文:飯田房貴 Fusaki Iida
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このオリンピックシーズンに入ると、日本人選手の活躍が、各新聞、スポーツ新聞、テレビなどで紹介されるようになります。
昨日も鬼塚雅選手が、ワールドカップで2位に入ったことが各放送局や新聞が紹介してくれて、スノーボーダーのみなさんは嬉しかったのではないでしょうか。
でも、新聞に出ている選手の写真が、イケてなくてガッカリすることってありませんか?
本当かどうかわからないのだけど、ある新聞の記者の方だったかな。ずっと前にスノーボードのオリンピック種目について尋ねられて飲んだことがあり、その時、「写真は、選手の顔が見えていないといけない。」と聞いたような記憶があります。
選手はゴーグルで顔がよく見えないとしても、顔側がある程度写ったものでないと、その選手がどうか判断しかねるということで。
だから、ジャンプ台のリップも見えていないようなアップ目の写真も多いんですね。台の写真がないので、どこまで飛んでいるのかということも伝わっていないような。
スノーボーダーのみなさんからすれば、「ナンセンス!」って思うだろうけど、そう言われてみれば、100%と言わないまでも、そういう写真を使う傾向があるんですよね。
例えば、以下の写真もそうですよね。
彼女のエアーを見れば、もっとカッコいいところで切り取れるのに、思わず「ここかい!」と突っ込みたくなる。
選手からしても、スノーボーダーのみなさんからしても、「こんな写真使うなよ!」と思わず叫びたくなるのではないでしょうか。
何がカッコ良くて何がダサいのか想像もついていない新聞記者さん!?
そもそも新聞記者さんは、何がカッコ良くて何がダサいのか想像もついていない節があります。
だから写真のチョイスも当然わかっていなくて、「顔側が見えていればいいや。」という決め方をしているのではないでしょうか。
スノーボーダーならその技の頂点、ボードをグラブしているなり、手の位置なりで、一番カッコ良いところを使ってほしいですよね。
だけど、使われている写真は、もの凄く中途半端な位置のエアーだったりすることが多い。
なぜこういうことが起きるかというと、記者の方の勉強不足です。
新聞記者の方は、野球やサッカーというメイン舞台の担当者の方以外は、様々なスポーツを担当しなくてはいけません。その都度、そのスポーツを理解し勉強しないと記事がうまく書けない状況。
でも、スノーボードを担当する記者さんは、その勉強が追いついていなくて、記事を書くセンスが身に付いていないのです。
本来ならその記事を読むハズの相当数の読者を意識できなければ、記者としては失格のハズです。何千人、それこそ何万人もの方が、その文章を読むという意識がなければいけないハズ。
スノーボードの記事を取り扱える文章量、記事枠のような制限があるにしろ、名前、順位、点数だけの記事では、何が起きたのかよくわからない。一応選手のコメントを拾ってくれるのはありがたいけど。スノーボードに関する知識が乏しいので、選手への聞か方もイマイチになってしまう。あんな薄っぺらい記事なら、現地での取材の意味もないように思います。
新聞記者さんはスノーボード記者としてのポテンシャルは高い
あれは8年ぐらい前だったか、あの時の新聞の記者さんは素晴らしかった。
相談を受けて、最初に飯田橋あたりの飲み屋で会った時には、本当何も知らなかった。だけど、どっかの違う国の大会会場で会った時にはもう自分が知らないようなネタも知っていて驚かされたものです。
最初に飲んだ時、スノーボードの五輪種目や実情にくわしい雑誌の編集の方も招いてお話をし、その後、さらに元オリンピック選手なども紹介しました。結局、紹介先でどんどん知識を吸収していったのでしょう。単純に名前と順位だけでなく、どこで勝負してどんなトリックをやったかということまで伝えてもらえるようになりました。スノーボード競技の魅力が一般の方にも伝わったと思います。
そもそもスノーボードの雑誌原稿書きというのは、一部を除いて、スノーボードが好きで、プロ・ライダーになれなかったような輩がその流れで編集者になったというレベルが多い。偉そうに言っている自分もその口だけど(笑)。若いスノーボードの編集記者やライターは、さらに書くという力を付けていかなくていけません。
でも、新聞記者さんというのは、様々な取材仕事で揉まれて来ている。彼らがもっと真剣にスノーボードの勉強をすれば、もの凄い力を発揮できるもの。取材して書く力があるという素地に、あとはスノーボードというものを理解すればいいだけ。そう、ポテンシャルは高いのです。でも様々な業務に追われて忙しいのか、スノーボードのことに理解を深めようとしていないように思います。
いつかの新聞記者さんのように、単純に知っている人に聞けばいいんですよ。
ただ、聞く人を間違ってはダメ。いくらスキー協会のお偉いさんに聞いたって、スノーボードの種目のことは理解していないオジサンがいるのだから。
これまでオリンピックに出た選手、コーチなど。あとはスノーボード・メディアでオリンピックに精通している方など。裏技としては、日本人で国際的な大会で活躍しているジャッジの方。かなり良い知識を身に付けることができるでしょう。
4年に一度の晴れ舞台。スノーボードはメダルの可能性がある重要な種目です。
ぜひ、スノーボードを魅力的に伝えてほしいですね!