【ハウツー】スノーボードの上達は「彫刻型」「建築型」!?

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スノーボードに限られたことではないけど、どんなスポーツでも大きく分けて2種類の上達方法があると思います。

1つは、「彫刻型」。
もう1つは、「建築型」です。

彫刻というのは、ある物体、石や木などを大ざっぱに削っていき、最終的に何らかの形にしていきます。
これと同じように、彫刻型の場合、スノーボードのターンや、トリックにしても、最初は大ざっぱに仕上げておいて、だんだんと仕上げていく方法です。

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サッカーは、彫刻型が良いという人もいます。
様々な基本的な技術も大切だけど、まずサッカーを始めた子供たちには、ゲームやってその楽しさを伝え、そして勝つためにパスやトラップの基本的なテクニック、さらにはアタッカーやディフェンダーなどの役割など徐々に教えて行こう。ともかく、大雑把に形を作り、そこから徐々に仕上げていこう、という考え方ですね。

一方の建築型の場合は、土台を組み立て、柱を付けて、屋根を付けて、壁を付けて。
つまり、順番を守って、1つ1つ積み重ねる作業です。
このように、基礎からしっかりと学んで行き、そのレベルでのことができなければ、次レベルにトライしないという方法が、建築型です。

これは、よく野球で取り入られていると言われます。
キャッチボールを通して、まずは投げること、捕ることの基本を教える。試合に出るのは、まだその先。
そして、バッティングは、素振りから始まり、トスバッティングに移行しというように。
極端な話、建築型の方は基本ができなければ、次にいかせなよ!というやり方です。

スノーボードの場合、僕は彫刻型が良いと考えています。
例えば、スノーボードを始めた人には、スケーティング→横滑り→木の葉落とし→ワンターンというようなプログレッションがあります。
その上達の過程において、カカト側の横滑りができなければ、つま先側にはいかないよとか。
横滑りがうまくできないのに、木の葉落としなんて無理だよ。
などのような考え方があります。それって、建築型なんですが・・・。

僕は、そういうやり方をせず、「ああ、この人は、カカト側でうまく立てないんだな。あまりこだわらずに、つま先側をやらせてみよう。」とか考えます。

極端な例だけど、過去のレッスンではこんなこともありました。

ハワイから来た超巨漢のお相撲さんのような方。
カカト側で立つことなんて、相当困難。僕が立たせようとしていたら、他の仲間の生徒さん二人も来て、手伝ってもらったり。片足スケーティングから横滑り、木の葉落としなんか、ぜーんぶできない。
でも、ターンをさせたら、意外にできっちゃった!(笑)

その方、巨漢だけどハワイではサーフィンをやっている方。
時間が経ち雪がシャバってコントロールしやすくなったこともあるけど、ターンをさせたらできてしまったのです。
だから、なんとかおっちらできたターンを、よりコントロールできるようにアドバイスするだけで良かったのです。

フリースタイルの基本的なテクニックだって、様々な考え方あります。
フロントサイド360を例にとってみましょう。

フロントサイド360は、最初の180回転はフロントサイド180です。だけど、最後のランディングまでの180回転は、スイッチからのバックサイド180になりますよね。
だから、考え方として、まずはグランド(緩い斜面)でフロントサイド180を練習しましょう。次にスイッチバックサイド180を練習しましょう!という練習方式が成り立ちます。

フロントサイド360= フロントサイド180 + スイッチバックサイド180

実際、このような練習は効果があるのですが、それよりもまずは大雑把で良いので、プレッシャーの掛からないポコジャンでフロントサイド360をメイクさせてしまう。コブのようなちょっとしたきっかけのようなところで構いません。
そんなフロント・スリーがなんとなくラッキーメイクできるような人に向けて、前途に紹介したようなスイッチバック180練習が有効になると思うのです。
これも、1つの彫刻型ですね。

だから、僕はなんでも、まずはなんとなくできるようになってもらうようにします。
そして、「できたね!」て褒めてあげて、それからさらに「スタイルをカッコよくするために、こうしてみましょう。」とアドバイスしていきます。つまり完成度を上げる作業に入るのです。

彫刻型が良い人、建築型が良い人

以上のように、僕はスノーボードは彫刻型が良いと思うのですが。特にこんな人は彫刻型で、こんな人は、建築型のレッスンが良いだろうというアドバイスもしたいと思います。

彫刻型
若い、キッズなど
身体能力が高い人
スケート、サーフィンなど横乗りスポーツの経験がある方

建築型
お年が上の方
身体能力が劣る方(筋力、柔軟性など)
横乗りのスポーツをまったくやったことがない方

もちろんケース・バイ・ケースで、建築型の練習方法で上達していき、ある時期を境に彫刻型のように「エイヤー!」という気分でやっちゃってもいいケースはあるでしょう。
彫刻型でガンガン上達して来たけど、ケガをきっかけに建築型に変えて、より安全に地道に上達していく道を選んでいいわけだし。
ようは、置かれた状況で、何型でやっていけば考えればいいわけです。

アイスバーンの日だったら、転倒のリスクを避けてコツコツと建築型にして基礎を固めていってもいいでしょう。
パウダーの日だったら、いきなり彫刻型でやったことがないトリックをやってもいいでしょう!!

こういうことを知ることで、効率良く上達することもできるし、ケガをも防ぐことができると思います。
ぜひ、参考にしてみてください。

飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴35シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
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