アメリカ・コロラド州のカッパーマウンテンで開催されたスノーボードの今季ワールドカップ・ハーフパイプ第2戦では、男子の平野歩夢が今季初優勝を果たした。これでW杯通算7勝目。
女子では、今季からW杯に参戦している15歳の新星、清水さらが嬉しい初優勝を飾った。
さらに男子では、戸塚優斗が2位、平野流佳が3位に入り、日本勢が表彰台を独占する快挙を達成。日本勢のライバル視されていたオーストラリアのスコッティ・ジェームスは4位に終わった。
一方、女子では中国の蔡雪桐が2位、昨季種目別女王の小野光希が3位に入った。
北京オリンピック金メダリストであるクロエ・キムは、予選を1位で通過し優勝候補と目されていたが、決勝では4位に終わった。
目次
平野歩夢が勝負のラスト3本目で逆転優勝
やはり、この男は「持っている」。 1本目と2本目は、トップからボトムまでクリーンなランを決められず、37.75点と苦しい状況に追い込まれた。しかし、迎えた勝負の3本目で全力を発揮! フロントサイドトリプル1440トラックドライバーからキャブ1440ウェドル、さらにフロントサイドダブルコーク1260インディ、バックサイドダブルコーク1260ウェドル、そして最後にフロントサイド1080トラックドライバーを完璧に決めた。
この圧巻のランで97点というハイスコアを叩き出し、一気にトップに立ち、この時点で1位だった戸塚優斗を逆転。さらに、3位につけていたスコッティ・ジェームズを4位に押し下げる形となり、日本勢による表彰台独占にも成功した。北京で金メダルを獲得した時のように、最後の最後で逆転Vを達成した!
右肋骨を骨折し、大会直前には腰を痛めるなど厳しいコンディションの中で、素晴らしいパフォーマンスをアメリカの観衆に披露してくれた。
前大会の覇者である戸塚優斗は、期待されていた大技フロントサイド・トリプルコーク1440を披露することは叶わなかった。しかし、バリエーション豊かで安定感のあるランを見せ、見事2位に入賞した。
スイッチバックサイド・ダブルコーク1260インディからスタートし、キャブ・ダブルコーク1440ウェドル、フロントサイド・ダブルコーク1260インディ、バックサイド・ダブルコーク1260ウェドル、最後はフロントサイド・ダブルコーク1440テールで締めくくり、94.75点という高得点をマークした。
いつも安定感抜群で表彰台の常連として知られる実力者、平野流佳も、歩夢同様に2本目までミスが続く苦しい展開となった。しかし、最後の1本に逆転を賭けたルーティンでは、
スイッチバックサイド・ダブルコーク1080ジャパングラブ、バックサイド・ダブルコーク1260ウェドル、フロントサイド・ダブルコーク1440インディ、キャブ・ダブルコーク1440ウェドル、フロントサイド・ダブルコーク1260インディ
を全て成功させ、92.75点を獲得して見事3位にフィニッシュした。さすが表彰台の常連と称されるライダーだけあって、その強さをラストランで見せつけた。
W杯アメリカ/カッパーマウンテン大会 男子ハーフパイプ2戦目結果
1位 平野歩夢(日本)
2位 戸塚優斗(日本)
3位 平野流佳(日本)
4位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
5位 イ・チェウン(韓国)
6位 重野秀一郎(日本)
7位 ジェイソン・ウォル(アメリカ)
8位 ジョーイ・オケソン(アメリカ)
9位 チェイス・ジョージー(アメリカ)
10位 山田琉聖(日本)
清水さら、W杯初優勝で新星が躍動
清水さらは、先日中国のシークレットガーデンで行われたW杯でデビューを果たした15歳の新星。この日、W杯2戦目の決勝に挑み、そのポテンシャルを存分に発揮した。
1本目のランでは、フロントサイド900テールグラブ、バックサイド900ウェドルグラブでスタート。さらにフロントサイド720フロントサイドグラブ、キャブ720ウェドルグラブ、クリップラー・フロントサイドグラブ、最後はバックサイド540ウェドルグラブで締めくくった。すべての技をスムーズに決め、着地も安定感抜群の見事なランを披露した。
このパフォーマンスで清水は圧倒的な90.50点をマークし、自身初のW杯優勝を飾った。
北京オリンピック金メダリストのクロエ・キムは、W杯復帰戦となったが、残念ながら表彰台を逃し4位に終わった。キャブ1080からフロント1080という大技繋ぎを狙ったルーティーンで、すべてのトリックが決まっていれば、おそらく優勝。しかし、今大会では幸運の女神が微笑まなかった。
また、オリンピック銀メダリストのスペインのケラルト・カステリェトもW杯復帰戦となったが、7位に終わった。
そして前大会覇者のマディ・マストロも6位に沈んだ。
女王たちを押しのけるような形で、日本の新星15歳の清水さらが優勝できたことは大きな快挙だ。
蔡雪桐は今回の2位入賞により、FISスノーボード・パーク&パイプ種目の通算表彰台記録を33回に伸ばし、さらに31歳にして今季のハーフパイプ・ワールドカップ総合首位に立った。
小野光希は最初の1本目で88点を獲得。ルーティーンは、
フロントサイド900テールからバックサイド540ウェドル、フロントサイド720インディ、キャブ900ステールフィッシュでは少し手を付くミスがあり、最後はスイッチバックサイド540インディを決めた。
その後、2本目と3本目では、1本目以上のスコアを狙ってチャージをかけたが、うまくまとめることができず、最終的に1本目のスコアが採用され、3位となった。
W杯アメリカ/カッパーマウンテン大会 女子ハーフパイプ2戦目結果
1位 清水さら(日本)
2位 蔡雪桐(中国)
3位 小野光希(日本)
4位 クロエ・キム(アメリカ)
5位 マデリン・シャフリック(アメリカ)
6位 マディ・マストロ(アメリカ)
7位 ケラルト・カステリェト(スペイン)
8位 冨田せな(日本)
2024-25 FIS WORLD CUP ハーフパイプ日程、結果
開催日 | 開催場所 | 男女優勝者 | |
1戦目 | 12月6日~12月8日 | 中国(シークレットガーデン) | 戸塚優斗(日本)/マディ・マストロ(アメリカ) |
2戦目 | 12月18日~12月20日 | アメリカ(カッパー) | 平野歩夢(日本)/清水さら |
3戦目 | 1月15日~1月18日 | スイス(ラークス) | |
4戦目 | 1月30日~2月6日 | アメリカ(アスペン) | |
5戦目 | 2月19日~2月23日 | カナダ(カルガリー) |