公衆の安全に関心のある企業組織の皆さまからご支援をいただける仕組みを設けました
特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク(長野県北安曇郡白馬村)では、国際標準の仕様による雪崩情報を2011/12シーズンから発表しています。バックカントリーでの安全対策の基盤である雪崩情報は、より幅広い方々が手軽にご利用いただけるように、無償での公開を続けています。この度、この雪山の安全に関わる社会インフラである雪崩情報の拡充と継続性を鑑み、パートナーシップを導入しましたのでお知らせ致します。
1.雪崩死亡事故の状況
特異シーズン(2016/17)を除くと近年の雪崩死者は減少傾向にありました。しかし、コロナ開けと共に死者数が増える傾向を見せ始めています(図1)。雪崩死亡事故の約9割は山岳域で発生しており、冬季レクリエーションの死者が約7割を占めます
また、国が進めるインバウンド政策の影響を受け、外国籍の死者が近年は継続的に発生しています(図2)。JAPOWを求める訪日バックカントリー滑走者は2015年頃から急増しており、このシーズンに既に特徴的な死亡事故が発生しています。
2.雪崩情報とは
どのような種類の雪崩が、どのような場所に存在し、その誘発の可能性はどの程度なのか、そして、もし発生した場合、どのぐらいの規模になりうるか(図3)を雪山に入る方々に伝え、行動計画の修正や適切な斜面選択が可能となるように、その意思決定をサポートすることが目的です。
欧米では公的機関あるいは非営利組織が日々、雪崩情報を発表していますので、訪日客の安全対策にも極めて重要な事項となります。また、弊組織の雪崩情報は国際標準の仕様ですので、海外からJAPOWを楽しむために来日された方々にも馴染みのあるものとなっています。たとえば、Colorado Avalanche Information Centre, New Zealand Mountain Safety Council, Avalanche Canadaなどと同じ仕様です。
3.パートナーシップの設定
バックカントリーを楽しまれる方々に関わる企業や組織の皆さまから、雪崩情報の果たす役割の重要性をご理解いただくことで、雪崩情報の拡充や継続性などを目的として、パートナーシップを設けさせていただきました。雪崩情報の発表には、スキルと経験ある人間がフィールドで積雪コンディションの調査や情報の作成に関わる必要があり、そのための資源が必要となります。
パートナーシップは二種類あり、一つは資金面のサポートをいただくものです。その額や内容によって、Gold partner、Funding partner、Supporting partnerの三区分となっています。また、雪崩情報の作成にあたり、その専門性でご助力いただく形式もあり、こちらはForecasting partnerになります。今シーズンは全22社(図4)からご協賛・ご協力をいただき、雪崩情報の発表を開始しています。
4.ニュース
パートナーシップの導入により、昨シーズンまで週3回の発表であった北海道・後志地域(ニセコ・羊蹄山・尻別岳・余市岳)の雪崩情報が、今シーズンから毎日の発表となりました。これは地域の安全のために貢献してくださるパートナーの皆さまのご助力によるものです。
5.サポートのお願い
行政サービスの欠損を補完するため、弊組織では25年前の設立の時点で、教育によって人材を育成し、その人的ネットワークによって山岳の積雪コンディション情報を共有し、公衆の安全へ寄与する雪崩情報の展開を目標として活動してきました(図5)。
その際、国際的な視野の下、カナダの専門組織と提携したことで、現在の雪山環境の国際化にも対応できるコンテンツを国内で唯一提供できています。米国、カナダ、ニュージーランドは、現場実務者(ガイドやスキーパトロール、雪崩情報関係者)が同種の教育を受けているため、そのベースラインが揃っていることが、この試みの大きな強みとなっています。
雪崩情報の重要性をご理解いただきまして、冬季アウトドア・アクティビティに関わる企業組織の皆さまからのご支援をお願い申し上げます。
お客様からの問い合わせ先
日本雪崩ネットワーク
e-mail: [email protected]
【法人概要】
名 称: 特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク
英語名: NPO Japan Avalanche Network(略称:JAN)
設 立: 2000年4月。 2001年6月にNPO化。
活 動: 雪崩教育・雪崩情報・雪崩事故調査・リソースの提供を4つの柱に、 それぞれが機能的に関連付けられた包括的な安全対策を実施。 国際水準の雪崩プログラムを実施。 平成26年度雪崩災害防止功労者として国土交通省から顕彰。