アメリカのスキーリゾートが22-23シーズン過去最大!総額8億1240万ドルのインフラ投資だったことが判明!

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興味深いニュースが、Snowboarder Magazineなどからアップされているので、ご紹介しよう。
記事によると、The National Ski Resort Association(アメリカ・スキーリゾート協会)の報告で、アメリカのスキーリゾートが22-23シーズン過去最大となる総額8億1240万ドル(※日本円で1兆円以上!!!)のインフラ投資だったことが判明したというのだ。

https://www.snowboarder.com/trending-news/the-ski-resort-industry-spent-more-on-infrastructure-than-ever-before-in-22-23

「2022-23年シーズンのスキー場の設備投資は目覚ましく、前例のない総額8億1240万ドルに達した。特筆すべきは、リフトインフラへの資金が急増したことで、全国で63基の新規リフトの設置と86基の既存リフトのアップグレードが行われた。スキー場は現在、スキーヤー一人当たりの平均来場者数を26ドル近く運営に充てており、以前の3シーズン平均の15ドルに比べて大幅に増加している。スキーヤー全体の来場者数が増加していることを考えると、この増加は特に注目に値する。」

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記者は、普段カナダのウィスラー(※北米最大スキー場)でスノーボードをしているが、確かに2022-23も大きなアップグレードがあった。
それはウィスラーでも人気のリフトの1つビッグレッドエクスプレスが4人乗りから6人乗りになったことだ。そしてクリークサイドのゴンドラもアップグレードされ、より速くそして多くのスキーヤーを運べることができることになった。
これによりクリークサイドからのアクセスが格段に上がったと言われている。ちなみに恥ずかしい話だが、私はこの新しいゴンドラに一度しか乗っていない(笑)。昨シーズンも132日間もウィスラー、ブラッコムにも上がったにも関わらずだ。なぜなら記者は、クリークサイドに降りる用事がなく、クリークサイド側を滑るコースも、コンディションが悪いと聞いていたからである。
バンクーバーからウィスラーに上がって来るスキー客にとっては、わざわざウィスラービレッジまで運転せずにその手前のクリークサイドから上がれることは魅力的で、そうした恩恵はあっただろうけど、記者にとってはトゥマッチなアップグレードだったのである。

(新しくなったウィスラーのクリークサイドのゴンドラ。こうしてスキー客の少ない姿を拝見すると、アップグレードする意味ってあったのかな?と疑問に思ってしまうけど、たまたま撮影した時間が暇だったのかな)

またウィスラーでは、この夏、ビレッジから上がれるリフト、フィッツマンズを現在の4人乗りから6人乗りにアップグレードする工事を行っている。これにより、ビレッジからのアクセスが緩和されるようなことも言われているが、こちらの方はどちらかと言えば夏のMTB用のアップグレードの意味合いが大きいようだ。今年の夏は、工事のため使用できないが、来夏からMTB愛好家は利用できるようになる。例年、夏のビレッジのアクセスは観光客とMTBでごった返すので、このフィッツマンズ・チェアのアップグレードで緩和できる方向になるだろう。

(ウィスラーのクローズ前日には始まっていたフィッツマンズのアップグレード工事の様子。来るべきシーズンには、6人乗りリフトが完成される)

ウィスラーのゴンドラ、リフトのアップグレードを振り返ると、最も大きなものでウィスラー、ブラッコム間のピーク・トゥ・ピークのゴンドラ建設、その他にもシンフォニーチェアの建設など、今のウィスラーのビジネスを支えるレガシー工事があった。しかし、必ずしも大成功と呼べないようなものも個人的にはあったと思う。例えば、ウィスラーで最も人が集まると言われているエメラルドチェアは4人乗りから6人乗りにアップグレードされたけど、安全バーが両足の間に降りるため、スノーボーダーには苦しい設計だった。実際、私の友人は夏にヒザを怪我していたこともあり、この強引な安全バーのお陰でヒザを捻ったとかでしばらく滑れなくなったしまった。またこの初心者が集まりやすいリフトでは、リフト係が頑張って6人きっちり乗せようと努力してしまうので、しばしそこにうまく乗れなかったスキーヤー、スノーボーダーが転倒してしまう。結局、そうなるとリフトが止まってしまって返って遅くなるので、アップグレードが果たして良いものだったのかどうか、とも思ってしまう。

(2009年に完成したウィスラー、ブラッコム間のピークトゥピークのアイデアを最初に聞いた時、まさか!ナンセンス!なんて思っていたけど、今となってはとても便利でウィスラーの最高のインフラ投資だったように思う)

ともかく、ウィスラーでは近年、毎年のようにどこかのリフトやゴンドラが新しくなっており、こうした費用は間違いなくリフト券に反映して来る。結果、一日券は200ドルに達してしまうのだが、このような状況はウィスラーに限らず他の北米でも起こっている。
それでもスキー、スノボ客足が途絶えることはなさそうだし、あいかわらず多くのスキー客で賑わっている。
これまでにも私が何度か伝えて来たことであるが、欧米の富裕層などは現在のスキー場の一日券の値段の高さはあまり関係なく、スキー場で得られる経験の方がよっぽど大事だと考えているようだ。だから、毎年のようにスキー、スノーボードを家族で楽しみたくさんのお金を落としていく。もちろん、北米にも昔ながらの安いリフト券を懐かしむ声もあるのは確かだ。「かつてウィスラーの1日券は60ドルだったのでに、今の高さには呆れるとか…。スキー場の食事は高過ぎるとか、無料の駐車場がなくなってしまった…」など。
しかし、こうした声は空しく響くだけで、スキー場のオーナーはどんどん富裕層が楽しめるスキー場作りのため励んでいるようだ。そして、オーナーはどこかのタイミングでより価値を高めたスキー場を、さらに高く誰かに引き渡すマネーゲームになっているのかもしれない。

(コロナも収束し、レストハウスは毎日大盛況だったウィスラー。毎日ランチの際のテーブル探しが大変でした)

日本でも今年3月に発表された星野リゾートのアルツ磐梯・猫魔スキー場をつなぐ連結リフトが建設は大きな話題となったが、今後はより便利になっていくスキー場のリフト券の価格アップにつながって来そうな感じがする。
ただ幸い、日本だけはなく世界にも言えることだけど、早めにシーズンパスなどの早割パスを購入することにより、比較的に安価でスノーボードが楽しめるのも事実だ。スキー、スノーボード愛好者は、もうシーズンに何度も足を運びたくなる早割パスで、この高騰するリフト券時代を乗り越えて行くのが良さそうだ。将来的には、雪山の近くでインターネットを使ったビジネスを行うことが理想のライフワークかもしれない。ちなみにウィスラーには、そういう人たちがたくさん住んでいるよ。

(雪が降ると、とんでもなく大混雑していたウィスラー。このスキー場ビジネスの勢いは、まだまだ続きそうだ)


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