FISが女子種目に「遺伝子検査」導入へ──公平性か人権か、スノーボード界にも波紋

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国際スキー・スノーボード連盟(FIS)は9月24日、理事会において「男女カテゴリーに関する新しい出場資格ポリシー」を承認したと発表した。
この中で、女子カテゴリーの競技者にはY染色体上のSRY遺伝子の有無を確認する検査を導入する方針が明記された。

FISの発表によると、この検査は「女子スポーツの公平性と安全性を守るための取り組み」とされており、同連盟のヨハン・エリアシュ会長は「公正で透明な方法はこれしかない」とコメントしている。

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2027年世界選手権から適用の見込み

この新ポリシーは、2027年の世界選手権から導入され、ワールドカップでは2027–28シーズンから適用される見込み。
詳細なガイドラインは2026年7月までに策定される予定で、対象は「FIS管轄下のすべての女子競技」となる可能性がある。

スノーボード界への影響は?

FISが統括するスノーボード競技も当然この対象に含まれる。
これまでスノーボード界では、男女の身体的特性の違いや多様なジェンダー表現に対して比較的オープンな文化が根付いてきた。
そのため、今回のように遺伝子レベルで性別を判定するルールが導入されることに対して、アスリートや関係者の間でさまざまな意見が出ることが予想される。

他競技ではすでに陸上の世界連盟(WA)が同様の制度を導入しており、選手の人権やプライバシーをめぐる議論が国際的に起きている。
FISの新方針もまた、「公平性」と「多様性尊重」という2つの価値観の間で、今後大きな議論を呼ぶことになりそうだ。

スノーボードは、もともと自由な発想や自己表現を大切にするカルチャーから生まれたスポーツ。
その根幹にある“自由さ”と、国際競技連盟としての“公平さ”がどう共存していくのか。
この議題は、単なるルール変更ではなく、これからのスノーボードのあり方を考えるきっかけになるだろう。

出典:
International Ski and Snowboard Federation – Council reinforces commitment to athlete safety

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