スノーボードに限らず横乗りスポーツであるサーフィン、スケートボードにも共通しているかと思いますが、この3Sは他のスポーツとは一線を越えた一種独特の味わいがあります。この世界に入った者とすれば、何事にも代えられない快感があります。
だけど、他のスポーツ以上に怪我のリスクもあり、他のスポーツ以上に若い世代が行うスポーツという認識があるのも事実です。
私は、38シーズンにも渡りスノーボードを愛好して来ましたが、確かにこれまでスキー場で出会った人たちの話を聞くと、スノーボードはフィジカル面と怪我の懸念から、やや特別なスポーツな印象もあります。
しかし、私自身はスノーボードで大きな怪我をしたことがありません。以前、ゲレンデでギックリ腰になり、あの時は参ったけど、それでも滑って降りて来ました。正直、翌日に絶対に滑れないほど大きな怪我をしたことがないのです。
これは運が良かったこともありますが、もう1つ自分なりの指標があるので、それを今回はみなさんに伝えていこうと思います。特に54歳になった今シーズンに、これから伝える考えが固まって来ました。みなさんが、週末にスノーボードするのにあたり、ぜひ参考にしてほしいことです。
それは、スノーボードで新しい滑りやトリックを行う時に考えてほしいこと。
①フィジカル
②メンタル
③雪コンディション
以上のジャッジメントを行いスコアを出し、さて、あなたがこれから行う挑戦をすべきかどうか、という話になります。
若い人はあまり気にすることはないと思いますが、怪我が怖い社会人の方、あるいは最近、歳を取ったことでスノーボードでの危険性を感じている方などはぜひ参考にしてみてください。
自分自身に問いかけてみよう!①フィジカル ②メンタル ③雪コンディション
フィジカル=身体の調子はいいですか?
寝不足で疲れを感じていませんか?
デスクワークで腰が痛くないですか?
そんな方は、新しいトリックに挑戦しないと方がいいですよ。
スノーボードはチャレンジしないことには楽しみが訪れないものですが、一度怪我をしてしまえば、それがトラウマとなり、一生の障害になることもあります。中には、スノーボードすることが怖くなり2度と雪上に戻らない方もいます。だから、無理は禁物です。
逆に睡眠もたっぷりして、日ごろのトレーニング成果もあり、コンディションが上々という方は、新しい滑りやトリックに挑戦するチャンスです。
まずは、あなたのフィジカル面が、良いのかどうか、あるいは普通なのか、考えてみてください。
メンタルは調子いいですか?
次にメンタルの調子はどうでしょうか?
身体の調子が良ければメンタルも調子よくなるものですが、必ずしもそうとは限りません。何かプライベートでゴタゴタがあったり、あるいは道中のトリップで何かしたらトラブルで問題が発生し、精神面でイライラしていたり、あるいはクヨクヨしているかもしれませんね。そんな精神が不安定な時も無理して新しいことに挑戦しない方がいいでしょう。
自分ができるいつもの滑りで、楽しむ気分を味わいまでしょう。そして、精神的な痛みを徐々に解消していくようにしましょう。
客観的に、自分のメンタルをカラーで表すといいと思います。例えば以下のように。
メンタルをカラーで表そう!
青:ブルースカイ、幸せ、高揚感あり。
緑:平和、自然体
黄色:ちょっと心配
赤:落ち込んでいる
さて、雪上にいるあなたの気分は、何色ですか?
もし、青か緑だったら、新しいトリックに挑戦してもいいと思いますよ。
だけど、黄色か赤だったら、止めておきましょう。そもそも赤だったら、スノーボードしていても気持ちがなかなか晴れていない状況かもしれませんね。
ともかく、自分の気持ちを「今一度」聞き直してみて、今日が新しいスノボ・トリックに挑戦できるような日がどうか、訪ねてみてください。
雪のコンディションはいいですか?
雪のコンディションは、どうでしょうか?
固いアイスバーンの時には無理は禁物です。あまり新しいトリックをすることを考えずに、おとなしくクルージングしておきましょう。
逆にちょいパウダーだったり、最高の圧雪バーンがある時には、憧れていたグラトリなどをやってもいいかもしれませんね。パークの雪質が良ければ新しいトリックをしてもいいかもしれません。
しっかりとウォーミングアップランを行い、体調面、精神面での良コンディションを感じれたら、ぜひ新しいスノーボーディングに挑戦してみましょう。あなたがこれまであまりできなかったことにトライするチャンスです。
5段間評価してみてすべてが4以上なら新しい挑戦を!
普段の忙しい生活の中、常に毎週スノーボードに行けるわけではないと思います。また金銭面でも頻繁に行けない状況もあるでしょう。
だからと言って、無理して新しいことに挑戦して怪我をしてしまっては、元も子もありません。
そもそも楽しさを求めてスノーボードに行ったのに、辛い思いをして帰りたくないですよね。
だからこそ!今一度、①フィジカル、②メンタル、③雪コンディションを改めて評価してみましょう。
先ほど、メンタルのところで「自分の気持ちをカラーで表そう」とアドバイスしましたが、3項目を単純に5段階評価でも良いか、と思います。
そして、すべての項目が4以上のスコアだったら、新しい挑戦してみてはどうででしょうか?
以上のルールを徹底的に追行すれば、怪我をする確率を減らせると思います。
残りシーズン、楽しいスノーボーディングするためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴38シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ、ウェブ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!2020年から英語版ハウツーサイトSNOWBOARDTIPS.NETを開設。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』 、
『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。