Text: Fusaki IIDA
先日、『Signal Snowboardsが新しい試み!Subscribeというビジネスモデル開始!』というニュースをアップした時、ウィスラーの友人からこんなメッセージが届いた。
「それよりも驚いたのは、SignalもCHANNELシステムを使っていたということ。」
確かに。
カナダのバンクーバー発のブランド、Endeavor SnowboardsがすでにCHANNELシステムを使用していたのは知っていたけど、ここへ来てSignal Snowboardsも採用。
今後、このCHANNELシステムが様々なブランドにも波及するのかもしれない、と思った。
CHANNELシステムとは?
CHANNEL(チャンネル)システムとは、スタンス幅や角度を自由に動かすことができ、1つのビンディングに対して2点ネジで留めるシステムのこと。
往来、スノーボードの板は、4×4(フォーバイフォー)という4点留め、あるいはバートンは3Dシステム(スリーディーシステム)という3点留めを採用していたが、それだとビンディングのスタンス幅は、最小で2センチ刻みのスタンス幅の調整で、3度刻みの角度調整することが主だった。しかし、このCHANNELシステムにより、細かいところまで自由自在に調整することが可能になったのだ。
ちなみにこのスライダーの穴を使って角度や幅を自由に動かすシステムを開発したのは、バートンではない。
かつて90年代に一世風靡したブランド、Forum(フォーラム)だ。
自分の記憶が正しければ、当時は「チャンネル」という言葉でなく「スライダー方式」、あるいは「スライダーシステム」と呼んでいた。
バートンは、フォーラムを買収し、そのまま彼らの持っていた特許も取得したようだ。
だが、現在フォーラムという板は無くなってしまったため、そのままバートンはこのシステムだけを継承している。(注:ただ当時のフォーラムのスライダー方式は、1列でなく2列の穴が平行にあり、それでビンディングを留めていたので現在のバートンのものとは違うとも言える。)
言葉は悪いが、結果的にこの画期的なシステムがほしくて(!?)、バートンはフォーラムを買収したようにも見える。
CHANNELシステムの欠点
当時、ピーター・ラインなどに憧れていたスノーボーダーたちが、このシステムの板を使用したが、ライディング中にスタンスが動いたり、スライダーのところから壊れてビンディングが外れてしまったりということがあった。
そしてバートンがこのシステムを継承した今でも、似たような問題は起こっている。
ただ、バートンが継承してからは、壊れたということは聞かなくなったし、問題がだいぶ解消されているのは事実だ。しかし、ライディング中にビンディングが動いてしまったりということは、自分自身何度も経験している。気づいたらスタンス幅がおもいっきり広がっていたということもあった。
だから、このCHANNELシステムを使用しているスノーボーダーは、他の4×4システム使用者以上にネジ締めの点検が必要になって来る。
スタンス幅、角度が気軽に調整できるCHANNELシステム
僕は、このCHANNELシステムを使うようになって、かれこれ5年ほど経つ。
確かに、ビンディングの角度や幅が勝手に動いてしまうのは困ることだが、ネジをしっかりと締めるということは、たかが1分ほどの作業。正直、面倒と思うこともなかった。
スタンス幅を微妙に調整したり、角度を調整できるのも魅力的だ。
何より2点でスタンス角度や幅を調整できる気軽さ。このへん僕が好んでいるところだ。
でも、そもそもスノーボーダーは、スタンス幅2センチ以下の調整やスタンス角度3度以下の調整など必要とするのだろうか?
おそらく、多くのスノーボーダーは、そこまで求めないように思う。
そういった意味では、2点留めのイージーな調整方法が受けているということも言えるだろう。
CHANNELシステムの未来は?
思えばスノーボーダーは常に新しいテクノロジーを求め、それがギア向上の発展につながっている。
ベースレス(注ベースプレートのないビンディング)、先のステップイン(注:今季からリリースされるステップオンではなく過去のもの)、ハイバックなしのビンディングなど、生まれては無くなり、また違う形で復活したりなど、こうしたことの繰り返しで、さらに良いギアが登場しているのも事実だ。
CHANNELシステムというのも、便利なシステムで今回、Signal Snowboardsが採用したことで、さらに他のブランドに波及する可能性もあるだろう。
CHANNELシステムの採用。それ自体が宣伝効果を生むものになるかもしれない。
そうして将来は、CHANNELシステムというのが、4×4よりももっとポピュラーなシステムになる可能性だってあるだろう。
もっともその時には、また新しいシステムというのが誕生している可能性も否定できないが。