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「RECALL | Episode 2 – Wyoming Jump Sessions」
オリンピック金メダリストであり、常にスノーボーディングの“その先”を追い続ける Sage Kotsenburg。
彼の映像シリーズ「RECALL」エピソード2では、日本でのシーズン序盤を終えた後、ワイオミングへと舞台を移し、巨大ジャンプに挑むセッションの様子が描かれている。
目的はただひとつ。
大きなジャンプを作り、大きなトリックに挑むこと。
ワイオミングのバックカントリーが突きつける現実
ジャクソン周辺のバックカントリーで行われた今回のセッション。
スノーモービルで山奥へ入り、夜明け前から動き出すハードな日々。気温はマイナス20°F(約-29℃)という過酷なコンディションの中、ライダーたちは自分たちをワクワクさせる地形を探し続ける。
ターゲットとなったのは「Jawbreaker」と呼ばれる巨大ジャンプ。
完成までに丸2日、合計16時間近くを要するほどのスケールで、その場所は常に雪崩のリスクと隣り合わせ。ビルド中から緊張感が漂う、まさに“コンセクエンシャル”なスポットだ。
崩壊寸前のリップ、そして最後の一本
2日目、ジャンプにはグライドクラック(雪面がゆっくりと動く危険な亀裂)が発生。
不安定な状態のまま、限られたチャンスでトライが始まる。
Jud Hankisのトライ、Sageのバックサイド10。
ジャンプのリップは徐々に崩れ、Sage自身も「これが最後の一本になる」と覚悟を決めてドロップイン。
踏み切った瞬間に感じるリップの崩れ、そしてギリギリでメイクされたトリック。その直後、ジャンプは完全に崩壊した。
ブロックが崩れ落ちる中で決まった一発は、Sageにとってもこの年を象徴する特別な瞬間となった。
期待と現実、そして次の場所へ
理想としていたトリプルには届かず、セッションは悔しさの残る結果に。
それでも彼らは区切りをつけ、次なる舞台アイダホへと移動する。
そこには、Seb de Buck、Jud Hankisら仲間たちとの純粋なライディングセッションが待っていた。
映像後半に広がるのは、トリックの成功だけではなく、仲間と滑る楽しさ、冗談を言い合う空気感、そして“雪の上で遊ぶ”というスノーボーディングの原点だ。
「仲間と滑る」ことの価値
このアイダホでのセクションは、最終的に作品のオープニングとして使用されたという。
それは、上手くいったかどうか以上に、良い雪・良い仲間・良い時間が揃った瞬間こそが、スノーボーディングの本質であることを体現していたからだろう。
挑戦、恐怖、失敗、達成感、そして友情。
「RECALL | Episode 2」は、巨大ジャンプの裏側にあるリアルな感情と、Sage Kotsenburgが滑り続ける理由を、ありのままに映し出している。
ハードコアでありながら、どこか温度のある一本。
バックカントリージャンプに興味がある人はもちろん、スノーボードというカルチャーが好きなすべての人に観てほしいエピソードだ。

