
スノーボードのブーツとスキーブーツを比べたとき、まず感じるのはその快適性の差だ。
これまで多くのスノーボード初心者を教えてきたが、スキー経験者は口を揃えて「スノーボードのブーツって本当にラク!歩きやすいし、痛くない」と話す。
私自身も「私はいつもスノーボードブーツを履いたまま車で来ています」と言うと驚かれることがあるが、それほどに柔らかく心地よいのがスノーボードブーツ。一方でスキーブーツは、まるでロボットの脚のようで「これで歩けるのか?」とさえ思ってしまう。
ただし、雪上では状況が変わる。硬いプラスチックシェルをまとったスキーヤーは、ダイナミックでパワフルな滑りを見せる。私も後ろを追って滑ったことがあるが、スピードについていくのは至難の業。特に上級者は、凸凹の斜面でも一気に滑り降りてしまい、こちらはすぐに息が上がってしまう。
それでも、多くのスキーヤーにとってブーツの「硬さ」はやはり悩みの種だ。中には痛みに耐えながら滑っている人も少なくない。
そんな課題に挑むのが、2025年に登場予定のBTF Ski System。
1970年代に登場した「ナヴァ・スキーイング・システム」をイタリアのデザイナーとエンジニアが現代版に進化させたもので、ソフトなブーツとフレーム型ビンディングの組み合わせによって、従来のハードブーツを使わずに同等の操作性を実現しようという画期的なシステムだ。
ブーツは暖かく柔らかいだけでなく、普段履きのスノーブーツのように快適で、着脱も簡単。「ファッション性があり、より自然なスキー姿勢を可能にする」ともアピールされている。
将来的には、スノーボードとスキーの両方で使える兼用モデルが登場する可能性もあるかもしれない。もし実現すれば、朝はパウダーをスノーボードで楽しみ、午後は子どものサポートのためにスキーに履き替える――そんな新しい遊び方も広がりそうだ。