
昨今のゲレンデ風景を見ると、これがスノーボードの楽しみ!とばかりにグラトリばかりに打ち込んでいる方を見かけます。
一方でそういう姿に拒絶したり、せせこましいような動きに嫌悪感を持っている方もいるようで、グラトリにあまり興味を抱かないというスノーボーダーの方もいます。
確かにグラトリは、スノーボードの楽しみの一つ。そればっかりやってはどうかな?と思いますが、僕はグラトリをぜひやった方がいいと思います。
なぜなら、グラトリは、スノーボーダーに必要な身体能力、リカバリー力を身に付けるからです。
グラトリをやった方ならわかると思いますが、グラトリというのは結構な筋力を使うものです。
単純にゲレンデをクルージングするよりも、もっと体力を使いますね。
ジャンプするためにヒザをしっかりと曲げたり、またオーリーするために太ももを引き上げるような運動をしたり。ゲレンデの平らなところで、ちょこっとやってみても、息がハーハーして来るほど疲れるもの。
だから、自然とスノーボーダーに必要な筋力、そして体力を付けることができます。
グラトリはリカバリー力向上にも役立つ!
なかなかできない難しいグラトリをやっていると、転倒したりします。そんな時には自然と転倒しても痛くないような身体の使い方を覚えることができるでしょう。よくうまいライダーの動画を見ると、なんであんなリスキーな転倒で、怪我をしないのだろう?と思うけど、みんなうまく転倒時の衝撃を逃がすテクニックが身についていますよね。そう、グラトリはこうしたリカバリー力も身に付けることができるのです。
さらにグラトリは、ボードの扱いもうまくなるし、スノーボーダーに必要なバランス力も身に付きます。
グラトリをやっていると、自分とボードが一体化でき、思うように板をコントロールできるようになるのです。
良いこと尽くめですね!
実際、うまいプロ・ライダーたちは、みんなグラトリを自由にできる技術を持っているし、ゲレンデ遊びに取り入れています。
どっかのグラトリばかりくんのように、そればっかり、というのは「?」だけど。
シーズン初め、まだ板に乗れていないような時期に積極的にグラトリを行い、スノーボーディングの感覚を補っていくのは良いことでしょう。
くれぐれも混んでいるところでの衝突事故は気を付けてね。
飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴30シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWing誌では、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、シーズン中に一回は日本へ帰国しコーチングも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、今なお世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!