
写真協力:Endeavor Design
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目次
はじめに
スノーボードを始めたいけれど、「どんなウエアを選べばいいのか分からない…」と悩む初心者は多くいます。おしゃれなデザインや好きなブランドで選んだものの、実際にゲレンデに出てみると、寒さに耐えられなかったり、動きにくかったり、すぐ濡れてしまった、という失敗談も少なくありません。
スノーボードのウエアが必要な理由は大きく2つあります。
1つは 寒さから守ること(=防水性)。
もう1つは忘れがちですが、汗を逃がすこと(=透湿性) です。
この記事では、スノーボード初心者が快適かつ安全に滑るためのウエアの選び方を、プロショップの知識やライダーの実体験を交えて徹底解説します。
最後まで読めば、「自分に合ったウエアをどう選ぶべきか」 がクリアになり、購入時に迷わなくなるはずです。

1. スノーボードウエアの役割を理解しよう
まず大前提として、スノーボードウエアは「おしゃれ着」だけではなく、雪山という過酷な環境で快適さと安全を守るためのギアです。
とはいえ、ゲレンデは“非日常の舞台”。お気に入りのデザインやカラーをまとえば気分も上がり、よりスノーボードを楽しめるのも事実です。
だからこそ、初心者が大切にすべきなのは 「機能性をしっかり押さえつつ、自分らしいスタイルを見つけること」。
防水性や保温性といった基本性能を満たした上で、自分の好みに合うシルエットやカラーを選べば、快適さとオシャレを両立できます。
- 防水性:雪や雨から体を濡れさせない
- 保温性:冷たい風や雪の中でも体温を維持する
- 透湿性:汗を外に逃がし、蒸れや汗冷えを防ぐ
初心者はリフト待ちや転倒で雪に触れる時間が多く、防水性・保温性が特に重要になります。

2. 防水性(耐水圧)の選び方
ウエアの性能を表す代表的な数値が「耐水圧(mm)」です。これは「どのくらいの水圧に耐えられるか」を示しています。
- 5,000mm:小雪や短時間の使用なら問題なし(レンタル品で多い)
- 10,000mm:一般的なゲレンデ使用に十分。初心者はここを基準にすると安心
- 20,000mm以上:豪雪地帯や長時間ライディングに対応。上級者やバックカントリー向け
初心者が最初に買うなら10,000mm前後がコスパ・性能のバランスが良いです。
ただし、初心者は転ぶことも多いため、防水性の高いウエアを選んでおくと、より安心して滑れます。

3. 透湿性(通気性)の選び方
意外に見落とされがちなのが「透湿性」です。正式には 「g/m²/24h」 という単位で表され、1平方メートルあたり24時間でどれくらい汗(湿気)を外に逃がせるかを示します。
ただ、実際のウェアやギアのタグでは 「10000g」など、単位の一部を省略して表示されることがほとんどです。数字だけでも透湿性の目安として覚えておくと便利です。
- 5,000g:最低限。レンタルや安価モデルで多い
- 10,000g以上:一般的なゲレンデで十分。初心者におすすめ
- 20,000g以上:汗をかきやすい人や、ハイクアップを伴う滑り向け
蒸れは汗冷えの原因になり、体力も奪われるため、透湿性は軽視できません。特に汗をかきやすい方は注意が必要です。
普段行くスキー場の気候に合わせて選ぶのがポイントです。
- 気温が高めのゲレンデが多い場合は透湿性を重視
- 北海道や東北など寒冷地に行く場合は保温性とのバランスを意識
こうすることで、快適に過ごせます。

4. ゴアテックス(GORE-TEX®)って必要?
ゴアテックスは、アメリカのWLゴア&アソシエイツ社が開発した高機能素材で、防水・透湿・防風の三拍子がそろっています。
雪や雨、風をしっかり防ぎながら、汗や湿気を外に逃がすため、リフト移動中や滑走中でも体をドライに保てます。
ただし、ゴアテックス製のウェアは高価です。購入を考えるときは、価格とのバランスを意識することがポイントになります。
個人的な見解ですが、ゴアテックスはあくまでブランドのひとつと考えています。
これまで培われたプレミアムな機能が、人々に安心感を与え、それが価格に反映されているため高級ウェアになっているのです。
私自身は、防水性(耐水圧)20,000mmのウェアを愛用しており、ゴアテックスでなくても十分快適に滑れています。
これからウェアを選ぶ方で、少しでも価格を抑えたい場合は、必ずしもゴアテックス製である必要はありません。
普段着としてユニクロのようなファーストファッション服を多くの人が選ぶように、ブランド名にこだわらなくても快適に楽しめます。

4. 保温性:インシュレーション vs シェル
ウエウエアは大きく分けて、「インシュレーション(中綿入り)」 と 「シェル(中綿なし)」 の2種類があります。
- インシュレーション:暖かく、初心者や寒がりの方におすすめ
- シェル:軽量で動きやすく、上級者やレイヤリング上手な方向け
初心者はまだ体温調整に慣れていないため、中綿入りジャケット+シンプルなパンツ が失敗しにくい選択です。
ただし、現在日本で人気が高いのは、薄くて軽いシェルタイプのウエア。
理由として、欧州や北米では日本以上に寒い場所が多いため、中綿入りが主流になっています。
私自身、普段はカナダのウィスラーで滑っていますが、中綿入りウエアを愛用しています。
もし選んだウエアが中綿なしの場合は、寒さ対策としてセカンドレイヤー を準備してください。
- フリースジャケット
- 軽めのダウン
寒がりの方は、私のように保温性の高い中綿入りウエアを選ぶのがおすすめです。

5. サイズとフィット感の選び方
ウエアのサイズ感は滑りやすさに直結します。
- ジャストすぎると×:動きにくく、重ね着ができない
- オーバーサイズすぎると×:転倒時に足を引っかけやすく、重く感じる
初心者は「ややルーズ〜レギュラーフィット」を選ぶのがベスト。試着時には膝を曲げたり、しゃがんだりして、動きやすさを必ず確認しましょう。
近年のトレンドとして、オーバーサイズが人気です。特に若い世代ほど好まれる傾向にあり、街でのファッションと同じ感覚です。サイズで迷った場合は、やや大きめでも問題ありません。ゲレンデに出ると、思ったほど大きさは気にならないものです。
また、ショップで試着する際は、スノーボードブーツを履いた状態で試すのがおすすめ。雪上でのサイズ感をより正確にイメージできます。

6. 初心者が選ぶべき便利な機能
初心初心者に特に役立つ機能をまとめました。
- パウダーガード:ジャケット裾やパンツ内側に搭載され、雪の侵入を防ぐ
- ベンチレーション:暑くなったときにジッパーで換気できる
- ヘルメット対応フード:防風・防雪に便利
- リフト券ポケット:ICリフト券を入れて、そのまま改札を通れる
特に「パウダーガード」と「ベンチレーション」は、初心者でも効果を実感しやすい機能です。
現在販売されているウエアは、ほとんどの機能をカバーしているので安心です。
チェックポイントとしては、ICリフト券をそのまま改札に通せるリフト券ポケットや、ヘルメット対応の大きめフードがあるかどうか。特に大きめフードは、まだ浸透していないので確認しておくとよいでしょう。

絶対に必要というわけではありませんが、一応チェックしておきましょう!)
7. メンズとレディースウエアの違い
メンズとレディースウェアの違いは、まずシルエットにあります。
メンズは肩幅や胸囲が広く、全体的に直線的なシルエット。着丈や袖丈もやや長めです。
一方、レディースはウエストを絞ったデザインやヒップ周りに余裕を持たせたシルエットが多く、袖丈や着丈は短めで体型にフィットしやすい特徴があります。
デザイン・カラーでは、
- メンズ:ベーシックカラー(黒、ネイビー、カーキ、グレー)や落ち着いたトーンが多めで、シンプルかつ機能重視。
- レディース:明るいカラーやパステル、花柄・チェック・グラフィックなど柄物が多く、デザイン性を重視する傾向があります。
機能面では、
- メンズ:ポケットが多く、動きやすさを優先したカット。
- レディース:保温性を高めたり、冷えやすい体を考慮して裏地にフリースを使うなどの工夫が見られることもあります。
近年はユニセックスモデルも増えており、「オーバーサイズ」や「ジェンダーレス」なデザインが人気です。女性がメンズを着たり、ユニセックスモデルを選んだりするケースも増えています。特に着こなしにこだわりのある女性は、あえてメンズを選ぶ傾向があります。
一方で、男性がレディースモデルを選ぶことはほとんどありませんが、女性にとってはメンズモデルも選択肢に加えることで、より幅広いスタイルを楽しむことができるでしょう。

8. インナー(レイヤリング)の重要性
ウエア本体と同じくらい大事なのが、中に着るインナーです。せっかく良いアウターを用意しても、インナーがおろそかになっていると、快適に滑ることは難しくなります。
8-1. 避けるべき素材
綿素材(Tシャツやパーカー)は汗を吸って乾きにくく、汗冷えの原因になります。特に汗をかきやすい方は注意が必要です。
8-2. おすすめのレイヤリング
- ベースレイヤー(肌に直接触れる):メリノウールや化繊の速乾素材
- ミッドレイヤー(保温):フリースや軽量ダウン
- アウター(防水・防風):スノーボードウエア
この「3レイヤー構造」が基本で、気温や運動量に応じて調整することで快適に滑ることができます。
補足
ちなみに私の場合は、あまり汗をかかないので、普段のスノーボードでは綿のTシャツをベースに着ることもあります。その上にミッドレイヤーやダウンベストを重ねています。これは私個人の例なので、参考にせず、基本の3レイヤー構造を意識することをおすすめします。

写真は【AIRHOLE】DRYTECH THERMALです。)
9. 頭周りの保温にはバラクラバやネックチューブを
首は体温調整に重要な部位です。首、手首などを温めることが、快適なライディングには欠かせません。
どんなに高性能なウエアを着ていても、首元が寒いと体全体が冷え、滑りにも影響します。
極端な話、ウエアの性能がそこまで高くなくても、温かいグローブと高品質なバラクラバやネックチューブがあれば、一日のライディングを十分に楽しめます。
シーズン初めや春先など、比較的温かい日もあるゲレンデですが、寒さのピークを考え、首元の保温対策はぜひ持っておきたいアイテムです。
私自身は普段、バラクラバの上にヘルメットをかぶっていますが、とても快適です。この装備で年間100日の滑走も乗り切っています。
首元を温めることで体全体が温まり、ライディングのパフォーマンスにも良い影響を与えてくれるので、ぜひ参考にしてください。

10. 私がおすすめするENDEAVORウエア
ウエアを選ぶときは、たくさんのメーカーがあって迷ってしまうと思います。
メジャーなブランドとしては、まず BURTON が挙げられます。さらに VOLCOM、686 なども人気です。
この3つはスノーボードウエアの「三大ブランド」と言っていいほど世界的に支持されており、まずチェックしておきたいメーカーです。
一方で、ショップでは取り扱いがなく、ネット限定で販売しているブランド もあります。
こうしたブランドは、トップブランドの良い部分を上手く取り入れたデザインが多く、カラーリングもトレンドを押さえています。価格も比較的抑えられているため、これからスノーボードを始める初心者にもおすすめです。
ただし、コア層の一部からは敬遠されることもあり、ゲレンデで同じウエアを着ている人と「かぶる」可能性もあります。
私が個人的におすすめしたいのは、カナダのブランド「ENDEAVOR」 です。
元々スノーボードのボードブランドとして知られていますが、近年はウエアにも力を入れており、高性能かつスタイリッシュなデザイン の製品を展開しています。
本社はバンクーバーにあり、スタッフ全員がスノーボーダー。雨の多い土地柄と、近くにスキー場がある環境から、雨や雪に強く、街でも着られる機能的なウエア を生み出しています。
以下はENDEAVORオンラインストアへのリンクです。ぜひチェックしてみてください。

11. 着こなしワンポイントアドバイス!
極端な話、自分さえ気に入れば、どんなウエアを着てもOKです。
とはいえ、ゲレンデで「ちょっとダサいかも」と思われるのは避けたいし、やっぱりトレンドはある程度意識しておきたいですよね。
特にこれまでウエアを買ったことがない人は、「どうやって選べばいいの?」と迷うと思います。
そこで最後に、着こなしのワンポイントアドバイスをお伝えします。
ショップで見つけたウエアが「自分にはちょっと派手かも」「少し攻めすぎかな」と感じても、
実際にゲレンデに出てみると、意外と“ちょうどいい”ということが多いです。
もちろん、2〜3ランク上の攻めたカラーは派手すぎることもありますが、
スキー場では少し目立つくらいのデザインでも全然OK。むしろ、雪の白に映えてかっこよく見えます。
上下を同じカラーで揃える“セットアップ”は、ライダーたちに人気のスタイルで、アグレッシブな印象を与えます。
ただ、初心者のうちは、上下のウエアのカラーを変えた方が無難かもしれません。
ウエアのブラックは定番で長く使えます。特にパンツのブラックは王道で、どんなジャケットカラーにもマッチします。
長く使いたいなら、まずはブラックのパンツを選ぶのがおすすめです。
以下の写真は、昨シーズンの特集記事『【2024-25シーズン版】プロライダーのステッカーチューン術!最新ファッションも必見!』で紹介されたもの。
ライダーたちのリアルな着こなし例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。




まとめ
スノーボード初心者がウエアを選ぶときは、以下のポイントを意識しましょう。
- 防水性(耐水圧10,000mm以上)
- 透湿性(10,000g前後)
- 中綿入りジャケットで保温性を確保
- ややルーズなサイズ感で動きやすく
- 便利機能(パウダーガード・ベンチレーションなど)をチェック
- インナーは吸湿速乾素材を使い、綿は避ける
ウエアは「見た目」だけでなく「機能性」も大切。正しく選べば、寒さや濡れに悩まされず、スノーボードの楽しさを存分に味わえるようになります。


