米ベイルリゾート、リフト事故で18億円の賠償命令

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〜日本で同様の事故が起きた場合は?〜

2022年にアメリカ・コロラド州クレステッドビュートで発生したリフト事故をめぐり、世界最大のスキーリゾート運営会社であるベイルリゾートが、約1,240万ドル(約18億円)の賠償を支払うことが決まった。

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事故は当時16歳のアニー・ミラーがリフトに正しく乗れず、運行停止が遅れたために約9メートル下に転落、胸から下が麻痺する重大なけがを負ったものである。

ベイル側は「リフト券購入時の免責同意書」や「コロラド州スキー安全法」に基づき、責任を免れると主張したが、州最高裁は「リフト運行の安全義務を怠った場合は免責の対象外」と判断。裁判では陪審員もベイル側の安全規則違反を認定した。

今回の判決により、コロラド州では「転倒や衝突といったスキーの一般的なリスクは免責されるが、リフトの安全運行に関する過失は免責されない」という新たな前例が確立された。

業界関係者からは「リフトオペレーターの訓練強化や安全管理の徹底が一層進むだろう」との声が出ており、スキーヤー・スノーボーダーにとっても安心材料となる判決である。

日本で同様の事故が起きた場合は?

今回の判決はアメリカでの事例であるが、日本で同様の事故が発生した場合、どのような損害賠償が想定されるのだろうか。

日本の法律では、スキー場運営会社には利用者の生命・身体を守る安全配慮義務が課されており、リフトの運行に過失が認められれば「民法上の不法行為責任」として賠償責任を負うことになる。

賠償の対象は主に以下の項目である。

  • 治療費・入院費
  • 将来的な介護費用(後遺症が残った場合)
  • 休業損害・逸失利益(将来得られるはずだった収入の補償)
  • 慰謝料(精神的苦痛に対する補償)

過去の判例を見ると、脊髄損傷などの重度後遺障害が残ったケースでも、1億円~3億円程度の賠償が認められた例がある。したがって、日本でリフト事故により重大な障害が残った場合でも、米国のベイルリゾートの事例のような18億円規模の賠償が命じられる可能性は低く、現実的には数億円程度が上限の目安と考えられる。

業界への影響と今後の課題

今回のアメリカでの判決は、スキー場運営における「リフトの安全管理」がいかに重大な責任を伴うかを改めて示すものである。

日本のスキー場でもリフトは主要な輸送手段であり、万が一の事故が発生すればスキー業界全体に大きな影響を及ぼすことは避けられない。今後は、リフトオペレーターの訓練強化や定期的な安全チェック、安全規則の徹底がより一層求められるだろう。

利用者にとっても、こうした取り組みが安心につながることは間違いない。安全なリフト運行は、ウィンタースポーツの未来を守るために欠かせないものである。

参考・出典

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