こんにちは!スノーボード初心者のみなさんにとって、ゲレンデマナーはひじょうに重要です。ゲレンデマナーとは、スキーやスノーボードを楽しむ人々が安全に、そして協力的に共有するためのルールやマナーのことです。
20年以上にも渡り世界のスノーボーダーたちをレッスンして来た私が、スノーボード初心者が絶対に知っておくべきゲレンデマナーを紹介します。
初心者に限らず、すでにスノーボードのターンやジャンプを楽しんでいる方も改めて、確認してほしい安全事項です。
スノーボード中に起こる事故は、一瞬の出来事です。残念ながらその瞬間、人生が変わってしまうこともあります。最悪の事態としては死亡事故にもつながるので、この機会にぜひ私がこれから伝えるアドバイスを参考にしていただければ、と思います。
目次
ゲレンデの起伏の下部には絶対に座らないで!
初心者の方だと、どうしてもうまく立ったり滑れなくてゲレンデに座ってしまいます。それは仕方ないことだけど、スキー場のコースには起伏があって、向こう側が見えないところもあります。そんな起伏の下部に座ってしまったら、上から滑って来る人に気づかれないで、ぶつけられる可能性が高まるので、気を付けてください。単に立って止まっているだけでも危ないのですが、特に座られると上から滑っている人から見え難くなります。スーパー最悪のケース、スキー、スノボ板が座っているスノーボーダーの頭に突っ込んで来ることだってあるのです。
転んだりしてしまった時でも、もしその場所が起伏の下部のようなところだったら、すみやかに逃げること。どんなことをしてもいいから、その危険な場所から立ち去るようにしてみてください。お尻で滑り降りたり、すぐにビンディングを外してその場所から離れるなりして。
また、そうした起伏の場所ほど、フリースタイラーにとってはご馳走だったりします。つまり、オーリーやバタートリックなどやりやすい場所なのです。そんなトリックをやった時、「まさかそこに初心者が座っていたなんて!」本当、想像するだけでも危険ですよね。気を付けましょう。
ゲレンデ優先は原則的には先に滑っている人
先ほどの例では、見えない場所に初心者が座っているのがいけない。というようなことを伝えましたが、基本的にゲレンデの優先は原則的に先にいる人、そして滑っている人になります。狭い迂回コースを両サイドおもいっきり使うボーゲンのスキーヤーがいたとしても、抜かす方はうまく避けて抜かさないといけません。また、抜かす方法にしても、相手を怖がらすような抜かし方はダメです。できるだけスペースを空けて、あるいはスピードを低速にするなり、または「右から抜かします」など、声を掛けながら抜かすようにしましょう。
また、偶然にも自分の並列するように滑ってしまう人が現れた時には、相手に譲る気持ちで先に滑らせるようにするといいでしょう。無理に先へ行こうとすると、スピードが合って逆に危険な衝突事故につながることがあります。
木の葉落としは後方を確認しましょう
初心者は、木の葉落としと言って、カカト側にジグザグ滑るようなことをやります。その時、必ず後方を確認するようにしましょう。
また木の葉落としに限らず、ヒールサイドで滑る時には、後方から滑って来る人が確認し難いので、特に混雑している時には気を付けてください。混んでいる時には、カカト側で斜滑降している時には、後方をちらちら確認すると良いでしょう。
カカト側の滑りでは、斜面を横切るように滑るケースが多いけど、目線だけは正面しか見ていないケースが多いので気を付けてください。
スキー場での怪我数ナンバー1は衝突事故
スキー場で最も多い怪我の種類は何だと思いますか?
「逆エッジで頭を打った」「止まれずに障害物(木など)にぶつかった」「キッカーで脚を捻った」とか、など考えられるかと思いますが、実を言うと最も多い怪我のデータは衝突事故です。これはスキー場によって変わって来るかもしれませんが、北米最大ナンバー1のスキー場して知られるカナダのウィスラーにはそのような事故データがあります。
だから、安全に滑るためには、「まず衝突事故を起こさない」という心構えが必要です。
例えば、大きなスキー場の場合、みんなが下山して集中するようなコースが必ずあるものです。山がクローズするのが3時だとしたら、2時半くらいから凄く混んだりします。だから、ウィスラーのようなところでは、滑らずに帰ることも提案しています。つまり、ゴンドラで降りることを提唱しているのです。
また混んでいるようなエリアでは、深回りをしないように気を付けてください。
最近はスキーヤーの方もコース幅をいっぱいに使うようなカービングで深回りを楽しんでいるような方がいますが、混んでいる時にはひじょうに危険です。状況を考え滑り方法を選択することが大切です。うまい人なら減速したショートターンをしたり、初心者ならあまり幅を使わないように木の葉落としをしたりするなどしましょう。
衝突事故は、最悪のケースでは死に至ることもあるので、本当に気を付けてください。
死なないまでも、人生を台無しにするような大怪我をするケースもあります。
以下の記事、スキーヤーとスノーボーダー衝突事故の原因と回避させる方法も参考に!
https://dmksnowboard.com/skier-snowboarder/
うまい人に連れられて上級者コースには行ってはダメ
私が普段スノーボードを教えているカナダのウィスラーでは、昨シーズン悲しいニュースがありました。それは、初心者スキーヤーがシンフォニーという中級者レベル以上の方が行くようなコースに、友人が連れて行ってしまい、初心者の方はスピードを制御できずに木に突っ込んで死亡してしまったのです。
よく、自分よりもうまいお友達が、とんでもない急斜面に連れて行ってしまい、「参ったよ」と笑いながら話すような人がいます。おそらく多くの方は、「良い経験だった」とか、笑い話で済ますのですが、一方でこのようなことで大きな怪我に巻き込まれているようなケースもあるのです。
そのことを充分に理解し、うまい人はむやみに友達を難しいコースに連れていかないようにしましょう。
また初心者の方も決して無理に難しいコースに行かないこと。
いっしょに行く友達がうまい場合には、お金をケチらずに、必ずスノーボードスクールでレッスンを受けましょう。そこでは、自分だけではなく同じレベルのまったくスノボできない人が集まっています。みんなで切磋琢磨しながら上達に励んでいます。そんなところで、新しい仲間に出会えたり、あるいは運命の人に会えるかも!?
初心者の方は、スクールに入って安全にスノボを上達することをおすすめします!
ヘルメットをかぶる大切さを知って!
最後に大事なことをお伝えします。これからスノーボードをする人は、必ずヘルメットをかぶりましょう。
大人も子供も関係ありません。誰もがヘルメットをするべきです。
うまい人も初心者も関係ありません。レベルに関係なく、誰もがヘルメットをかぶりましょう。
欧米諸国では、ほぼ100パーセントに近いスキーヤー、スノーボーダーがヘルメットをかぶっています。日本のように未だにヘルメットをかぶっていないというのは、もはや異常な風景と言えるでしょう。
ヘルメットは逆エッジなど突然の転倒から頭を守り、すなわちあなたの命を守ります!
また万が一、衝突事故に遭った場合、相手のスキーやスノーボードの板が頭に当たるような状況でもあなたの頭部を守ります。
コース外に出て岩のところに頭を打つような際にも、守ってくれますよ。
ヘルメットをすることで、頭を温かくする役目もあります。
また、ビーニーのように転んだ時に吹っ飛ぶこともありません。
こんな良いこと尽くめのヘルメットをかぶらない手はないです。
●関連記事
【コラム】カナダ人がヘルメットをかぶる理由
https://dmksnowboard.com/why-canadians-wear-a-helmet/
以上お伝えした、これらのゲレンデマナーを守り気を付けることで、スノーボードを楽しく安全に滑ることができます。初めてのスノーボード体験がより安全で楽しいものになるよう、ぜひマナーを守って滑ってくださいね!
また、スノボのベテランさんもぜひ正しいマナーを初心者ボーダーさんに教えてあげてください。
飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴38シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ、ウェブ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。