村瀬心椛が今季初優勝!強風のLAAXを制す|木村悠斗2位の衝撃

広告 five  

スイス・ラークスで開催されたFISスノーボード・ワールドカップ「LAAX OPEN」は大会最終日、スロープスタイル決勝が行われた。ジャンプが届かないほどの強風、スピードが乗りづらいテクニカルなコース設定という、今季屈指の難条件のなかで迎えたファイナル。女子は村瀬心椛が今季初優勝を飾り、男子ではフランスのロメイン・アレマンがW杯初優勝を達成。さらに、今季からW杯に本格参戦している17歳の木村悠斗が2位に入り、大会を象徴する存在となった。これまで日本男子はビッグエアでの活躍に比べ、スロープスタイルで結果を残すのが課題だったが、新星の台頭は、未来への明るい希望を示している。

ミラノ・コルティナ2026五輪を目前に控えた最後のスロープスタイルW杯。その舞台で問われたのは、単なる技の難度だけでなく、判断力、コンディション対応力、そして「滑る覚悟」そのものだった。

広告

五輪前最後のW杯、強風と難コースに揺れたLAAX OPEN

本来は女子決勝からスタートする予定だったが、現地は刻々と風が強まり、ライダーズミーティングでは大会キャンセルの可能性まで議論される事態となった。ジャンプがランディングまで届かないリスクが現実的となり、進行は変更。男子決勝が約45分遅れで先に行われるという異例のスケジュールが組まれた。

長時間の待ち時間は、ライダーたちに再調整を強いることになった。空気抵抗を減らすためにワイドパンツをテープで絞る選手の姿も見られ、この日の戦いが「通常のスロープスタイル」ではなかったことを物語っていた。まさに、コンディションそのものが勝負を左右する一日だった。

村瀬心椛、今季初優勝 覚悟が生んだ77.55点

過酷な状況下で最も安定した滑りを見せたのは村瀬心椛だった。1本目から攻めの姿勢を崩さず、ジブセクションを確実に攻略。ジャンプでは高難度トリックを次々とつなぎ、75.20点で首位に立った。

2本目は序盤のジブでミスがあったものの、流れを崩さず3連ジャンプへ。最後にはバックサイド・ダブルコーク1080ミュートを決め、77.50点へとスコアを上書きした。序盤のミスを乗り越え得点を伸ばしたことに、心椛のコンディション対応力と判断力の高さが表れていた。

大会後、心椛は「信じられない。風が強かったけど、ベストランを出せて本当にうれしい。そしてラークスが大好きです!」と語った。その言葉通り、自然条件に挑み続けた姿勢が今季初優勝につながった。これでスロープスタイルW杯通算5勝目。五輪を前に、村瀬心椛は改めて“勝てる理由”を証明した。

2位にはアメリカのリリー・ダウォーンヴェイが入り、16歳ながら安定感ある滑りで初の表彰台を獲得。3位のアンナ・ガッサー(オーストリア)は今回の五輪をもって引退を表明しており、長年オリンピックや世界大会をけん引してきたベテランが最後のW杯で存在価値を示した。

五輪選考外でも臆せず――17歳・木村悠斗が2位で示した次世代の力

男子で強烈なインパクトを残したのが、17歳の木村悠斗だ。今季からW杯に本格参戦した悠斗は、すでにミラノ・コルティナ五輪の代表選考対象外となっている。それでも、このLAAX OPENで見せた滑りは、そんな立場を一切感じさせないものだった。

準決勝をトップ通過そのままの勢いで、決勝では1本目にキャブ1260インディ、フロントサイド1620インディなどを高精度でまとめて上位へ。2本目ではジブの難度をさらに上げ、ジャンプセクションでも完成度を高めてスコアを伸ばし、2位に浮上した。

強風でジャンプが届きづらい状況でも、フロントサイド1620インディをクリーンに決め切った一撃は、この日のハイライトの一つとなった。初出場のLAAX OPENで表彰台を獲得した悠斗は、世界のトップライダーたちに「次に来る名前」を強烈に刻み込んだ。

五輪に出られない今季だからこそ積み上げた経験が、次のシーズン、そして次の五輪へとつながっていくことは間違いない。

結果以上の価値を持つLAAXの経験、五輪とその先へ

女子では、深田茉莉が7位、岩渕麗楽が10位に入った。麗楽はクラッシュもあったが、大事には至らず、五輪本番に向けて貴重な実戦経験を積んだ。

極限のコンディションのなかで戦い抜いたLAAX OPENは、単なる順位以上の意味を持つ大会となった。揺るぎない強さを見せた村瀬心椛、そして次世代の可能性を鮮烈に示した木村悠斗――両者の活躍が交錯したこの一戦は、ミラノ・コルティナ五輪への布石であり、未来のスノーボードシーンを占う重要な一日となった。

スイスW杯ラークス大会スロープスタイル決勝結果

女子

1位 村瀬心椛(日本)
2位 リリー・ダウォーンヴェイ(アメリカ)
3位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
4位 エヴェリーナ・タカ(フィンランド)
5位 スカイ・レマンス(ベルギー)
6位 アニカ・モーガン(ドイツ)
7位 深田茉莉(日本)
8位 ローラ・ザヴェスカ(チェコ)
9位 アリー・ヒックマン(オーストラリア)
10位 岩渕麗楽(日本)
(以上、決勝進出者)
12位 鬼塚 雅(日本)
14位 鈴木萌々(日本)

男子

1位 ロメイン・アレマン(フランス)
2位 木村悠斗(日本)
3位 スー・イーミン(中国)
4位 オイヴィンド・カークフース(ノルウェー)
5位 木俣椋真(日本)
6位 ジョナス・ハスラー(スイス)
7位 ライアン・ファレル(ニュージーランド)
8位 木村葵来(日本)
9位 ダスティ・ヘンリクセン(アメリカ)
10位 ニーク・ファルデン(オランダ)
11位 ショーン・フィッツシモンズ(アメリカ)
12位 サム・ヴァーマート(オランダ)
(以上、決勝進出者)
20位 長谷川帝勝(日本)
31位 宮村結斗(日本)
57位 荻原大翔(日本)

広告