文:飯田房貴
かれこれ20年以上スノーボードをやっていて、その間ずっと専門誌というのを拝見したけど、こういうパターンって初めて見たなあ。自分が知らないだけなのか・・・。いや、だけど考えられないなあ。
7月19日発行の日本のSnowBoarder誌と、10月7日発行の全米のTRANSWORLD SNOWBOARDING誌が、なんと、まったく同じ写真なのだ!
これは歴史的な珍事か!?
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自分の記憶が正しければ、90年代前半に全米のTRANSWORLD SNOWBOARDING誌表紙のロブ・モローのパウダーを滑っている写真と、同じ時期のSnowstyle誌表紙で似たような写真があった。だけど、その時、Snowstyle誌編集部に確認したら「1コマ違う」との回答。なるほどシークエンス(連続)写真で、1コマ違かったのかあ、と納得した記憶がある。
だけど、今回は、どうやらまったく同じ写真だ。
一般の読者の方とかあまり気にしないけど、編集にいる人は「同じ写真」というものにかなり敏感なものである。
これはビデオの世界でもいっしょで、誰かが使った映像は、そのフィルム・プロダクションズしか使えないというのが慣わし。まるでヤクザのルールのように(?)、そのルールは徹底されている感がある。自分なんかは、素材が違くても料理方法(編集方法)が変われば、あまり問題ないようにも感じるが。
どのような事情で同じ写真が使われたのだろうか。
もし仮にカメラマンが「日本で使った写真をアメリカでも使っても問題ないだろう」と考えていたら、そのカメラマンはもしかしたらもう仕事がもらえないかも!? 編集の立場からしたら、かなり失礼という空気があるからだ。特に今回は表紙だけに、そのへんのコンテンツ・ページと使われている写真とは、圧倒的にインパクトが違うのだから。
ちなみに表紙でなく、フォト・コンテンツ間で日本と海外で使われるケースは、よくあることなんだけど。
まあ、何度も言うけど、一般読者からしたら単純に「凄い写真だなあ」ということで感銘を受ける、というだけの話。きっとアメリカの読者も日本の読者も「良い写真」と思ったに違いない。でも、自分のように日本と北米の雑誌を読める一部の立場の者だけが「同じ表紙だ!」と思ったということで。
だけど、今回は表紙だけに、あとでこのことを知った両専門誌が「アチャー」と思っているのでは? 編集部とカメラマンとのやりとりの中に、どこかに落ち度があったのだろうか。カメラマンに非はない話かもしれないけど。
ともかく、このように日本と海外の別の専門誌で同じ写真が使われたのは、スノーボードの歴史の中でも初めての事件(?)、いや珍事だったかも!?