスムーズに開会された。
今年はコーチ用に新アイテムが登場した。メガホンだ。わりと大きい。
ひそかに「そんなのいらないんじゃないの??」と心の中で思っていたが、dmk会長のあやさんがわざわざ
このキャンプのためにメガホンを求め東京中を彷徨ったというから「便利そうですね」といっておいた。
私の予想に反してこのメガホンは優れものだった。ほんとに大活躍。コーチも気に入ってくれたようだった。
1日目終了時点で心の中で「あやさん、ごめんなさい」と謝っておきましたから許してください。
キャンセル待ちがでるほど大人気のこのキャンプは、1チーム20人という大所帯となった。
コーチはみんなが憧れる稲川光伸さん、吉田美和さん。
お二人ともデモンストレーターとして活躍しているので、なかには「美和さんをみると初心に戻るよ」
という人もいた。スノーボードをはじめた頃、教本やビデオでさんざんお世話になったらしい。
本やビデオのなかの人がすぐそこで動いているのだから感激して当然だ。
チームはコブ初心者向けの「いつかはコブラー」チームと、わりといけてる「もしかしてコブラー」チームに分かれる。
このチーム名は記念すべき第1回目の去年にdmk会長のあやさんが命名したのだ。
去年は首をかしげる人もいたが2回目にして定着してしまったようで誰も気にしていない。
でもこのチーム名、キャンプ中に「いつかはコブラー」チームのメンバーによって勝手に「うさぎさん」チームと
「ライオンさん」チームと変更されてしまった。
たいていの人はコブに慣れていないので「うさぎさん」チームを希望した人も多かったようだが、
あやさんの指令により「ライオンさん」チームに配属されてしまった人もいたようだ。
なぜか各チーム男女比率が偏ってしまい「うさぎさん」チームは男4女16、「らいおんさん」チームは逆の男16女4と
なりそれぞれのチームで複雑な表情を浮かべる人がチラホラいた。
私は泣き言が通じ、めでたく「うさぎさん」チームに入れた。
ここからは完全にチーム別行動となるので「ライオンさん」チームにのことはさっぱりわからない。
だからレポートの中にもちょっぴりしか登場しない。「ライオンさん」チームの人ごめんなさい。
「うさぎさん」チームのコーチは美和さんだった。美和さんは点呼をとりながら何かをメモっていた。
名前を呼んで1人1人確認していく。あとでそのメモをこっそりと見ると名前と特徴が書いてあった。
(こっそりと言ってもレッスン中にそばに座ったら見えたんです。後ろめたいことはしていません。)
このメモの威力はすばらしくレッスン開始直後から名指しでビシバシと教えてもらえた。
美和さんが名前を連呼してくれるので「うさぎさん」チームは、みんな名前で呼び合えて親しく慣れた気がする。
レッスンはサイドスリップから始まった。たぶん初心者の頃しかやらないはず。あとはゲレがけしたいときくらいか。
春のゲレンデにやってくるのは、かなりはまっているいる人達ばかりであろう。
はまっているからにはそこそこできるはず。なのに20人の集団が初心者教室的な行動を起こしている。
かなり異様な光景であろうが、まわりの目を気にするような集団ではない。
ものすごい真剣な顔つきでサイドスリップに挑戦する。真剣すぎて表情がなくなる。
そして滑りではなく表情を注意されるキャンパーが出現した。
コーチから「ハイ、笑って。顔が怖いよ~~」と言われてしまう。言われたほうは「????」って顔だ。
サイドスリップの次は「ターンをしないで回す」という聞くだけではなんのことかさっぱりわからない技に挑戦する。
コーチに「板を落としてクルッと回す」と言われお手本を見せてもらう。
キャンパーからは「ホォー」とか「エェェー」とか表現しにくい声があがった。
やってみるとうまくいかない。どうしてもターンをしてしまう。
「うさぎさん」チームはレッスンが進むにつれて、どんどんと静かになっていった。顔もこわばっていく。
結局午前中は3,4本練習をして終了となった。
いよいよ今キャンプ最大の心配事である昼食タイムに突入だ。
去年はレストランに入ると、ステージの真ん前に「dmk様ご予約席」があった。
ご飯を食べているとステージに人がのぼり、演奏が始まった。演奏は迫力満点だった。
迫力ありすぎで隣の人と会話もできない。静かに休める場所を求め移動する人もいた。
しかし移動するのは演奏者に失礼と思ったのか、ほとんどの人がおとなしく演奏を聴いていた。
演奏が終了すると拍手をする。するとますます張り切って演奏してくれる。
自分で状況を悪化させてしまうアリ地獄を作り出してしまった。
そんなつらい思い出をかみしめながらレストランに入ると、今年はステージ前に予約席がない。
見回しても見あたらない。レストランの人に聞くと「あちらです」と。その場所には人があふれていた。
あきらかにdmkメンバーではない。それでも一応近づいていくと一応ロープで仕切られ、テーブルの一つだけに
「dmk様ご予約席」の紙がおいてあった。そのテーブルには誰もいない。
呆然としていると、下のフロアがガラガラであるとの情報が入ったので移動することにした。
下のフロアはほんとにガラ空きだった。
今年は会話が弾む昼食タイムになった。今シーズンはイベントが多かったため共通の話題が豊富だった。
午後のレッスンは「抱え込み」から始まった。またしても何のことだかわからない。
昼休みの盛り上がりも一気に冷え込み、キャンパーは沈黙していく。
みんな動きがおかしい。なにかに操られているようだ。
それでも挑戦しつづけなんとかターンせずに回れるようになった。
実はコブにチャレンジするのは今年で3年目なのだが、年1回しか挑戦しないので3回目でもある。
年1回では上達するよりは自分の実力をしって落ち込むほうに作用している気がする。
それでも2年前はさっぱりわからなかったけど今年はわかったような気がしたのだから一応進歩しているらしい。
いよいよコブに突入する。突入する前にコーチがどこを滑るのか丁寧に教えてくれる。
それでも相変わらずキャンパーの顔は「???」である。そしてさらに静かになる。
とりあえずチャレンジだ。案の定できない。
でも去年は何でダメかもわからなかった。今年はダメだということはわかった。できないイライラの種類が去年と違う。
何回かチャレンジするとできたような気がするときもあった。今年は何とかなるかもという期待も持ち上がった。
しかし、斜面が急になるととたんに腰が引けてできなくなる。ビビリが一番の敵だった。
他のキャンパーの滑りを見ていると、上手く回る人がいることに気がついた。ほんとにクルッと回れている。
「なんでだろう」と疑問を持ちつつも、必死になりすぎてどんどんおかしなことになっていく自分がいた。
しばらくしてからクルッと回っているうちの一人が今年スノーボードをはじめたという衝撃的な話しをキャッチした。
本人に確認すると、本当に1年目だという。驚きすぎて繰り返し聞いてしまった。
自分が9年目だということはナイショにしておきたい。
あとでコーチが「体の軸がまっすぐだときれいに回る」と教えてくれた。しかしまっすぐにするのが難しいのだ。
結局「9年間で変な癖がついているからできない」というすばらしい理屈を思いつき自分を慰めることにした。
みんな徐々にコツをつかんだようで熱心にレッスンに集中する。
途中で「ライオンさん」チームに遭遇したが、うらやましい滑りを見せびらかしながら通り過ぎていった。
「うさぎさん」チームには小学3年生が、「ライオンさん」チームには中学生が参加していたのだが二人とも
「よくわからない」と言いながら軽やかにコブをクリアしていった。うらやましい。子供の素直さがいけてるのか?
「ライオンさん」チームにもコブ初心者がいるはずだが、そのような人は見あたらなかった。
熱心にやりすぎて重大なことが発覚する。
練習していた場所から帰るにはゴンドラに乗るのが最適なのだが、ゴンドラ営業時間に間に合わない。
ゴンドラに乗れないと、ハイシーズンでもうんざりする下山コースをとぼとぼとスケーティングで帰ることになる。
こんなに疲れているのにスケーティングなんかできない。しかも板は汚れてべったりしている。
斜面に放り投げても止まりそうなのに。
ひそかに落ち込んでいると、青木先生が「大丈夫、乗せてくれるって」と叫んでいる。
青木先生はみんなのためにゴンドラの人に交渉してくれたのだ。あわてて乗り込んで一安心。
1日目のレッスン終了予定は4時半だったはずだが、すでに5時すぎだった。
とりあえずコーチの挨拶で終了となった。
次の予定が迫っていたので楽しみしていたアライのお風呂も速攻で入る羽目になってしまった。
宿に入り夕飯をすませると、ビデオクリニック兼プチ宴会の時間になった。
コーチとdmkからプレゼントが用意されていた。みんなでジャンケン大会を繰り広げるがなかなか決まらない。
今シーズン開始の北海道キャンプでは、コーチとdmkスタッフの実力によって決まらなかったのだが
今回は、キャンパー同士が遠慮しあったような感じであった。
なかには「男はレディファーストだよな」の一言でほんとに譲るステキな人もいた。
私はレポートを書くという名目でちゃっかりとスタッフ用Tシャツをいただいた。
そんな雰囲気のなかビデオが上映される。ビデオクリニックの時間は楽しみでもあり苦痛でもあるのだ。
アホな自分の姿は消し去りたい。
今回のキャンプでは初のDVD企画が決行されるため、青木先生の主導でいつもとちがう映像が収められてた。
なんか格好がいいのだ。滑っている人によっては。
ビデオをみながらその場でプチレッスンも行われた。そして恒例の「コブトレ君」が登場した。
今回はdmkスタッフKay君の自宅からやってきたテレビ用の回転台だった。
初めて見る人にはなんだかわからない「コブトレ君」に次々の挑戦する。あれはほんとに難しい。
でもかなり効果がある。事実2日目のレッスンで「昨日のコブトレ君がきいてる」という発言もあった。
かなり内容の濃いレッスンだったため、12時前に宴会はお開きとなった。
たぶんみんなすぐに寝たはずだ。ビデオクリニック中も目がうつろになっている人がいたから。
【2日目】
起きると、激しい水音がする。雨か?でもやたらと明るい。
外を見ると屋根の雪がとけてものすごい量の水が落ち続けていた。
今日も暑くなりそう。昨日は雪の上に座り込んでいたことと暑さでインナーやアウターがびっしょりだった。
昨日の反省をもとに余計なものはおいていくことにした。今日は身軽だ。
天気がいいうちに集合写真をとるということで山頂に集合する。集合してみると誰か足りないような気がするが
誰だか分からない。アルツツアーの事件が再来したかと思った。とりあえず「うさぎさん」チームはコーチが
点呼をとってくれたので全員いることが確認できた。それじゃあ「ライオンさん」チームだ。
「ライオンさん」チームは「ペアで確認して~」と叫んでいた。「ふ~ん、ペア組んでいるんだ」と感心して
いるとどうもいないのはペア同士だったらしい。点呼をとるには不向きな仕組みだった。
なんとか全員集合して、きれいな集合写真を撮ることができました。
早速レッスンを開始する。昨日のコブトレ君を思い出しながらやってみるが、あれ?昨日より下手になってる。
なぜだろう? さっぱりわからない。やればやるほどおかしなことになっていく。恐るべしコブ。
あまりにもできないので開き直ってしまった。ゲレンデにはスキーヤーが挑戦しているきれいなコブがあった。
他のキャンパーと「あっちのほうが楽なんじゃない?」と矛先を変えようとしたらコーチの耳に入って
「あっちは縦のコブだから難しい」と言われてしまった。隣の芝生は青いってやつでした。
一向に上達しないまま午前中のレッスンは終わってしまった。コーチにも心配される有り様だった。
午後はピクニックが待っているので今日の昼休みもしっかりと休まなければならない。
レストランに入ると今日はしっかりと予約席が確保されている。各テーブルに予約席の張り紙があった。
昨日の昼食はスパゲッティミートソースを注文したら、みんなに「大盛り?」と聞かれる量だったので今日は
キッズプレートにした。アライは量が多いと思う。カツ丼大盛りなんてラーメンどんぶりみたいな器で
カツ2枚が乗っかっている。そんな量をたべたら午後のピクニックが大変なことになってしまう。
キッズプレートは適量でした。
午後、去年と同じくハイクを開始する。ちょっと不安そうな表情を浮かべてる人もいる。
普通のゲレンデではやらないことだから仕方がない。板を持って山を登るのは大変なのだ。
でも歩くのは30分くらい。それでも去年は息切れがして大変だった記憶がある。
今回のキャンプは参加前から疲れが溜まっていたので体力的にきついと思っていた。だからハイクは気が重かった。
だけど、去年より楽に登れてしまった。休むことなく一気に登りきれた。ありゃ?コブ以上に訳が分からん。
山頂でひと休みをしたあとは、一気にフリーランだ。このフリーランもDVDにおさめるべく撮影係の村っちょさんと
青木先生がスタンバイする。山頂からの滑り出しはちょっと急で腰が引けてしまう。
そんな斜面をまず稲川コーチが滑り出す。やっぱりかっこいい。
滑り出しが狭いので順番に滑っていく。自分の番がきた。勢い良く行ったつもりがやっぱりブレーキをかけてしまった。
余計な時にコブ練習の成果が発揮され前足に重心をかけてしまったため、どんどん失速していった。
慌てて後ろにのると急にスピードがつく。ちょっとおもしろい。
爽快なフリーランを終えると、こんどはDVD用の撮影にはいった。
でもみんなDVD用なんて意識は薄く、果敢にチャレンジしていくのみだった。みんなかなり上達した。
コーチもそう言っていたから間違いない。ただし一部の人を除いて。私は間違いなくその一部だった。
午後になるとゲレンデに生暖かい風が吹いていた。そしてその生暖かい風とともにゲレンデとは思えない異臭もしてきた。
ちょっとげんなりしたが、プチイベントがあったので異臭のことはすぐに忘れられた。
プチイベントはコーチ二人のコラボレーションだ。あやさん曰く「夫婦(めおと)滑り」だ。
キャンパーの中には知らない人もいたがコーチたちはきちんと籍を入れた夫婦なのだ。
「夫婦(めおと)滑り」は本当に見事でキャンパーは誰もが「いつかは自分も」と思ったに違いない。
コーチの滑りに感化されみんな残り少ない時間でガンガン挑戦していった。
汗だくになって熱中するなんて滅多にないはず。
そしてその結果、「なんかブーツの中がイヤな感じ、小学生の頃長靴に水入れちゃったみたいな」という話題が
持ち上がってしまった。たのしいキャンプが妙な話題で終了するとは誰も予想していなかったはず。
今日のレッスンもちょっぴり延長した。一応閉会式をして記念写真なんか撮ってる中、もう少し滑ると言う人たちが
最終のリフトに駆け込んでいった。正直「よくやるなぁ」と思った。なかには下まで滑って帰るという人もいたが
私は「是非ゴンドラで帰りたい」と宣言し、ゴンドラに乗り込んでしまった。賛同しくれた方もいるのでよかった。
最近自分は怠け者ではないかと考えていたから。
あとで、下山コースを滑っておりた人の話を聞くとやっぱり大変だったようです。
こんな楽しいキャンプでしたが、心配した通りブーツの中は大変なことになっていました。
最後にろくでもない話題をもってきてなにもかも台無しな気がしますが、これも来年には思い出になるのです。
参加者の皆様、また来シーズンにお会いしましょう。
このキャンプのインフォメーション
|
日程: 4月9日(土)、10(日)2日間 キャンプ料金: ¥28,500 開催ゲレンデ: ARAI MOUNTAIN(新潟県) http://www.araimt.com/ コーチ: 吉田 美和、稲川 光伸 協力会社スポンサー関係: DEELUXE、SNOMAN、HWK、Gショック、ARAI MOUNTAIN、ほてる千家 |
キャンパーの声
|
あきさえ くみ(ひな母 ハヤト ばっきー kana サコ |
恒例ケイ・カメラマンの写真サイトは以下になります。
http://www.yukinchu.com/dmk/2005kobu/