鬼塚雅がワールドカップで2位を決めた女子スロープスタイルのハイライト動画が、FIS Snowboardingからアップ!
ジブ・セクションではスタイルあるノーズスライドから入り、ヒップのようなセクションでは軽くバックワン。スイッチからキャブインでレールに入り、最後の巨大なジブ・セクション(※audiカーが展示されていたセクション)では、フロントボードからの270アウト。なかなかリスク高いルーティーンだ。
最後のキッカー3連では、バックサイド720→フロントサイド540→キャブ900と、フラットスピンを鮮やかに決め79.96ポイントという得点を得た。
優勝したジェイミー・アンダーソンとの差は?
優勝してジェイミーとの差はどこにあったのだろうか?
改めてジェイミーのランを振り返り検証してみよう。
一発目のジブは、鬼塚と同じようなバックサイドボード・スライドのような形で入ったジェイミー。しかし、鬼塚の方がよりノーズに乗ったスタイルで評価が高かったようにも思える。ヒップのようなセクションではクォーターのように真っ直ぐに入り、ハンドプラント。この2発目はジェイミーの方が、上か。このセクションからアウトする時に軽くスリーを噛ましているが、ここまでジャッジングに影響を及ぼすかは微妙。
鬼塚がキャブインを決めたレールでは、ジェイミーは鮮やかなバチっとバックサイド・リップスライドを決めた。スピンインしたトリックの方がリスクは高いが、ジェイミーのボード・スライドの決め具合も高く、どちらが上かは判断し難い。
そして最後の巨大ジブ・アイテムでは、バックサイド・ボードスライドからの270アウト。鬼塚とはちょうど逆回転のトリックになり、どっちもどっちという感はあるが、鬼塚のフロントからの270の方が得点が高かったのではないだろうか。ジブをした方ならわかるが、背面にスライドしていくフロントボードの方が、一般的にリスクは高いトリックなので。
以上、わずかの差ながらジブ・セクションでは鬼塚が上を行ってもおかしくなかったと思う。
勝負は、キッカー3連へ。
ジェイミーの一発目は、いきなりフロントサイド720。しかし、この着地で右手がほぼ付いたしまったような形で大きな減点。
しかし、ここからスロープ女王の真骨頂!最後の2発が凄かったのだ。バックサイド・ロデオ。そのスタイルも強烈。ほぼバク中のようにゆったりとした回り、最後に180度回しランディングに合わす。まさに乗れてる女子感を演出!そして最後はキャブからのダブルコーク900ミュート。
このルーティーンで85.74得点を得て優勝となった。
鬼塚 雅 | ジェイミー・アンダーソン |
フロントサイド・リップスライド | フロントサイド・リップスライド |
キャブ180イン | バックサイド・リップスライド |
フロントサイド・ボードスライド to 270オフ | バックサイド・ボードスライド to 270オフ |
バックサイド720 | フロントサイド720 |
フロントサイド540 | バックサイド・ロデオ |
キャブ900 | キャブ・ダブルコーク900 |
勝負の分けれ目は3Dトリック オリンピックは90ポイント争いへ
勝負は縦も含めた3Dトリック。フラットスピンだけでなく、コーク技などを入れてバリエーションを加えることで高得点につながる。
鬼塚は、すでにバックサイド・ダブルコーク1080をメイクした動画を披露しているが、今後どのタイミングで、このトリックを大会に出すか。今回披露しなかったのは、まだ大会で出すにはリスキーと思ったのか。それか温存して、まずは確実にできるルーティーンで表彰台を狙ったのか。
ジェイミーにとっては、720でバランスを崩すなど完璧な演技とは言い難かったが、もしすべてのトリックが完璧にこなせば、減点がなくなり90ポイント以上行ったのではないだろうか。
オリンピックでは、横回転(フラットスピン)なら540以上、できれば最低720。さらにダブルコークなど3Dトリックを2発以上出すことで、表彰台に近づくだろう。天候、雪室などのコンディションにも左右されるが、まともに戦えば90点台の争いとなりそうだ。
それにしても女子スロープスタイルのレベルアップは、近年すさまじい!ダブルコークなど、かつて男子選手も苦労したトリックをトップ選手はどんどん身につけて、今後はトリプルなんて展開もあるのか!?まさか!
そういった意味では、現在どのスノーボードの種目よりもキツい世界となったと言えるかもしれない。
まだ五輪までは時間があるので、あまり他選手を意識し過ぎず、向上して行ってほしいものだ。この時点で怪我をしてしまったら、終わり。身体のケア、精神的なことも含め、本当に大事な時期に入って来た。