氷のドームで至福の時間

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ウィスラーを拠点にスノーボーディングしているICHIROさん(中山一郎)は、最も過激に遊ぶ軍団の隊長。スノーボードに対する意欲は貪欲で、良いスプレーやジャンプを残すためには、どこまでもハイクアップしていく。アラフィフという年代でありながら、「クリフを飛ばなければスノーボーダーではない」と言うほどICHIROさんはシーズンを通して果敢に攻めるのだ。そんなICHIROさんが、シーズンエンドの時期に向かったのは、最近ウィスラーで有名なアイスケーブ(氷のドーム)だ。なんとそこで夜を過ごし、仲間と共にスノーボード・セッションした。

http://greenlab.jp.net/

文:中山一郎(グリーンラボスノーボード)

この冬は、どんな写真残したいかな?
シーズン前の妄想劇場。

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パウダーターン、クリフジャンプ、ピローライン、ツリーラン、ポンドスキム、ログ…。
夕日に朝日 光と影 夜の撮影 じゃあ雪洞キャンプしないとな。  
うーん、やっぱり一発氷河でやりたい!

数年前のデッカーグレーシャー(氷河)とのコラボが忘れられなくて、
今シーズンの一つの遊びにグレーシャーとの共演をしようと考えました。

11月の25日のオープンから、あっという間に過ぎ去っていく雪の時間。
そして、5月23日ブラッコム、シーズン最終日。

久々の晴れと、最終日に浮かれたスノーボーダー、スキーヤーを脇目に
僕らは、ブラックコム・マウンテンのサイド・カントリーへの入り口、スパンキーズ・ラダーの入り口で立ち往生していました。

「今日、スパンキーズ、クローズしてるじゃん。最近、開いたようだったのに!」
「てか、先週狙った時と状況一緒じゃんかあ〜」

実は、今回で2回目のトライ。なんで、ただじゃぁ転ばない!  
ここで万が一の為に事前に聞いといた、昔ウィスラー・ブラッコムでパトロールをしてた友達に確認した時の言葉を思い出す。

前回と同じでロープが一本張ってあって、クローズのサイン。
ここからはゲレンデ管轄外、行きたければ自己責任。
バックカントリーギアに不備はなし。
普段スパンキーズはゲレンデ内扱いなので、それも踏まえ、検討した上で入って行きました。

目的のグレーシャーには、トラバースをして滑っていけるイメージをしてました。
しかし、トラバースして着いた先がいまいち見えなくて、不安になり、結局後戻りして、確実なルート選択でハイクでアプローチしました。
ここでも勉強。「よく見てる場所でも、事前調査は念には念を」でした。

遠回りしてから歩くこと15分。「うぇい!到着〜」
…って思ったら先客あり!!
どうやら、自分達の姿を見て、装備なしで着いてきたアジア系の方達でした。
先客たちは、記念写真を済ますと「御機嫌よう〜」と言って満足気に下山して行きました。

「ウェイウェイ始まったあ、プライベートゲット!」
自然をリスペクトしながら友達と自由に過ごす時間、最高です🎶

とりあえず空も曇っていたので、氷の洞窟に入ってチルモード。
今回のグレーシャーは、アイスケイブと呼ばれる氷の洞窟。
中は氷の洞窟というより、氷のドーム。
天井は、入り口寄り一番高い場所で推測5メートルぐらい。
幅は広いところでゆうに10メートル以上で、奥はかなり低く狭くなっていました。
しかも!!
真ん中には、雪で作ったベンチテーブルがセットアップ!
素敵な旅人が残してくれた作品でした。
おげで、いい感じにとりあえず乾杯!!
まるでドームは巨大冷凍庫。
ビールが空になる頃には、体の芯まで一旦冷やされる飲みごたえでした。
テント張ってワクワク心踊っていたら、外の雲も晴れてきたみたい。

無意識に板を持って登り始めてゆっくり30分。
山と山の間から夕日が伸びてきて、なんかめっちゃいい感じ。
そのまま、なんとも言えないピンク色の中へ滑り込み、最高〜ほっこり〜
今回のクルー、やっくん、しんや和尚もルンルン。
この天気のせい?この年齢のせい?
それもあるけど、この景色と、友達のおかげで今日も至福の時間🎶

アイスケーブに戻った後も気分は上がりっぱなし。
続けて、アイスケーブの入り口の上からのドロップにトライ。
テイクオフするまでその先も見えない、ランディングはピンポイント着地。
さらにヒールサイドで横からのアプローチに難しさが倍増。
バチっとランディングはいけませんでしたが、結果に満足、自分の未熟さにも納得。
春になり、陽が長くなったウィスラーのたそがれタイムを満喫しました。
明日はアイスケイブの入り口でハンドプラントやろう〜🎶

翌日のイメージを高めながら、夜の部へ。
雪のテーブルの上で乾杯して、さきほどのセッションの話をしながらのだんらん。
だけど、ビールは進まない。氷のドームの中はやっぱり寒い!
寒さを身にしみながらのビールしびれました。

そんな中、やっくんがヘッドライトの緑を薄明かりの氷の世界に照らしました。
ウォ〜〜!!ヤバっ!!めっちゃ綺麗!
そこから、自分が青のライト、しんや和尚が赤を照らしての光のイリュージョン!
気づけば夜中の2時まで、大の大人がキャッキャ、キャッキャの写真タイム。
寒さもいつのまにか忘れてしまうぐらい、夢中に時を過ごしました。

眠りは、やっくんのテントと、野郎三人でビッタビタの川の字で寝たおかげで、全くの寒さ知らず。
それと引き換えに、朝起床したらテント内は男たちの熱気でしっとりねっとり〜

テントから顔を出すと、切り詰めた空気と氷の世界まだ続いてる!
良い気分でチルしてからの、今日はハンドプラントセッション。
理想のRをイメージしての作業開始。
三人だと意外に時間がかかったのと、ハイクアップが結構長い。
とりあえずトライして、手直し入れて、トータル5回目で納得。
さらに、やっくんがハンドプラントのハイクアップしてる間に、気持ちが高ぶった多動性の自分は、思いついた次のセクションの作業を開始。

さっきまで使っていた、雪のベンチテーブル手前にキックとアプローチを整備。
やっくんとハンドプラントセッションを見事メイクして、そのまま雪のベンチテーブルセッションへ!

初めての雪のテーブルのお味は、氷のドームの中っていうのと、自分達が使用したおかげでめっちゃ硬く氷のようでした。
アプローチとキックは入念にセットアップしたのに、着地は凍った地面に、氷のコーティングでアスファルトのような硬さ。
さらにランディングしたら、すぐ右側に氷河の塊があってハードでタイトなセクションに。
ランディングに雪をまく作業がちょっと手間に感じて作業せず、ストリート気分を味わいながらのセッション。
転んだらどこも硬いし、ちょっとひっかかっただけでも痛い目に合うだろうな…。
冷静と優しさを忘れずにトライ。
結果、やっくんと満足のハイタッチ!!


氷のドームの中で、雪のベンチテーブルとの奇跡のコラボ!
シーズン前の自分の妄想劇場を超えたオリジナルなリアル。
自分の発想と想像、そして毎回セッションしてくれる友達。
今回も大成功になっちゃいましたラスタ。

気持ちのいいセッションの後、「立つ鳥跡を濁さず」、「来た時よりも美しく」のフレーズを思い出し、氷のドーム内外の最終チェック。
1日遅れのゲレンデ最終日、気持ちよく三人でブラッコムグレーシャーを滑り降り。
そのままアッパービレッジの生ビールへ直行!
みんなの無事と最高の時間に乾杯をして、今回のツアーを閉じました。

自分の遊び場は、ゲレンデ内からサイドカントリー、バックカントリーエリアに及びます。
天気や雪のコンディション、ルート、メンツ、日程、経験。
色々あると思いますが、全ては安全第一!
たとえ目的地がもう少しでも、天気やクルーの状況がよくなかったら勇気ある撤退も大事です。
また次回ってくらいが、楽しい時間の更新の秘訣かもしれません。
ご縁のある方々、是非一緒にセッションしましょう!

いつも心にハートとピース。

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