横乗りのスノーボーダーにとって、腰痛に苦しむ方は少なくないと思います。実際、僕の周りでも腰痛に苦しむ方もいるし、僕も同じく。過去にはギックリ腰の経験もあり、近年、腰痛に悩まされていました。酷い時には、歩く時にも引っかかるような痛みもありました。毎朝、ゲレンデに向かう度に「今日もレッスン乗り切れるかな?」と不安になったことも。
だけど、今季はかなり調子いい!
というのも理学療法士の秋山亨(あきやま・とおる)先生オススメのストレッチングを実践しているからです。
秋山先生は、未来のスノーボード界を担うジュニア選手のコンディショニングを担当もするその道のエキスパート。
早速、僕が実践して効果を出しているストレッチングを紹介しましょう!
ここで紹介するストレッチングは、実際に秋山先生がクリニックで紹介しているストレッチングです。秋山先生には、正しいストレッチングを紹介するために、モデルもやっていただきました。
ぜひ参考にしてみてください!
腰痛を防ぐには、腰の上下に位置する股関節の柔軟性を高めること。また、胸椎の動きを出すことで腰への負担軽減になります。
ここで紹介する7種類のストレッチングを、それぞれ30秒以上時間をかけるようにして行いましょう!
目次
1 両膝抱えで股関節の後ろを伸ばしすストレッチング
この両膝を抱えて行うストレッチング、一番好きかも!
ストレッチングは、身体が温まっていないような状況では、筋を伸ばして痛めるなんてことも聞いたことがあるけど、これは気軽にできるものでしょう。僕は毎朝ゲレンデに行く前にやっています。
ゴロゴロさせることで、より股関節から背中にかけて良いストレッチングができるでしょう。
さらに以下の写真の状況から、頭を抱えてヒザの方に引き寄せると、首から腰にかけてストレッチングされ、気持ちよーくなります。
腰を反らすと痛い方は、ぜひこの腰を丸めるストレッチを中心に行なって下さい。
2 大臀筋・中臀筋のストレッチング
この手のヒップ周りの大臀筋・中臀筋のストレッチングって大好き!
朝、イントラのミーティングの最中にも行います。するとイントラ仲間から、「フサキって身体柔らかいね。」と言われるけど、それはこの手のストレッチング毎日やっているから!
大臀筋・中臀筋のストレッチングには、このような座った状態だけのものだけではなく、様々あるのでぜひ試してみてください。
僕にとっては、腰痛にならないデポジット(貯金)しているような気分のストレッチングでもあります。
3 大腿四頭筋ストレッチ
大腿四頭筋は、スノーボーダーにとって最も使う筋肉ではないでしょうか。
屈伸運動では欠かせない筋肉で、スノーボード終了時には、この筋肉が張っているように感じます。特に後足(注:レギュラースタンスの自分にとっては右足)の大腿四頭筋を使うので、まずスノーボードから帰ってお風呂から上がった後、最初に行うストレッチングになっています。
入念にやっておきたいストレッチ箇所でしょう。
以下の写真で紹介するように横向きでもOKだし、立った状態でもできますね。
4 ハムストリングスのストレッチ
太もも裏に付着するハムストリングスも、最も重点的にストレッチングしています。
というのも、ハムストリングスが固くなると、腰への負担も強くなり、腰痛の原因になっているように思うからです。
ここで紹介する椅子に座ったような状態でも気軽にできます。これなら、オフィスでもできそうですね。
また、地べたにドカーンと座った状態で定番のストレッチでもいいし、さらに寝っ転がって、つま先にタオルを引っかけて、ふくらはぎからハムストリングスのストレッチングもよくやります。
あとは娘の機嫌が良い時に、寝そべった状態でのハムストリングスのストレッチングを手伝ってもらうことも。ストレッチする脚をゆっくりと押していってもらうのです。
タオルを使用してのストレッチングもそうだけど、人の助けを借りると、さらに自分だけではできなかったところまでストレッチング感を感じることができます。
5 開脚ストレッチング
この開脚ストレッチングも、やった後には「効いた~。」という気分になります。
足の付け根から、脚の内側、さらに先ほど紹介したハムストリングスも伸ばすことができます。
行っている時には、キツい感じもしますが、なるべく気持ちいいな、というところまで開脚して前屈するような格好をしていきましょう。
ただ、この開脚ストレッチング、いきなり行うとピキピキって感じで、電撃が走るような痛みを感じる可能性があるので、片方ずつやったりして、徐々に開脚ストレッチングにもっていく形がいいでしょう。
この開脚ストレッチングを行うために、より負担が少ないと感じるストレッチングを前菜に持ってきて、これぞメインディッシュ開脚!という感じで行うことをオススメします。
さらに、ここから横に身体を倒していき側屈すると、気持ちいいほど脇下から腰にかけて伸ばすことができます。自然にハムストリングのストレッチングもさらに強まるのでオススメ!もちろん人によってできる範囲内でOKなので、写真のように手がつま先まで行かなくても大丈夫。気持ちいいな!というところで止めましょう。
毎日続けることで、身体が柔らかくなり腰への負担が軽減されていることが実感できるでしょう。
6 寝た状態で膝を横に倒す腰ストレッチング
寝た状態から、膝を横に倒すストレッチングは腰痛に効く王道ストレッチングではないでしょうか。特に自分の場合は、右に倒した方が痛みを感じるので、痛みを感じる手前で止めるように気を付けています。
どのストレッチングも気持ちいいのですが、この膝を倒す種類のストレッチングは、個人的には一番効くなあ、という感じです。
ヒザを倒したら10秒以上はそのままの姿勢であることオススメします。そこからゆっくりと深呼吸して、リラックスしましょう。
また、手の位置を上げたり、横に伸ばすことで、より脇から腰にかけてのストレッチング効果も感じることができるでしょう。
個人差があると思うので、気持ち良いところまでに留めておくことをオススメします。
腰痛持ちの僕としては、これぞホームラン!という感じのストレッチングです。
7 スフィンクスのストレッチング
腰痛には、腰を反ると痛いタイプ、前屈で痛いタイプと大きく分類できますが、腰を前屈させると痛い人には、こちらのスフィンクスのように背中を反らせるストレッチングもオススメです。
まずうつ伏せなって。そこから息を吸いながら上体を起こしていきます。この時、個人差で痛さを感じるケースがあるので決して痛みを感じるところまで起こさずに、ゆっくりと反っていくといいでしょう。そう、まるでスフィンクスのようなポーズを作ります。
この姿勢のままゆっくりと息を吐いていき10秒間ほどキープ。
前のストレッチング同様にこちらのスフィンクスも自分にとって一番の特効薬のような気がします。言葉では表現し難いですが、なんかこれが一番効いた~という感じがするのです。
おそらくみなさんも自分にとって特効薬のようなストレッチングがあるのでしょう。
何度も言うようにあくまでも個人差があるもの。自分なりの「効く」ストレッチングを見つけるようにしましょう。
大切なことは続けること。バリエーションも増やし自分流を見つけること。
僕は、ストレッチングのプロでもないし、秋山先生のように専門的な知識を得ている理学療法士ではありません。しかし、今回ご紹介した秋山先生からの提案によるストレッチングによって、だいぶ腰痛が改善されました。
お蔭様で、毎年、起きていたギックリ腰は今季は起こらなかったです。
大切なことは続けることです。
一日ではなんとなくの実感に終わるけど、続けていると本当に良い効果が得られます。
僕はスノーボード日記を書く習慣があるので、ちょうで去年の今頃の日記を読み返したのですが、やはり腰痛が出ていて、気を付けるようにしなといけないというようなことが書かれていました。しかし、今では、今回紹介した7選のものを実践しているお蔭でその心配がなくなりました。
自分なりのメニューを作ってみてください。
できれば4つは決めてほしいです。その時の決め方は、なるべく違う種類のストレッチングを選ぶこと。
それを毎日、朝と夜は必ず!あと日中のオフィスや学校でも、できる限りでいいので行うようにしましょう。僕の場合、パソコンなどのデスクワークしている時は、30分以上同じ体勢で作業したら、軽くストレッチングするようにしています。
あくまでもオーバー・ストレッチングは禁物。筋にあまり負担を掛けないように軽めに行うか、お風呂上りや軽いウォーミングアップ運動をした後など、身体を温めた状態でリラックスできるようにするといいでしょう。
もちろん、今回ご紹介したストレッチング以外にも、たくさんストレッチングはあります。
いろいろ行ってみて、自分なりに良いな、と思うものをやることが大切だと思うし、またできる限りいろいろな種類をやっていくことも大事だと思います。
こうしてストレッチングを探求していけば、ストレッチングすること自体が楽しく感じることでしょう。すると、僕のように楽しみながら自然に腰痛予防のストレッチングができるようになると思います。
まだ、こうしたストレッチング習慣がない方はぜひ試してみてください。
何度も言いますが、続けることで必ず効果が出ます!
飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴34シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWing誌では、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、シーズン中に一回は日本へ帰国しコーチングも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、今なお世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!