毎日のスノーボードにパウダーボードを選ぶとどうなるか?

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結局のところ昨シーズンのDAY1から今季の今日に至るまでの間、パウダーボード1本でスノーボードして来ました。
おそらく、この板と共にもう150日間ほど滑って来たでしょう。

よくスノーボードの好きな人は、雪質のコンディションに合わせてボードを選択したりします。
パウダーの日には、パウダーボード用に乗ったり、新雪が望めないような日は、カービングを楽しむためのトーションが固めのディレクショナルボードを使用したり、パークを楽しむためのパークボードだったり等。それは、まるでゴルフをする人がドライバー、アイアン、パットなど状況に合わせたクラブを選択する作業のようでもあります。

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でも、僕はいちいちボードを変えることが面倒だし、一日の雪山のコンディションでもパウダーから圧雪、パークまで遊んだりすることもあるので、これまではキャンバー形状のオールラウンド系のボードを選んで来ました。
例えば、バートンのカスタム(Men’s Burton Custom Camber)のような板です。

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実際にカスタムを使えば、ほぼシーズンの80パーセントの新雪でないコンディションで威力を発揮してくれます。
時々行くパークも楽しめるし、運が良いと滑れるパウダーも問題なし。
グラトリには、やや硬い板かもしれませんが、僕がやるような初歩的なグラトリなら十分に応えてくれます。

ところが、昨シーズンはたまたま機会があり、エンデバーのパウダー用の板、スカウトを乗ることになりました。
ご存じかもしれませんが、自分はEndeavor Snowboardsの代理店業務を行っているので、その関係もありエンデバーに乗るようになりました。バンクーバーのオフィスで「何か今季、自分用に乗れる板ないかな?」と聞いたら、その時、自分の身長に合うような板がスカウトの152cmしかなかったのです。

「毎日のスノーボードにパウダー用ボードって、どうだろう…?」とも思いましが、「まあ、大丈夫だろう」という楽観的に思い、その板を使うことになりました。

よくパウダーボード系の板は、パウダーだけではなくカービングも楽しい!という説明があったりするけど、このスカウトもそのような部類です。
ホーバーキャンバーと言って、ノーズはシャベルのように上がっていて、パウダーに乗りやすい板なのですが、ビンディングとビンディングの間はしっかりとキャンバー形状になっているのです。
またテイパーシェイプと言って、よくパウダーボードにありがちなトップの部分の方が広く、テールが狭くなっています。それがツリーでの細かい操作性能もサポートしてくれます。

そして、エンデバー全部の板に言えることなのですは、サイドウォールはスムースライドと言って、スケートのウィールのような素材でできています。それがボードを囲うように360度付いていることにより、ライディング中の衝撃を吸収してくれるのです。結果、パウダー用の比較的に柔らかめのフレックスの板ながら、多少の凸凹も安定して滑れるようになっています。だから、カービングターンも気持ちよくできます!

宮本武蔵は、五輪書の中で兵法の武具の長所を説明をしているのですが、その中の言葉に「過剰であることは不足していることと同義である」と伝えています。太刀は、どんな場所でもだいたい有利。長刀は戦場では槍に劣るところがある。弓は平地で有利だが、城攻めには向いていないなど、なかなか細かく武具の長所や短所を述べていて、「武具選びは人真似をせず自分に合ったものを使え」ともアドバイスしているのです。

これをスノーボードに置き換えてみれば、最近ではグラトリが流行して初心者のような方でもグラトリをやろうとして柔らかい板を選ぶ傾向があるようです。だけど、果たして本当にグラトリが自分に合ったものでしょうか?もっと感覚的にターンの気持ち良さを知れるパウダーライディングの方が良いのでは?あるいは、サイドヒッツのジャンプなど楽しめるように、エッジグリップが高い板の方が良いのではないでしょうか?

スカウトという板は、元々パウダーを得意とするために作られた板だけど、普段のカービング、サイドヒッツ・ジャンプにも対応します。トップよりもテールが短いので、厳密に言えばスイッチが苦手な板という部類で、パーク系の板でもありません。しかし、ベーシックなパーク遊び、グラトリも可能。そして何より、いざパウダーコンディションになった時、ホーバーキャンバーと広めの接雪面により浮力が高いのがありがたい!
スノーボードをしていると、自分が思っていた以上に新雪が降ることがありますが、そんな日でも安心してサポートしてくれるような板。宮本武蔵が伝える「太刀は、どんな場所でもだいたい有利」ということと似ているのかな、と思います。

エンデバーにはスカウトの兄貴分的な板で、スワローテールのアーキタイプというモデルがあります。そこまで行くと、自分には過剰過ぎるパウダーボードにも見えるので、やや抵抗感があります。しかし、ライダーの賢吾とかRYOは、この過剰な部分を好んでいるようで、愛用ボードとしています。

結論。「毎日のスノーボードにパウダーボードを選ぶとどうなるか?」
それは僕にとって一番最適なボードを見つけることになりました。

以下の画像は、今季、僕がこれから使用する予定のScout Legacyです。
ここまで紹介して来たスカウト(※今季のION COLLECTIONシリーズに各当)のさらにバージョンアップモデルで、トップシートに軽くてボードを長持ちさせるPhononというものを採用したモデルになります。
これまで使って来たスカウトと違って、よりポップ力も増しているようなので楽しみ!

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は37年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard


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