衝撃レポート!アメリカ人は日本人の9倍のリフト1日券代金を支払う

@Vail
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アメリカのカルフォルニアをベースに世界のスキー場情報などを配信するSnowBrainsが、衝撃レポートを配信。
なんとアメリカ人は、人気スキー場でのリフト1日券で300ドル(およそ45,000円)も支払うのだ。記事では、「アメリカのスキー場のリフト1日券はヨーロッパのスキー場の約4倍」とテーマで伝えた内容なのだが、仮に日本でのスキー場のリフト券を5000円と考えた場合、なんとその差は9倍にもなる!

Why Is Skiing in America So Expensive?(なぜアメリカのスキー場は高いのか?)
https://snowbrains.com/why-is-skiing-in-america-so-expensive/

記事によると、今シーズンのコロラド州ベイル・マウンテの1日券は、300ドルになることを発表。しかし、ヨーロッパのスキー場ではの壁を破っていない。ヨーロッパのリゾートで95ドル以上の料金を設定しているところは一つもないそうだ。

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以下のグラフを見てほしい。左からパークシティ、ベイル、ディアーバレーが軒並み300ドルに達している。ちょうどウインターパークとラークスの間でグラフの線の長さが急に変化していることがわかっていただけるだろう。ウィンターパークはアメリカのコロラドのリゾート地で、ラークスはこの時期、多くの世界中のオリンピック選手たちが練習していることでも知られるスイスの人気スキー場だ。とは言っても1日券の価格は、100ドル以下で、そのラークスから右のグラフ線が短いリゾートはすべてヨーロッパなのである。アメリカと比べると極めて安いことがわかる。

出典:SnowBrains


ベイル・マウンテンがオープンした1962年当時、1日券のリフト券はなんとたったの5ドルだったそうだ。その額は、インフレ率(消費者物価指数:CPI)調整で、現在の額に計算すると2022年にはリフト券は44ドルになると言う。しかし、昨シーズンの実際の価格は239ドルだった。

以下の表では、ベイルの1日券の年ごとの価格変動を表している。2010年から驚異的な伸び率だ。

出典:SnowBrains

それでは、そもそもなぜアメリカでは、こんなにもリフト券が高いのだろうか?その理由をSnowBrainsでは、4つの理由を挙げている。

アメリカのリフト券が高い理由

1)アメリカとヨーロッパのスキー産業の進化の違い

アメリカでのスキーの発展方法はヨーロッパとは異なる。
アメリカでの有名なスキー場、コロラド州やユタ州のパークシティ、カッパーマウンテン、アスペンなどは、ヨーロッパからの移民(アメリカ人)が、鉱山町として交通手段を広めたそうだ。しかし、アメリカで鉱業が不況になると、これらの町のほとんども不況になり、人口は減少。アメリカ西部の鉱山町は、ヨーロッパのスキーリゾートのように夏の観光客を惹きつけることはなかった。
一方、ヨーロッパのアルプス山脈では、癒し効果を求めてアルペン・リゾートへの旅行が盛んだった。ヨーロッパのスキー観光は、夏の観光客が長い年月をかけて冬のアルプスの素晴らしい美しさを発見したことから発展した。
アメリカでは、鉱業の崩壊で鉱山の町がほぼ壊滅状態になっていたが、裕福なアメリカ人が、これらの地域をスキーリゾートにするというアイデアをヨーロッパ旅行から持ち帰ったという。1930年代後半、アメリカ西部で最初のリフトが設置され、アメリカにおけるスキーリゾートのアイデアが始まったのだ。

2) 大手2社によるリゾートの所有権

アメリカのスキーリゾート市場のおよそ50%が、ベイルリゾートとアルテラという2つの大企業によって独占されている。ベイルリゾートは推定市場シェア36.1%、アルテラは15.1%と、米国で最大のパイを握っている。
つまりアメリカではスキー場の所有権が、2社に偏っているため自由な競争市場が生まれていないという。

ちなみにだが、この記事では触れられていなが、ベイルなどはシーズンパス(Epic Pass)は、1日券とはうってかわって1000ドル以下と安価で提供してくれている。1日券を3回買うよりも、シーズンパスを買う方が安いのだ。それはまるで「我々のグループに入れば安くスキー、スノーボードが楽しめるよ」というメッセージが聞こえて来るかのようだ。つまり、スキー、スノボ客をこの巨大企業が抱え込もうとしているのだ。アマゾン、ネットフレックスなどサブスクビジネス、安くても定期的な永遠の報酬を望んでいるのではないだろうか。

3)国際的なリゾートの代替欠如

アメリカのリゾートはあまり国際的な競争にさらされていない。ヨーロッパでは、アルプスの国々や個々のリゾートが、ドイツ、イギリス、オランダ、ベルギーといったヨーロッパの近隣諸国や、ロシアや中国と言ったさらに遠くの国々からの国際的なスキー客をめぐって競争している。一方、インバウンド市場はアメリカのリゾートにとって取るに足らないもので、外国人スキーヤーのわずか6%しかアメリカを訪れていない。
アウトバウンドでは、カナダだけが大きなスキーヤーの流れを引き寄せているそうだ。
アメリカは人口が多いにも関わらず、アメリカからカナダへのスキー客の流れは、スキーの流れにおけるアウトバウンドの旅行方向としては第10位でしかない。例えばドイツのスキー人口は約2,500万人で、そのうち1,400万人が1年間にアクティブなスキーヤーである。この数字は、約2500万人のスキーヤーがいて、その内アクティブな参加者は約1000万人であるアメリカとよく比較される。ドイツ人の約59%はスキー休暇をドイツで過ごすが、残りの41%はオーストリア、スイス、フランス、スカンジナビアに旅行する。つまり、600万人近いドイツ人が主にヨーロッパのリゾートに旅行することになる。これはアメリカのアクティブなスキーヤーの半分以上であり、ヨーロッパのリゾートにとって競争圧力を生み出す重要な数字である。アメリカにはこのような国際競争がまったくない。東海岸のスキーヤーが、バンクーバーまで6時間、ヨーロッパまで7時間のフライトで簡単に行けるのに、西海岸まで4時間以上のフライトで行くのが普通であることを考えると、これは驚くべきことである。

4)アメリカとヨーロッパの賠償保険の違い

スキー、スノーボードは危険を伴うスポーツであり、スキー場は訴訟をカバーするために賠償責任保険に加入する必要がある。
1979年にコロラド州で初めて導入されたスキー安全法は、他州のモデルとなった。企業賠償責任保険は、スキーリゾートがこの進化する法的枠組みをナビゲートするために不可欠なツールとなり、アメリカの賠償責任保険が1980年代に600%増加する原因となった。
今日、アメリカのスキーリゾートにおける企業賠償責任保険は、多面的なシステムに発展している。リゾートは通常、リゾートの敷地内での事故や怪我をカバーする一般賠償責任保険と、スキー業界に特化した保険を組み合わせて加入している。これらの保険は、ゲレンデでの衝突事故やスキーリフトに関連した怪我など、スキーやスノーボード特有のリスクに対応するよう調整されている。このような多数の保険のコストは、直接消費者に転嫁されてしまう。
ヨーロッパでは通常、スキーヤーは自分で賠償責任保険に加入し、民間または公的医療保険に加入しているため、医療費を回収するために訴訟を起こす必要はない。加えて、不慮の死に対して何百万ドルもの賠償金を求める訴訟文化は、ヨーロッパではまったく知られていない。そのため、ヨーロッパのリゾートの賠償責任保険料は、アメリカのリゾートに比べてはるかに安いのだ。

SnowBrainsのレポート記事では、さらに詳細なことを伝えてくれるが、以上がアメリカのスキー場のリフト券が高い理由である。かなり詳しいレポートで「参考になった」「勉強になった」と思う人も多いだろう。
冒頭でも紹介した通り、そもそもこのレポートは、アメリカのリフト券がヨーロッパよりもずっと高い。その額は4倍にもなる!というものだが、日本と比較した場合、さらにもっと高い比率になってしまうのだ。我々は、「1日券が高くなったなあ」とボヤくが、アメリカに比べれば、まだまだずっとと安い。

私が初めてワーホリでカナダのウィスラーに来たのは、1990-1991シーズンだった。あの頃は、日本でもまだバブルの最終章時期で、ゴンドラ前の広場には多くの日本人スキーヤーたちでごった返していた。ネオンカラーのウエアに纏った様々なツアーガイドさんが、これまたカラフルなウェアに身を包んだスキー客を前に大きな声を掛けながらガイドしていたことを思い出す。そう言えば、あの頃、どこかのツアー会社では、パーティでの抽選商品に現地イケメン金髪のカナダ人ガイドさんのキスというご褒美もあったっけ(笑)。あの時代が懐かしいが…、30年以上経った今では、逆転現象。おそらくこの冬、多くの外国人スキー、スノボ客が日本のリゾートで大いに盛り上がっていることだろう。彼らは日本のスキー場の安さに痺れているのだ。

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